池田龍夫のマスコミ時評(104)◎『「沈んだコスト(使用済み核燃料サイクル)」破綻したプロジェクトに こだわる愚(1・31)』
◎『「沈んだコスト(使用済み核燃料サイクル)」―
破綻したプロジェクトにこだわる愚(1・31)』
池田龍夫(ジャーナリスト)
私企業では、新しいプロジェクトに膨大な資金を投入する際、入念に将来見通しを検討
したうえで、新分野に挑戦している。ところが政府には、巨額の資金を投じ、失敗したプロジェクトが目立っている。
巨額資金投じた「核燃料サイクル」を過信
その典型例をあげれば、「使用済み核燃料サイクル」への過信だ。六ケ所村(青森県)再処理工場は1993年建設され、核燃料からプルトニウムとウランを抽出する工場で、1993年に建設。
しかし、作業員が高濃度汚染物質を浴びる事故が頻発、東日本大地震(2011年)によって外部電源の喪失など、トラブル続きで未だに本格稼働していない。
また、プルトニウムなどを燃料にした高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)を稼動させる計画を立て、1985年本体工事に着手。1995年発電を開始したが、すぐ危険なナトリウム漏洩事故を引き起こしてしまった。
その後も作業員被曝などの事故が続発し、発電の見通しは真っ暗である。両工場につぎ込んだ費用は現段階で約2兆2000億円と1兆円という。計3兆2000億円も投じたのに、今も機器の故障によって、発電見通しはお先真っ暗である。
「原発再稼働」に執着する安倍首相
「プルサーマル計画は破綻した」と考えていた折、毎日新聞1月24日付コラム「発信箱」
に「沈んだコスト」との見出しで秀逸な記事が載り、共感を深めた。
「これだけ貢いのだから、もとをとるまで別れない。経済学の世界で『サンクコスト』と呼ばれる厄介な心理だ。サンクは英語で『沈んだ』。もう取り戻せない費用なのに投資を続け、泥沼にはまる。無駄なダム建設が止められないのも、つまらない映画を見続けて時間を失う、この心理ゆえらしい」と冒頭に〝新語〟」を紹介。
次いで『再処理・サイクル』より『直接処分』の方が安いことは推進派も認めている。再処理の実現性にも技術の安全性にも疑問符がついているのだ。サンクコストの呪縛に陥りやすいのは社会が大きく変化する時との見方もある』と指摘し、警鐘を鳴らしている。
太陽光、風力など新エネルギー開発こそ
この記事を読んで、現在の政治・経済の混乱にも当てはまると思った。安倍晋三首相の原発再稼働へのこだわり。全国50基ある原発は、問題点が多すぎて、現在電力を全く供給していない。
しかし別電源を利用して、真冬も真夏も停電ナシの社会を維持してきた。すでに破綻した原発から撤退。太陽光・風力・潮力・地熱発電など新たなエネルギー政策に踏み切り、官民挙げて努力すべき時である。
(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。
関連記事
-
-
オンライン講座/天才老人になる方法』★『長寿力こそ創造力、創造力こそ長寿力」★「70歳からの出発も遅くはない、あと30年健康で生き1日1生、1日1作(創造)と積み重ねていけばはるか千里の道をいくことができる。巨大な作品もつくることができる」
「70歳」の検索結果 142 件 http://www.maesa …
-
-
『オンライン講座/独学/独創力/創造力の研究➄』★『世界の発明王」エジソンは小学校で先生から「成績が悪い、劣等生だ」と叱られれ、以後、小学校には行かず、母親から「百科事典」(今でいうならGoogle)を基に教育を受けた。天才、リーダーは学校教育では作れない』★『秀才、優等生よりは、落ちこぼれ、落第生の方が天才になれるのよ』
2018/02/03百歳学入門(94) 記事転載 前坂俊之(ジャー …
-
-
『オンラインクイズ/全米の女性から最高にモテたファースト・イケメン・のサムライは誰でしょうか!?』★『イケメンの〝ファースト・サムライ〟トミー(立石斧次郎)は、全米に一大旋風を巻き起こ、女性からラブレター、ファンレターが殺到し、彼をたたえる「トミーポルカ」という歌までできた』★『ニューヨークではサムライ使節団を一目見ようと約50 万人の市民がマンハッタンを埋め尽し「トミー!こっちを向いて!」「トミー、バンザイ!」の大歓声。ジャパンフィーバー、トミー・コールが続いた(『ニューヨーク・ヘラルド』1860 年6 月17 日付) 』
『今から160年前の1860年(万延元年)2月、日米通商条約を米ホワイトハウスで …
-
-
「王の子供は王じゃない。王になるのは能力者」=南インド映画「数学の天才・アーナンド先生の教室」(2019年制作)をみて、いたく感動した。インド映画は哲学的、アクション、歌、ダンス、ラブコメディーあり、てんこ盛りで超楽しいよ。
「王の子供は王じゃない。王になるのは能力者」 このところ、インド映 …
-
-
世界リーダーパワー史(937)ー『トランプ大統領の弾劾訴追の可能性は?』★『弾劾訴追と上院、下院の関係の手続きはこうなる』
世界リーダーパワー史(937) ★弾劾訴追と上院、下院の関係の手続き …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(259 )/「シュバイツァー博士(90歳)の長寿の秘訣」★「世界的チェロ奏者のパブロ・カザルス(96歳)」の「仕事が長寿薬
2015/03/08 /百歳学入門(104 …
-
-
日本の最先端技術『見える化』チャンネル-★再録『働き方改革EXPO(2008 /7/11、東京ビッグサイト)』でのプレゼンベスト5」★『富士ソフトブースでの「日本マイクロソフトが行った働き方改革」の実践。』
2018/07/21日本の最先端技術『見える化』チャンネル再録 &n …
-
-
日本メルトダウン(995)ー『1930年代化する世界にファシズムは再来するか(池田信夫)「アメリカの平和」が終わり、日本が自立するとき』●『ジョセフ・スティグリッツ氏が語る「ドナルド・トランプが非常に危険な理由」●『不動産帝国の実態:ドナルド・トランプの利益相反 (英エコノミスト誌 2016年11月26日号)』●『新国防長官候補、マティス氏は本当に「狂犬」なのか 次期政権の人事案に秘められたトランプ氏の深謀遠慮』●『ソ連崩壊と同じ道を再び歩み始めたロシア ロシアとの安易な提携は禁物、経済制裁の維持強化を』●『「韓国に謝れ」産経に圧力をかけていた日本の政治家(古森義久)ー内なる敵がいた産経ソウル支局長起訴事件』
日本メルトダウン(995) 1930年代化する世界にファシズムは再来するか(池 …
-
-
歴代最高の経済人は誰か①ー『欲望資本主義を超克し、21世紀の公益経済学を先取りしたメッセの巨人』三井、三菱、その他の実業家より偉大な財界人・ 社会貢献の偉大な父・大原孫三郎から学ぶ③
『単に金もうけだけしか考えない人間が多すぎる、そんな拝金亡者が 世界中で地球の有 …
-
-
(まとめ)—近代日中関係の創始者・孫文と『支援した熱血の日本人たち』—辛亥革命百年秘話
(まとめ)—近代日中関係の創始者・孫文と 『支援した熱血の日本人たち』—辛亥革命 …
