『リーダーシップの日本近現代史』(84)記事再録/ ★『世界史の中の日露戦争カウントダウン㊳/『開戦2週間前の『英ノース・チャイナ・ヘラルド』の報道『日本が決意しているのは,中国と朝鮮との 独立と保全の維持なのだ。この点で,日本は英米の支持を 受けている』★『外交面で,日本はロシアを完全に負かしてきた。合衆国の40年にわたるロシアへの友情は.全く消えうせてしまった』
2017/01/21日本戦争外交史の研究』/
『世界史の中の日露戦争カウントダウン㊳』/『開戦2週間前
1904(明治37)年1月22日『英ノース・チャイナ・ヘラルド』「日露紛争」日本が決意しているのは,中国と朝鮮との独立と保全の維持なのだ。この点で,日本は英米の支持を受けている。
日本は,ロシアが遼東半島から日本を追い出して,自分で取ってしまったことに対し,復讐しようと望んでいるのでも,また,日本の勇気が東洋人の敵をやっつけるだけのものではないことを証明しようと血気にはやっているのでもない。これは銘記すべきことだ。
日本が決意しているのは,中国と朝鮮との独立と保全の維持なのだ。そして、この点で,日本は英語を話す2大国民の支持を受けている。日本は昨年夏,要求を公式化して提示し,そしてこの要求から1歩も引くつもりがないことを1度ならず言明し,その言葉を守ってきた。そして,もし必要なら武力でその要求を支持する準備を静かに進め,ロシアの陸海の兵力に関する誇大な報告にもひるむことはなかった。
外交面で,日本はロシアを完全に負かしてきた。合衆国の40年にわたるロシアへの友情は.全く消えうせてしまった。
大英帝国と同盟を結んだことで,フランスとドイツは,ロシアに味方した場合,そこで得られる可能性のあるいかなる有利さとも引き合わない危険を招かざるを得なくなった。
日本は,ロシアがついに確保したと考えていた中国の友情も奪い取ってしまっ
た。カッシーニ,ウフトムスキー,パグロフ,レッサーなどの有能なロシアの外交官たちの表裏両面にわたる働きのあげくこうなったわけで,ロシアにとってはきわめて苦い薬であるに違いない。
日本はロシアを完全譲歩せざるを得ない苦しい立場に追い込んだ。最新のロイター電によれば,ロシアは今や完全譲歩するつもりになっているということだ。しかし,ロシアはこの譲歩をあまりにも長く引き延ばし過ぎたのではないかと懸念される。
アレクセーエフ総督の覚書と言われているものを別としても,もし今この土壇場でロシアが譲歩しても,その意図は圧倒的な兵力をその総督に与えることができるようになれば直ちに侵略を再開しようというものにはかならないと,日本が信じたとしても全く正当なことだ。
一方,日本は,事態を正常に戻して,中国が自らの独立と保全を守れるようになるだけの時間を作り出すことを目標にしており,日本がこの目榛を達成するための最も確実な道は.今ロシアと戦うことだと考えているのは.おそらく正しいことだろう。
この数日間,東京からの直接の電報はほとんどなかったが,私信そのはかいろいろな情報から,日本の作戦計画を予想することはできる。本紙でこれまでにもたびたび述べてきたように,戦争は海軍の交戦で始まるだろう。
ロシアの海軍力は現時点で3戦隊に分かれている。最大のものは旅順にあり,もう1つはウラジオストクにあり,3つ目はスエズからこちらに向かっている
が,その前方にはジェノヴァからの日本の新鋭巡洋艦2隻がいる。日本はこれら3戦隊の部分の中央に位置し,戦略的に有利な立場にある。
数日前に得た情報では,ロシア艦隊のウラジオストクにいる戦隊が旅順の主力に合流するために出発したが,氷のため4ノット以上の速力を出すことができず,ウラジオストクへ戻らざるを得なかったという。
ウラジオストクへ戻った本当の理由は,日本の常備艦隊が朝鮮海峡で待伏せしていたからだ。われわれが待ち受けている最初の海戦は,ウラジオストク戦隊またはヨーロッパから来る戦隊が旅順の艦隊主力に合流するのを許さないとする日本の決意から発生するだろう。
そして春日と日進がシンガポール付近まで来たときに関心が高まり出すだろう。これまで得た電報から明らかなことは,この2隻は全速力で予定の戦場に向かいっつあるが,一方ロシア戦隊は,大型艦3隻の公称速力は20ノットだが,戦隊の一角を構成する水雷艇が足手まといになっているという。
東京から信頼できる情報が入らないため,あらゆる種類のうわさが飛び交っている。
狙撃兵4個大隊.砲兵1個大隊,それに工兵の分遣隊が陸路.旅順から鴨緑江
