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池田龍夫のマスコミ時評(56)『電力9社の株主総会「物言う株主」』●『原発再稼動反対の市民デモが拡大』

   

 池田龍夫のマスコミ時評(56)
 
●『電力9社の株主総会「物言う株主」(6・29
●『
原発再稼動反対の市民デモが拡大(6・25)
「オスプレイ配備」の不安は拡大」(6・25)
 
 
池田龍夫(ジャーナリスト
 
電力9社の株主総会「物言う株主」(6・29
 
 沖縄電力を除く9電力の株主総会の株主総会が6月27日各地で開かれたが、「脱原発」の株主提案はすべて否決された。しかし東京都や大阪市などの株主から、電力会社の体質改善を求める声は強く、4時間を超す緊迫した質疑が繰り広げられた。しかし、電力会社側の反応は相変わらずで、「3・11後」の改革意欲が見られなかったのは悲しい。
 
 「実質国有化」が決まった東電の下河辺和彦新会長と広瀬直己新社長は28日午前、記者会見に臨んだが、「信頼回復に近づくために、血のにじむような努力をしていく」との弁明に終始。政府が5月10日発表した「東電総合事業計画」の見通しでは、来年4月から柏崎刈羽原発の再稼動を前提として、料金算定している点は重大だが、新経営陣はこの方針を踏襲するに違いなかろう。
 
                                   泉田新潟県知事も「無責任な政府」と反発
 
泉田裕彦新潟県知事が直ちに、「福島事故のけじめもつけられない中で、再稼動を前提とした方針は承服できない」と反論した。5年前の2007年7月16日、震度6強の地震が柏崎刈羽原発に甚大な被害を引き起こしたことを忘れてはならない。想定外の揺れで原発機器が損傷、屋外変圧器で火災が発生。微量の放射性物質が海に流出し〝間一髪〟の危機的状況だった。東電はこの教訓を生かさず、「3・11事故」を引き起こしたとの反省を強烈に持つべきだった。地震対策が脆弱な原発立地の首長として泉田知事が、市民の安全を守るために政府に物申すことは当然なことである。
 
野田佳彦首相が6月8日、大飯原発について「安全性を確認した」として再稼動を表明したが、泉田知事は即座に反対のノロシを挙げた。
「福島事故はいまだに収束せず、事故検証も進んでいない。このような状況下で専門家でもない総理が安全性を確認できるはずがない。万が一の事態が生じた場合の対策も固まっていない中で『安全を確認した』と表明することは,新たな『安全神話』を創造することになり、極めて無責任だ。米国原子力委員会(NRC)では、爆発や火災によってプラントの重要な部分が失われるシビアアクシデントに備えて『B.5.b 』(米原発のテロ対策)を準備している。国民生活を人質にして、安全を軽視した宣言となっていることは極めて遺憾である」との反論に、多くの国民は共感するに違いない。
 
                                「大飯原発再稼動」に便乗の動きを警戒
 
原発に50%強頼ってきた関西電力は夏の電力不足を訴えているわけだが、東電の電力供給は夏場も大丈夫との試算が出ている。大飯原発再稼動に便乗して、各地で再稼動への動きがあることに 国民はもっと警戒の目を向けなければならない。
今回の電力9社の株主総会ではドラスティックな決議は実らなかったが、猪瀬直樹東京都副知事や橋下徹大阪市長ら自治体トップが「物言う株主」として発言した意義は大きい。
 
 
 
    原発再稼動反対の市民デモが拡大(6・25)
 
 
3月に市民ネットワーク・首都圏反原発連合の呼びかけで始まった「大飯原発・再稼動反対集会」は、回を重ねるごとに参加者が増え、国民運動の色合いを濃くしてきた。

6月22日の抗議行動には約4万5000人(主催者側発表)が集まって、霞ヶ関周辺は騒然。「再稼動反対」のシュプレヒコールを叫んで、首相官邸までデモ行進した。デモ隊の列が700㍍にも及んだというから、「60年安保闘争」時を思わせる動員力だ。
 

