日本経営巨人伝⑯藤原銀次郎の教え『「王子製紙」を再建して「製紙王」となった藤原銀次郎の成功するための15ヵ条』
2015/01/01
日本経営巨人伝⑯藤原銀次郎の教え
「聞きしにまさるボロ会社だった王子製紙」を再建
して「製紙王」となった藤原銀次郎の経営哲学
―愉快に働き、成功するための15ヵ条―
前坂 俊之(ジャーナリスト)
製紙王と呼ばれた王子製紙創業者・藤原銀次郎1869-1960、90歳)
藤原銀次郎は赤字会社に転落し、行きづまっていた王子製紙の経営を預かり、世界的な大会社に作り上げ、「日本の製紙王」とよばれた。長野県出身。十七歳で慶応義塾に進み、松江日報の主筆、社長となり1895年(明治28)に改革中の三井物産に転じ、木材部長としてパルプ事業の開発に着手。

191年(同44)、専務に就任した。人材を抜擢して外人技師も活用して陣容を立て直し、
ボロ工場を切り捨て、優秀な機械技術は苫小牧と王子工場に集中させた。
ボロ工場を切り捨て、優秀な機械技術は苫小牧と王子工場に集中させた。
こうして大正三年、樺太にパルプ工場を建設し、製紙とパルプの事業体制を築き、
同九年社長となった。富士製紙を率いるライバル大川平三郎と競争し、昭和8年、
吸収合併して製紙界を制覇した。
同九年社長となった。富士製紙を率いるライバル大川平三郎と競争し、昭和8年、
吸収合併して製紙界を制覇した。
1939年(昭和14)に藤原工業大学(現慶大工学部)を設立した。戦時中、
政界にかつぎだされた商工、国務、軍需相になったため戦犯容疑に問われたが、
すぐに解除された。昭和三四年、藤原科学財団を設立、余生は造林に捧げ、九〇歳の長寿を全うした。
政界にかつぎだされた商工、国務、軍需相になったため戦犯容疑に問われたが、
すぐに解除された。昭和三四年、藤原科学財団を設立、余生は造林に捧げ、九〇歳の長寿を全うした。
その藤原の仕事術が十ヵ条である。
愉快に働き、成功するための15ヵ条
① 仕事を自分のものにせよー
自分のやっている仕事は、会社のものでもなければ重役、部長のものでもない。あくまで自分のものである。また、自分のものにしなければ愉快になれないし、熱心にもなれない。したがって能率も上がらない。
自分のやっている仕事は、会社のものでもなければ重役、部長のものでもない。あくまで自分のものである。また、自分のものにしなければ愉快になれないし、熱心にもなれない。したがって能率も上がらない。
② 仕事を自分の学問にせよー
どんな仕事をあてがわれても、決してこれを馬鹿にしてはならない。外見的にいかにつまらない仕事であっても、全体的、本質的にもつ意義は大きい。そこに生きた学問と勉強の道は発見される。
どんな仕事をあてがわれても、決してこれを馬鹿にしてはならない。外見的にいかにつまらない仕事であっても、全体的、本質的にもつ意義は大きい。そこに生きた学問と勉強の道は発見される。
③ 仕事を自分の趣味にせよー
イヤイヤやっている仕事に、いい成績の上がったためしはない。愉快に働くことの第一は仕事に趣味を発見することだ。
イヤイヤやっている仕事に、いい成績の上がったためしはない。愉快に働くことの第一は仕事に趣味を発見することだ。
④ 卒業証書はないものと思えー仕事の不平不満は概して大学出に多い。それも一流大学出に多い。学校は学校、仕事は仕事、会社へ入れば会社の幼稚園からやり始めなければものにならない。
⑤ 月給の額を忘れよー愉快に働くためには、まず月給を忘れよ。月給を忘れて仕事を忘れるな。報酬は必ずその働きを追いかけるものだ。
⑥ 仕事に使われて、人に使われるなー
人には往々、嘘は言えるが、仕事には決してごまかしはきかない。正直に働く者には正直にその効果を示す。
人には往々、嘘は言えるが、仕事には決してごまかしはきかない。正直に働く者には正直にその効果を示す。
⑦ 時々、必ず大息を抜けー
