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世界リーダーパワー史(940)ー注目される「米中間選挙」(11/6)と「トランプ大統領弾劾訴追」はどうなるのか、世界がかたずをのんで見守る(上)

      2018/10/02

注目の「米中間選挙」(11/6)と「トランプ大統領弾劾訴追」はどうなる(上)

              前坂 俊之(静岡県大名誉教授)

米中選挙(11月6日)が1ゕ月後に迫ってきた。8月中に開催されたムラー特別検事のロシアゲート事件の裁判ではトランプ大統領の最側近らが大統領の指示でやったことを認める司法取引に応じて有罪となった。

さらに9月に入って「大統領キラー」として著名なジャーナリスト・ボブウッドワード氏の新刊でトランプ氏の「暗愚の帝王」ぶりを徹底的に暴露し、その概要を「ワシントンポスト紙」がスッパ抜けば、翌日には、政府高官が匿名でこの事実を裏付ける内部告発論説を「ニューヨークタイムズ」に投稿するなどトランプ大統領弾劾へ向けたメディアの一斉砲列が続き、中間選挙の行方にがぜん注目が集まっている。今回も緊急座談会を開いた。

 

「8月に入って情勢が一変したね。1つはウォーターゲート事件でニクソン大統領を辞任に追い込んで名をはせ、次々に歴代大統領の内幕ものを書いたジャーナリストのボブ・ウッドワード氏が11日に発売の新著「Fear;Trump in the White House」(恐怖─ホワイトハウスの中のトランプ)」の中で、トランプ大統領の無知な暴君ぶりを徹底的に暴いたが、その概要を「ワシントン・ポスト」が4日に報道した。この抜粋を読んだだけで、核兵器のボタンをもって世界の運命を握るアメリカ大統領の狂乱状態に振り回されている「ホワイトハウス」の惨状がよくわかる。

第2次世界大戦中にチャップリン監督主演で製作された「独裁者」(1940年、米国公開)はヒットラーの仮面をはがした映画史上に残る最高傑作ですが、これを思いだしたよ。

「この新刊はとびっきり面白いね。ウッドワード氏によると、昨年4月、シリアのアサド政権が民間人に対し化学兵器を使用した際には、トランプ氏はマティス国防長官にアサド大統領の暗殺を要求した。トランプ氏は「あいつをぶち殺そう! 乗り込もうじゃないか。あいつらを大勢殺してやろう」と発言したという。マティス氏は賛同し「すぐに取りかかります」と返事をしたものの、電話を切った後、側近に対して「米国はもっと慎重な措置を講じる」と命じて,アサド大統領を標的としない限定的なミサイル攻撃を行った。その結果があの通常的なミサイル空爆となった。

「また、日本で米朝戦争の危機が叫ばれていたころの今年1月19日の米国家安全保障会議(NSC)で、トランプ大統領は『なぜ巨額の費用がかかる在韓米軍を朝鮮半島に駐留させているのか』と質問した。マティス国防長官は「第3次世界大戦を阻止するためです」と米軍のプレゼンスの重要性を説いたが、大統領はよく理解できなかったらしい。会合後、マティス長官は側近にトランプ氏は「行動も理解力も小学校5~6年生並みだ。10~11歳程度だ」と漏らしたという(笑)

「モラ―特別検事の取り調べの模擬裁判シーンなどなどは全くチャップリンのドタバタコメディーだね。トランプ大統領の個人的な顧問弁護士ジョン・ダウド氏は1月27日、トランプ氏と模擬裁判を行った。トランプ大統領がムラー特別検察官の事情聴取に応じたシーンだが、トランプ氏は厳しい追及にいらだってカンカンに怒り「でっちあげ」と大声で罵倒した、という。

ジョン・ダウド弁護士は「これではダメだ。証言すれば囚人服だ」 と判断して、ムラー特別検察官と面会し、トランプ大統領が「ばかみたいな」真似をしてしまうのを、認めるわけにはいかないと伝えた。その後、トランプ氏が考えを変えて聴取に応じる姿勢を示すと、ダウド氏は辞任した、という。(BBC)。これなど、トランプの有罪の証拠を自ら示したものではないかね。」

