日本リーダーパワー史(126)辛亥革命百年(28) 内山完造の『日中ビジネス論』「民間外交力』『前事不忘 後事之師』(2)
2018/10/16
『前事不忘 後事之師』
前坂 俊之(ジャーナリスト)

私が見たとか、事実存在しているというよりも、何々の書の第何節にどう書いてあったかということが、確められなければ信用できぬというのが日本の研究家の態度である。(中略)中国の文章なるものは、既に実際の事実から離れて、高く昇天しているものであり、生活の所産でなく頭脳の所産であり、有閑文化の精とでも称すべきものである。これのみによって中国を知り、中国人を解し得ようとするならば、それは全く滑稽なことである」
彼が「愚かなシナ人」であったが故に蒙ったいわれなき排外的差別なのである。西欧人に対しては排外思想があり、中国人、朝鮮人に対しては排外軽視の思想があった。だが、これは本質的には日本人の自信のなさを表明するものであり、劣等感の矛盾した1つの顕われ以外のなにものでもないのである。(小泉譲『評伝・魯迅と内山完造』五月書房、1989年)
「自分の努力はただその土台を成すものであって、社会条件の変化というものが実際には太らせる大きな力であると思うのである。だから富というものは社会に負う処が多いのであって、決して私すべきものでは無い。
誰でも富を私して平気でいられるのは、その富の成功を自分の努力によって得たものと、全く社会条件を無視した教え方をしているためである。自分の努力に社会条件が加わって成功して富を得るものであることを知らせさえすれば日本人は決して富を私する人間ではないのだ」
クリスチャン的な思想を持った内山はいろいろな文化事業や自然災害に対する救済事業などには積極的に参加して「儲けた金」を吐きだした。
この時、完造は精進料理で有名な「禅悦斉」から一卓を運ばせて歓待した。これも完造が身銭をきっての日中文化交流であった。内山の商売の基本は「商売には先ず捨石を打つことが第一歩」であるという信念。その後、谷崎潤一郎は「上海交友録」の中で内山書店を紹介してくれたので大いに宣伝になり、谷崎に対して感謝をした。(小泉譲『評伝・魯迅と内山完造』五月書房、1989年)
関連記事
-
-
★10「日本人の知の限界値」「博覧強記」「奇想天外」「抱腹絶倒」 ―南方熊楠先生の書斎訪問記はめちゃ面白い③
★10「日本人の知の限界値」「博覧強記/奇想天外/抱腹絶倒」 ―南 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(302)★『生死一如/往生術から学ぶ①『元気とは性欲、食欲、名誉欲、物欲、金銭欲がふつふつと煮えたぎっている状態、つまり煩悩である。その元気が死を覆い隠しているのです」とね。
2010/01/21   …
-
-
日本リーダーパワー史(858)ー来年1月からNHK大河ドラマ「西郷どん」が始まる。国難の救世主「西郷隆盛のリーダーシップ」に学ぶ。
日本リーダーパワー史(858) 国難の救世主「西郷隆盛のリーダーシップ」に学ぶ。 …
-
-
『全米を熱狂させたファースト・サムライのトミー(立石斧次郎)』――
1 <日本経済新聞文化面2004年8月2日朝刊掲載> 前坂 俊之<静岡県立大学国 …
-
-
★『リクエスト再録記事 (2013/02/14 )』宮崎滔天ー―尖閣問題で軍事衝突が危惧されている今こそー100年前の中国革命(辛亥革命)の生みの親・宮崎滔天に『日中両国民』は学ばなければならないー
2013/02/14 に執筆 ―尖閣問題で軍事衝突が危惧されて …
-
-
『明治から150年― 日本の歴代大経営者(最初はみんな中小企業) の遺言、経営訓、名言のすべて』 ★『昭和経済大国』を築いた男・松下幸之助(94歳)の名言30選」★『松下の生涯は波乱万丈/『経済大国サクセスストーリー』● 『企業は社会の公器である』 ● 『こけたら立たなあかん』● 『ダム経営は経営の基本である』● 『経営は総合芸術である』●『無税国家」は実現できる』●『長生きの秘けつは心配すること』
『明治から150年― 日本の歴代大経営者(最初はみんな中小企業) の遺言、経 …
-
-
日本リーダーパワー史(835)(人気記事再録)『明治維新150年』★『日露戦争勝利の秘密、ルーズベルト米大統領をいかに説得したかー 金子堅太郎の最強のインテジェンス(intelligence )⑦』★『日本軍はなぜ強いのかー武士道に根源あり』★『正義の主張も腕力の裏付けなくしては貫徹できない』◎『日本海海戦勝利に狂喜した大統領は「万才!」と 漢字でかいた祝賀文を金子に送る』
<日本最強の外交官・金子堅太郎⑦> ―「坂の上の雲の真実」ー 『日本軍はなぜ強 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(121)/記事再録☆/『リーダーをどうやって子供の時から育てるかー福沢諭吉の教育論は『英才教育は必要なし』★『勉強、勉強といって、子供が静かにして読書すればこれをほめる者が多いが、私は子供の読書、勉強は反対でこれをとめている。年齢以上に歩いたとか、柔道、体操がよくできたといえば、ホウビを与えてほめる』
2012/10/2 …
-
-
日本リーダーパワー史(847)ー『安倍首相は25日午後に衆院解散の記者会見して、理由を表明する』★『明治150年で朝鮮半島有事と日清、日露戦争、今回の米朝開戦か?と衆議院冒頭解散の歴史的な因果関係を考える』①
日本リーダーパワー史(847) 安倍晋三首相は25日午後に、衆院解散に関して記者 …
-
-
日本リーダーパワー史(49)名将・川上操六のモルトケ戦略の応用とは・・ロジスティックの重視⑤
日本リーダーパワー史(49)名将・川上操六のモルトケ戦略の応用⑤ <クイズ『坂の …