いかに活動的な人でも、いつも根をつめて働き続けるわけにはいかない。だから、いつまでも働き続けようとするなら、適度に仕事の大息を抜かねばならぬ。それがまた、実際にはより一倍の能率を上げる。
いかに活動的な人でも、いつも根をつめて働き続けるわけにはいかない。だから、いつまでも働き続けようとするなら、適度に仕事の大息を抜かねばならぬ。それがまた、実際にはより一倍の能率を上げる。
⑧ 先輩の言行に学べー
先輩は先輩としてだけに、どこか後輩の及び難い美点長所を持ち合わせているものだ。とくに、経験と思慮を必要とする仕事にそれが多い。
先輩は先輩としてだけに、どこか後輩の及び難い美点長所を持ち合わせているものだ。とくに、経験と思慮を必要とする仕事にそれが多い。
⑨ 新しい発明、発見に努めよー
どんな仕事にも改良の余地は残されている。一つの仕事に没頭すれば自然と発明、発見のチャシスがあり、それを目ざして努力すれば仕事は一層楽しくなる。
どんな仕事にも改良の余地は残されている。一つの仕事に没頭すれば自然と発明、発見のチャシスがあり、それを目ざして努力すれば仕事は一層楽しくなる。
⑩ 仕事の報酬は仕事であるー
人間は無為にして、一生を過すことほどさびしいことはない。何もしないで時を過すほど苦痛はない。人間がある一つの仕事をやり、仕事を完成するほど愉快で楽しいことはない。仕事の最大の報酬は仕事それ自体である。
人間は無為にして、一生を過すことほどさびしいことはない。何もしないで時を過すほど苦痛はない。人間がある一つの仕事をやり、仕事を完成するほど愉快で楽しいことはない。仕事の最大の報酬は仕事それ自体である。
⑪ 世の中はせんじつめれば、「成功」競争であるー
世の中はこの人間の成功心でもっているようなものだ。人間それぞれ、大なり小なり、成功心があればこそ、個人生活も成り立ち会社事業もおこなわれ、産業経済も発展し、社会も日に新たに進歩するのである。この意味において、人間が成功を願望するは恥ずべきでなく、またいやしむべきでもない。
⑫ この道-筋を貫けー
その秘訣を聞きに来る。まず第一は、何よりも信用だ。
何事も信用というものが先に立つ。ご承知のように、華僑というものは、どこの国の人間よりl番信用がある。商売にはど
うしてもその信用が必要だ。それはどういうわけかというと、政治が乱れてくると、政府に信用がおけなくなる。そういう
ときには人を信用するはかない。
若い学生やサラリーマンで、自分の一生をどうしたらいいか、金ができるだろうか、どうしたら成功するだろうか、
その秘訣を聞きに来る。まず第一は、何よりも信用だ。
何事も信用というものが先に立つ。ご承知のように、華僑というものは、どこの国の人間よりl番信用がある。商売にはど
うしてもその信用が必要だ。それはどういうわけかというと、政治が乱れてくると、政府に信用がおけなくなる。そういう
ときには人を信用するはかない。
⑬ 新しいアイディアは大切だがそれを実行することは、さらに大切であるー
新しい思いつきも実行にうつし、実際にやり遂げて、初めてそこに思いつきが成功となる。
新しい思いつきも実行にうつし、実際にやり遂げて、初めてそこに思いつきが成功となる。
⑭ 仕事の上での思いつきはどこから生まれてくるかー
のできないようなものをねらってはいけない。成功者のすべては、小さな思いつきを馬鹿にしなかった人々である。
それは熱意である。ただに一つ、熟心からくるー思いつきはむしろ小さいところから始めるがよい。大きすぎて実行
のできないようなものをねらってはいけない。成功者のすべては、小さな思いつきを馬鹿にしなかった人々である。
⑮ 『ギブ・アンド・テイク』は人間社会の鉄則である
よすぎる。これは必ずしも物質上の問題だけではなく、物外のギブ、たとえば努力、考案、研究、発明、修業についてもいえる
。実業の精神はまず、この簡単な理念をあらゆる面でおしすすめて行くものである。世の中の万事万物は、それに相当す
る報酬なくしては得られない。