★「クレイジーハウス」になりは果てた「ホワイトハウス」

「ジョン・ケリー大統領首席補佐官は他の職員らとの会話でも、トランプ氏を「錯乱」した「間抜け」呼ばわりし、「彼を説得しようとするのは無意味だ。彼は常軌を逸してしまった。ここはクレージータウンだ。われわれがなぜここに居るのかさえ、私には分からない。これは私の人生最悪の仕事だ」と語ったという。ホワイトが『クレイジーハウス』になりは果てたというわけです。 トランプ氏の側近らは、政府がどのように機能するか把握していない上に学習する能力や意思のないトランプ氏に困惑しており、2月に辞任した側近の一人は「もはや大統領制もホワイトハウスも体を成していない。トランプ氏が意のままに振る舞っているだけだ」という。これはまるでマンガだよ(笑)。

「ウッドワード氏の新作発表の衝撃に続いて翌5日、今度は『ニューヨーク・タイムズ』(9月5日付)が「私はトランプ政権内部のレジスタンスの一員だ」という匿名の論説記事を掲載したのです。キャリア官僚ではなく政治任用官だと断っている。これはウオーターゲイト事件でウッドワード氏が所属していた「ワシントンポスト」が追及すれば、ライバル紙の「ニューヨークタイムズ」が『ペンダコンペーパー』(ベトナム戦争を分析及び報告した国防総省の最高機密文書)をすっぱ抜いたのと同じケースですね。この8月に 批判的なメディアを「フェイク(偽)ニュース」と攻撃するトランプ米大統領に対し、「『ニューヨーク・タイムズ』など全米約300紙の新聞社が報道の自由を訴え「トランプ氏は民主主義にとって危険。メディアは国民の敵ではない」と反論する社説を一斉にインターネットで掲載し、いよいよ「仁義なき戦い」死闘編というわけだ。」

「「私はトランプ政権内部のレジスタンスの一員だという」匿名の論説記事の概要はこうです。

トランプ政権内の高官たちの多く人々が、大統領が行なうテーマや行動の一部を懸命に止めようとしている。私はその高官の一人だ。トランプ政権で任命された高官たちの多くは、民主制度を守りつつ、政権終了時まで、間違った政策を行おうとするのを阻止しようと誓った。トランプ大統領の道徳観念は欠如している。大統領は保守派たちによって支持されてきた理念などには関心はない。ただし、ホワイトハウスの部屋には「大人たち」がおり、われわれは何が起こっているのかをしっかりと把握しているし、ドナルド・トランプが正しくない時でも正しいことをしようと努力している。

その結果が、大統領の権力が二つに分断されている。トランプ大統領は「独裁者好き」であり、同盟国を敵視している。政権内にはその反対グループがあり、世界中の同盟国とは、手を取り合うべきだと考えている。

閣内には大統領の弾劾に関する複雑な手順を開始する「米国憲法25条」を発動せよという声が早くからあった。われわれはできる範囲でトランプ政権が終わるまで、正しい方向に修正するために「静かな抵抗」をしている、と断言いしている。」

「ただしね。こういう情報はトランプ政権スタート時から継続的に報道されていたものですよ。この座談会電でも取り上げたものだし、「ニューズウイーク日本版」でも「トランプは正気じゃない-また浮上した「心の健康不安」説」,「トランプ大統領に70人以上の専門家が認知症を指摘…その凄い内容」などの記事がズラリと出てくる。『認知症的」「品性下劣な異常な言動」「お前はクビだの連発」はトランプの常軌を逸した病的な言動で、大統領予備選からメディアで指摘されていた。それが選挙で間違って大統領になったので、歴代大統領で最も偉大な大統領になったと錯乱している。いよいよ病膏肓(こうもう)です。』

「ニューヨークタイムス」がすっぱ抜いた後の政権内部のてんやわんやぶりはまさしく、C級コメディーのお粗末ぶりで、世界の人々は唖然だね。トランプ氏も戦々恐々で「犯人を捜し出せ!」「国家反逆罪だ」と怒鳴りまくり、この日、ホワイトハウスで予定されていた多くの会議が取りやめになった。大統領は「国家安全保障の担当者か司法省の関係者ではないか、信用できるの「自分の子どもしかいない」と漏らしているというから、ホワイトハウスは『クレイジーハウス』「お笑いトランプ劇場」です。(笑)』

  • ホワイトハウスは「お笑い、そしてゾッとするトランプスリラー劇場」

「政治賭けサイトでは、犯人捜しの予想上位にはコーツ国家情報長官、ペンス副大統領、ニールセン国家安全保障長官の3人の名前が挙がっが、ホワイトハウスの高官たちは一斉にメディアに否定したコメントをだした。トランプ大統領はこの日、ツイッター魔のトランプ氏は「ディープ・ステート(闇の国家)と左派、彼らの媒体であるフェイク(偽)ニュースメディアは狂乱状態に陥っている。心配するな、われわれは勝利する!」と豪語したというから、今度はトランプ推理劇場「そして犯人は誰もいなくなっただね。トホホだよ」

