オンライン/新型コロナパンデミックの研究』-『米大統領選挙とサイバー戦争』★『強いものが生き残るのではなく、状況に適応したものが生き残る。『適者生存の原則』(ダーウイーンの法則)を見るまでもなく、米国のオープンソース・オープンシステムには復元力、状況適応力、自由多様性の組み込みソフトが内蔵されているが、3千年の歴史を自尊する中国の旧弊な秘密主義システム(中華思想)にはそれがない』(6月15日)
米大統領選挙と「サイバー戦争」
前坂 俊之(ジャーナリスト)
米国の新型コロナウイルス感染者が6月15日、200万人を突破、各地で経済活動が徐々に再開されてきたが、全米50州のうちカリフォルニア州など21州では感染者の数が増え続け、第2波、第3波の警戒が高まっている。米政府感染対策チームのファウチ博士は10日、「三密禁止とソーシャルディスタントのない抗議デモは感染リスクがある」と警告した。
しかし肝心のトランプ大統領は「顔の見える戦時大統領の強力なリーダーシップ」をアピ―ルするため絶対にマスクはしない方針。黒人死亡事件をめぐる抗議デモが激化する中で州知事に対し鎮圧命令を出し、さらに軍動員も辞さない強圧的な姿勢を吠えた。
3年前に「(トランプ氏は)小学生並みの理解力しかない」とその職務遂行能力に深刻な疑念を呈したトランプ政権の初代国防長官のマティス氏はトランプ氏に何度も諫言した結果、ついに辞任に追いこまれた。
そのいきさつについては口を閉ざしトランプ批判もしなかった。その同氏が長い沈黙を破り「私の生涯で初めて見た、米国民を分断させようとする大統領だ、大人としての成熟した指導力が全く欠如している。彼がいなくても国民はうまくやっていける」と厳しく批判した。
民主主義国の軍隊は、国家を指導するのではなく、国家に奉仕する。軍の指導者は、公選の指導者に助言をし、下された決断を実行に移す。国民によって選ばれた指導者だけが、国家の運命を決める権限と責任を持つ」https://americancenterjapan.com/aboutusa/translations/3081/
これが米国における民主主義、文民統制の鉄則であり、マティス氏は「軍人は政治に関与せず」「軍は国民に銃口を向けない」という民主的軍人精神を発揮したのだ。
米共和党のブッシュ(二世)政権で国務長官を務めたコリン・パウエル氏も6月7日、トランプ大統領が米国憲法を順守していないと指摘、11月の大統領選挙では民主党候補のバイデン氏に投票するとCNNの番組で明言した。パウエル氏(83)は、共和党内の重鎮で最も著名な黒人の1人で統合参謀本部議長なども歴任した。
共和党内からもトランプ批判の声が上がり、ブッシュ元大統領、弟のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事、ロムニー上院議員(ユタ州)、故マケイン共和党上院議員の妻らが続々とバイデン氏に投票するすると明らかにした。
トランプ大統領のコロナ禍対策と黒人死亡事件の連続オウンゴール(失敗)で国民の反発は一挙に高まり、大統領選の世論調査結果は民主党のバイデン候補に大きく傾いた。CNN(6月11日電子版)が8日発表した世論調査によると、バイデン氏に投票すると回答した人は55%、トランプ氏は41%と14ポイントの差がついた。トランプ氏の投票率41%は、2019年4月以来の最低の水準で、バイデン氏への投票率55%は逆にこれまでの最高の水準に達した。
また、トランプ氏に対する支持率は38%(不支持率は57%)に低下した。この支持率は、再選を目指していたカーター大統領やブッシュ(父)大統領の同時期と同様の水準で、2人とも再選は果たせなかった、と報じた。
この報道に怒りを爆発させたトランプ陣営は「不正確で誤解を招く主張を数多く含んで内容だ」と調査結果の撤回と謝罪を要求。これに対し、CNN副社長は「CNNの40年の歴史の中で、米国の政治家や選挙陣営がCNNの世論調査の結果を気に入らないという理由で法的措置を示唆してきたのは初めてケースだ」とあきれ果てながら断固拒否。CNN対トランプ氏のガチンコ対決は延々と続いている。
この一連の騒動を見て強く感じるのは「米民主主義社会」と「中国習近平共産党独裁社会」の180度の落差。アメリカ憲法第一条で規定する「宗教の自由」「言論報道の自由」「集会の自由」の4原則を貫き、軍人もこれを遵守して「大統領にノーといえる」国家システム。
一方、これを完全否定し、共産党1党独裁で、個人崇拝と「言論の自由」を認めず、世界中がTV,SNSでリアルタイムにみた「香港民主化デモ」に対しも強圧的に逮捕、鎮圧する中国の「アナクロニズム」(時代錯誤)なシステム、思想である。
一方に傾きすぎた巨船が転覆しないためには復元力、バランス感覚が必要とされる。
「マンモスや覇権国はなぜ衰退するのか」-「大きいもの、強いものが生き残るのではなく、状況に適応したもののみが生き残る。強者生存ではなく、適者生存の原則』(ダーウイーンの法則)を見るまでもなく、米国のオープンソース・システムには復元力、状況適応力、多様性の組み込みソフトが内蔵されているが、3千年の歴史を誇る中国の秘密主義的なシステム(中華思想)にはそれがない。
歴代中国王朝が「大疫のパンデミック」で滅亡したように、中国の世界覇権の「中国の夢」はどこまで続くのか。AFPによると、11日、米ビデオ会議サービス「ズーム」(Zoom)は中国政府の圧力によって、中国の天安門事件に関するビデオ会議を閉鎖し参加していた米国や香港の人権活動家らのアカウントを停止した、という。「Zoom」のセキュリティの脆弱性はかねてから指摘されていたが、同社はこれを受けて18日から中国のデータセンターを経由せず、地域のデーターセンターを選択できるシステムに変えた。
また、言論操作を目的として組織的に使うことなどを禁じている米ツイッター社は12日、中国共産党に関連している17万余りのアカウントを削除した。17万余のアカウントのうち、2万3750は中国共産党関連の「プロパガンダ(政治的宣伝)」で、15万余は、こうした投稿を拡散させる目的に使われていた、という。米中経済戦争の裏側でし烈な「サイバー、セキュリティー戦争」が繰り広げられている。
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