ーギブ・アンド・ギブでは物事は永続しがたいし・テイク・アンド・テイクではあまりにもムシが
よすぎる。これは必ずしも物質上の問題だけではなく、物外のギブ、たとえば努力、考案、研究、発明、修業についてもいえる
。実業の精神はまず、この簡単な理念をあらゆる面でおしすすめて行くものである。世の中の万事万物は、それに相当す
る報酬なくしては得られない。
自分の仕事も満足に出来ないのに月給が安いだの、昇給がおそいだの文句をいう。サービスをおしんで商売繁盛しないのを
をなげ のも、みなこの精神「ギブ・アンド・テイク」の欠けたナマケものの泣き言である。
をなげ のも、みなこの精神「ギブ・アンド・テイク」の欠けたナマケものの泣き言である。
まず自分から何物かを与える。そうすれば世の中は必ず何物かを返してくれる。
関連記事
-
-
『Z世代のための米大統領選挙連続講座⑤』★『トランプ氏暗殺未遂事件の衝撃(7月13日)★『トーマス・クルックス容疑者(20歳)犯行のプロセス』★『1インチの奇跡が歴史を変えた。助かったトランプ氏』
前坂俊之(ジャーナリスト) トランプ前大統領の暗殺未遂事件を見た瞬間、私は60年 …
-
-
『Z世代のためのオープン講座』★『2022年の世界情勢はどう変化したのか(下)』★『習近平氏、異例の3期目で強権独裁時代を確立』★『「三重苦」の中国経済の失敗・低迷』★『●ウクライナ戦争、ロシアは敗北中へ』★『ロシア軍はクライナ南部の要衝ヘルソンから撤退』
前坂俊之(静岡県立大学国際関係学部名誉教授) ●『習近平氏、異例の3期目で強権独 …
-
-
『 地球の未来/世界の明日はどうなる』ー『2018年、米朝戦争はあるのか』⑦『「北朝鮮を容赦しない」と一般教書演説で見せたトランプ大統領の「本気度」』★『ヘーゲル元米国防長官「北朝鮮への先制攻撃は無謀。日本も大惨事を免れない」』★『米海兵隊トップ、北朝鮮との地上戦に言及「厳しい」戦闘に備え』★『中国が密かに難民キャンプ建設──北朝鮮の体制崩壊に備え』
『2018年、米朝戦争はあるのか』⑦ トランプ米大統領は1月30日、就任後初と …
-
-
『Z世代への戦後80年の研究講座』★「再録・終戦70年・日本敗戦史(83)記事』★「空襲はない、疎開は卑怯者のすること」と頑迷な東條首相は主張ー田中隆吉の証言➂』
2015/06/02終戦70年・日本敗戦史( …
-
-
『震度6、大阪北部地震発生、参考記事を掲げる②』―★記事再録『2016年4月の熊本地震から2ゕ月』(下)『地震予知はできない』ー政府は約3千億円を つぎ込みながら熊本地震まで38年間の『 巨大地震』の予知にことごとく失敗した。<ロバート・ゲラー東京大学理学系教授の正論>』
『地震予知はできない』ー政府は約3千億円を つぎ込みながら熊本地震まで38年間の …
-
-
『Z世代のための日本スポーツ史講座』★『パリ五輪の日本柔道の苦戦を見ながら、加納治五郎の奮闘を思い出した』★『なぜ1940年(昭和15 年)の東京大会は幻のオリンピッ クに終わったのか?』★『グローバリズムの中での『大相撲騒動』の行方はー 「アジアの田舎相撲」か「国際競技・SUMOU」への分かれ目にある』
2017/12/14 日本リーダーパワー史(863)記事再録 日本 …
-
-
『Z世代のための日本最初の民主主義者・中江兆民講座⑤』★『日本最初の告別式である『中江兆民告別式』での大石正巳のあいさつ』
2019/09/22 /『リーダーシップの日本近現代史』 …
-
-
日本リーダーパワー史(375)名将・川上操六(47)北朝鮮の恫喝外交を見ながら日清戦争の政府、軍当局の対応を比較する
日本リーダーパワー史(375) 空前絶後の名将・川上操六(47) 北朝鮮の …
-
-
日本リーダーパワー史(386)児玉源太郎伝(8)川上、田村、児玉と歴代参謀総長はそろって日本救国のために殉職した。
日本リーダーパワー史(386) 児玉源太郎伝(8) ① & …