「ここで一連の流れを整理しますよ、8月中にトランプの懐刀たちがトランプを裏切って相次ぐ司法取引でト有罪を認め、減刑処分を受けた。その結果,ムラー特別検事の捜査の手がいよいよトランプ本人せまってきたわけです。トランプ自身もそれまでタブーだった「弾劾裁判」について「俺が弾劾されれば株価は大暴落する」など触れることが多くなった。トランプも内心、ひやひやなのです。

 

それが9月早々に「全米第一のジャーナリストのウッドワード氏のうそつきトランプの正体を暴露する本が出版された。その翌日にトランプ政権の高官が内部からトランプの認知症、サイコパス的体質を改めて国民に訴えた、いわば政権内部の言論クーデターなのです。権力闘争がますますは激しくなっているわけだが、これは中間選挙の投票に大きく影響するでしょうね。それと、64年ぶりの勢力でアメリカ南東部上陸した「ハリケーン・フローレンス」の被害など地球温暖化問題無視のトランプ大統領への批判票がどうハネかえるかもみものです。」

 

「8月21日、トランプ氏個人の元顧問弁護士であるマイケル・コーエン氏がニューヨークの連邦地裁で司法取引に応じ、「トランプ氏の指示のもとで不倫関係にあった2人の女性に口止め料を選挙資金の中から支払った(選挙資金法違反)」を証言し有罪となった。コーエン被告の弁護士のラニー・デービス氏は判決後に「これがコーエン被告の罪ならば、トランプ氏も当然罪となるのではないか」と語った。翌朝、トランプ大統領は「でっちあげだ」と激しく非難し「口止め料は自分のお金で支払った。選挙資金は使っていないので選挙資金法違反ではない」とツイッターで反論した。しかし、大統領は当初、不倫自体を認めず、支払いについても知らないと強弁していたのが、うそだったことが今回、明確になった。」

「コーエン氏は10年以上もトランプ氏の顧問弁護士を務めて、訴訟取引や裏工作を一手に引き受けてきたいわば「汚れ役」、懐刀です。トランプ一族が経営する不動産会社「トランプ・オーガニゼーション」(企業コングロマリッド)の海外取引にも携わり、2018年4月、連邦捜査局(FBI)はコーエンの事務所や自宅を捜索し、押収した資料の中で2人の女性に支払われた口止め料の証拠をつかんだ。検察官は司法取引に応じなければ、何年も服役するぞと圧力をかけて、司法取引に応じさせたのです。2016年の米大統領選中にトランプタワーで行われた長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏とロシア人弁護士との面会について、コーエン氏がモラー特別検察官に対し、大統領は事前に承認していたと証言したといわれている。」

モラー特別検事の『ロシアゲート事件追及』はどこまで進んだか

 

「彼だけではなく、捜査の手はトランプの財産形成にあてられて、トランプ・コングリマリッド(企業集団)の最高財務責任者(CFO)のアレン・ワイセルバーグ氏も大統領選の直前、女性の1人に口止め料を支払ったことが分かった。ワイセルバーグ氏はトランプ氏の“金庫番”で、1970年代にトランプ氏の実父フレッド氏の会計士になり、息子のトランプ氏の時代になっても、同企業やトランプ氏個人の経理を任せられ、トランプ氏のカネの全体の流れを把握する人物です。同社はコーエン氏がポルノ女優に支払った口止め料13万ドルの返済金として、ボーナスを含め42万ドルを同氏に払っており、ワイセルバーグ氏はこの経緯を詳細に知る立場にあった。ワイセルバーグ氏も司法取引をして刑事訴追を免除されている。つまり、トランプ懐刀の2人が有罪を認めたことで、トランプは一挙に窮地に追い込まれている。」

「また、これとは別に大統領選挙でトランプの外交政策顧問を務めていたジョージ・パパドプロス被告も9月7日、ロシア疑惑を捜査しているFBIに偽証言したとして禁錮14日の有罪判決を受けた。パパドプロス被告は、トランプ陣営のトップから2016年にロシアとパイプを作るように指示され、ヒラリー・クリントン氏に不利な情報をロシア側と共有したのです。

トランプ大統領はコーエンの有罪証言に対して「僕が弾劾されるようなことがあったら、おそらく市場は暴落して、みんなすごく貧乏になると思う」と強気の発言をしている。」

つづく

 - IT・マスコミ論, 人物研究, 現代史研究

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