へ派遣されたという情報もあるが.このようなことはまずあり得ない,とわれわれは確信している。
アレクセーエフ総督が,旅順の兵力を削減することはあり得ない。それに,1年のこの時期に上記のように部隊を陸路移動させることは.きわめて危険な実験だ。
もし境線江の兵力を増強する必要があるなら,遼陽から送りそうなものだ。
遼陽の方がはるかに近いし,鴨緑江までの立派な道路もある。この道路はまさにこの目的のためにロシアが大いに改良を加えたものだ。ウラジオストクからの電報で今れわれが知っているのは,狙撃兵の2個隊が奉天から鴨緑江に派遣されたということだ。
日露両国とも,電信に厳しい検閲を実施しているから、公表された報告はすべ
て注意深く読まなければならない。上述の作戦計画の概略は推測に過ぎないが、蓋然性は高いと考えてよかろう。
日本の陸軍部隊は命令があり次第上船する準備ができているが,実際に出港するのは,予期される海軍の交戦が行われた後のことになるだろう。
関連記事
-
速報「日本のメルトダウン」(508)「将来に自信が持てなくなってきた西側諸国(英FT紙)「もう見捨てておけない中国の報道抑圧」
速報「日本のメルトダウン」(508) ◎「 …
-
「Z世代のためのウクライナ戦争講座」★「ウクライナ戦争は120年前の日露戦争と全く同じというニュース➂」『開戦2週間前の『ノース・チャイナ・ヘラルド』(1904年1月8日付) 』★『ロシアは極東全体の侵略を狙っており、日本はロシアの熊をアムール川の向こうの自分のすみかに送り返して,極東の平和と安全を,中国人、朝鮮人,日本人のために望んでいるだけだ』
2019/11/22 『日本戦争外交史の研究』 …
-
日本リーダーパワー史(791)ー 「日清、日露戦争に勝利」 した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス➈』●『明治36年4月、日露戦争開戦9ヵ月前にロシア・クロパトキン陸相が日本を敵前視察に乗り込んできた』★『クロパトキンの「日本陸軍秘密研究書」による日本軍の欠点『西欧的機関を表面的しか理解していない、無能な老将校が存在し、部隊長の決断が遅く変化に対応できない』
日本リーダーパワー史(790)ー 「国難日本史の歴史復習問題」 ★「日清、日露 …
-
『欲望・利益最優先資本主義から公益資本主義へチェンジする講座』★『百年以上前に<企業利益>よりも<社会貢献>する企業をめざせ、と唱えた公益資本主義の先駆者』ー渋沢栄一(日本資本主義の父)、大原孫三郎(クラレ創業者)、伊庭貞剛(住友財閥中興の祖)の公益資本主義の先駆者に学ぶ』
2019/01/09日本興亡学入門⑩記事 …
-
日本リーダーパワー史(540)「FOREIGN AFFAIRS REPORT」(2015年1月号)の警告➂「TPP交渉、農業改革は今年前半がラストチャンス」
日本リーダーパワー史(540) 「FOREIGN AFFAIR …
-
『オープン講座/ウクライナ戦争と日露戦争➅』★『英国の歴史家H・G・ウェルズは「日本国民はおどろくべき精力と叡智をもって、その文明と制度をヨーロッパ諸国の水準に高めようとした。人類の歴史において、明治の日本がなしとげたほどの超速の進歩をした国民はどこにもいない。』★『日露戦争』は川上操六プロデューサー、児玉源太郎監督、主演は川上の薫陶をうけた情報参謀の福島安正、柴五郎、明石元二郎、海軍は山本権兵衛、東郷平八郎、秋山真之らオールキャスト
2017/08/14   …
-
『リーダーシップの日本近現代史』(159)再録/知的巨人の百歳学(113)ー徳富蘇峰(94歳)ー『生涯現役500冊以上、日本一の思想家、歴史家、ジャーナリストの健康長寿、創作、ウオーキング!』
22018/12/01知的巨人の百歳学(1 …
-
日本リーダーパワー史(134) 空前絶後の名将・川上操六(23)日本のトップリーダー養成はなぜ失敗したか
日本リーダーパワー史(134) 空前絶後の名将・川上操六(23)日本のトップリ …
-
クイズ『坂の上の雲』 ベルツの『日本・中国・韓国』五百年の三国志②<日露戦争はなぜ起こったのか>
クイズ『坂の上の雲』 ベルツの『日本・中国・韓国』五百年の三国志② …
-
速報(474) ビデオ緊急座談会(60分)●「2020 年東京オリンピック開催を『新生日本』 のスタートダッシュにせよ。
速報(474)『日本のメルトダウン』 ビデオ …