1週間前の6月15日にも同様1万1000人規模のデモが国会周辺であったが、52年前のこの日に樺美智子さん(東大生)はデモの渦で圧死した。駆け出し記者時代の興奮は忘れられず、大々的に紙面展開したことを思い出した。

これに比べ、今回のような市民運動に対する関心がメディア側に希薄になっている現状は気がかりだ。6月23日の各紙を点検すると、1面・社会面で大報道したのが東京新聞。毎日新聞の社会面扱いは妥当と思えるが、朝日新聞は第3社会面に2段相当。読売・日経・産経は扱っておらず、テレビ報道もまた冷淡だった。
 

政局混迷が目に余る現在、被災者や主婦が積極参加している市民運動の姿を伝えない、メディア側の責任は大きい。国際的にも市民運動が注目される中、記者クラブ中心の取材体制を見直さなければ、〝新聞離れ〟は加速するに違いない。
 
 
「オスプレイ配備」の不安は拡大」(6・25)
 
 
「沖縄戦没者慰霊の日」に当たる6月23日、糸満市摩文仁で追悼記念式典が行われ、野田佳彦首相ら5500人が参列した。沖縄県は普天間飛行場の県外移設を主張しているが、新たにオスプレイ(垂直離着陸機)導入問題が急浮上。多くの遺族らから「配備反対」の訴えが相次いだ。

野田首相は、相次ぐオスプレイ墜落事故について「深刻さは米国も承知している。(米側の)事故調査結果を踏まえて誠実に対処したい」と述べただけで、困惑の表情だ。一方、米側はいぜん強気で、毎日新聞23日付夕刊によると、カーター米国防副長官は森本敏防衛相との電話協議で「予定どおり配備を進めたい」と述べている。

 
        米海兵隊が、新たに本土で飛行訓練計画
 宜野湾市では6月17日、5000人余の市民大会を開いたが、「なぜ、墜落の危険性のある機種導入を急ぐのか」との抗議の声が相次いだ。
米海兵隊の報告書によって、「沖縄配備後には、キャンプ富士と岩国基地にオスプレイを随時派遣、本土6ルートでの訓練計画が明らかにされている。この報道に続いて、朝日新聞6月24日付朝刊は「6ルートとは別に、『ブラウン』と呼ばれるルートが設けられていることが海兵隊の取材で分かった」と報じた。兵庫県から島根、広島県の県境付近に至る中国山地に沿ったルートとみられている。
 
このように、米側の計画が次々明らかにされてきたのに、日本政府の「米国の指示待ち」のような無為無策にはあきれるばかりだ。
 
      別な機種への切り替えも一案   

米側は「オスプレイの機体に不具合はない」と主張するが、相次ぐ墜落事故の徹底検証抜きでの導入は危険きわまりない。沖縄だけではなく、本土を巻き込んだ反対運動が高まることは必至。別な機種への切り替えなど、少なくとも〝次善の策〟を、政府は米側に提示すべきではないだろうか。
 
      沖縄だけに「日米安保」のしわ寄せ
 
照屋寛之・沖縄交際大教授は東京新聞の取材(6月23日付朝刊)に応じ、「基地は出て行ってくれと言っているのに、オスプレイまで持ってこようとするやり方は全く理解できない。祖国復帰後も基地はなくならず、その重圧と軍人らの犯罪に苦しめられている。

47都道府県の一つでしかないのに、どうして沖縄だけが日米安保のしわ寄せを受けないといけないのか」と怒りをあらわにしていた。軍事ジャーナリストの神浦元彰氏は「オスプレイを安全と言いつのるのは、原発を安全と言い張るのと似ている。住宅地に近く世界一危険といわれる普天間に配備するのは止めるべきだ」と述べていたが、まさにその通りだ。

防衛政策のプロとして、森本防衛相に思い切った打開策を望みたいところだが、期待できるだろうか。
 
(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。

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