前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(105)◎『女性研究者「STAP細胞」開発の快挙(2/5)』『ズサンな予算委ー安倍首相の強引な政治姿勢』 (2/3)

   

  

 池田龍夫のマスコミ時評(105)

 

◎『女性研究者「STAP細胞」開発の快挙(2/5)

◎『ズサンな予算委(安倍首相の強引な政治姿勢)

―国会は空転するばかり(2/3)

 

 

    池田龍夫(ジャーナリスト)

 

      女性研究者「STAP細胞」開発の快挙(2/5)

 

 

 学問からスポーツ・洋舞などでの活躍が最近の紙面に取り上げられ、鬱屈した日本社会を活性化させている。無味乾燥な政治報道、凶悪犯罪の続発で暗かった社会に、ひとすじの光が射し込んだような気分である。若い男性の活躍も、多くの国民を喜ばせているが…。

 

世界を驚かせた30歳の小保方晴子リーダーの研究に

 

 理化学研究所や米ハーバード大学での研究が実って「人工多能性幹細胞(STAP細胞)」の開発に成功した。山中伸耶・京大教授の「IPS細胞」開発とは違った手法を編み出したのが、30歳の女性研究者・小保方晴子さんで、国際的評価が全世界に広がっている。先端医学の分野での女性の発見は稀有なことで、日本の研究水準の高さに驚かされた。

 

1月30日付朝刊各紙によると、小保方さんは早大先進理工学部応用科学科卒。東京女子医大生命医科学研修生を経てハーバード大学で研鑽を積んで帰国した。現在は理化学研究所発生・再生科学総合研究センターのユニットリーダーの要職を務めている。

 今度の成果は共同研究によるものだが、主導役の小保方さんが試行錯誤を重ねて編み出した斬新な手法が、〝牽引車〟になったという。

 

     ローザンヌ・コンクールで、10代の男女が1位、2位に輝く

 

 第42回ローザンヌ国際コンクール最終審査結果が21日発表されたが、松本市の二山治雄さん(179)が1位、横浜市の前田紗江さん(15)が2位の快挙も嬉しいニュースだ。

 

バレエダンサーの登竜門といわれるローザンヌ・コンクールには、1518歳の男女295人が応募。最終審査に残ったのは20人。日本から応募の21人中男女3人ずつが最終審査へ進出したという。1989年の優勝者、熊川哲也さんが「日本が文化先進国であることが証明され、爽快な気分です」と語っていたように、日本人の誰もが絶賛しているに違いない。

 

 ソチ冬季五輪は27日開幕するが、高梨沙羅さん(17)=スキー・ジャンプ女子=羽生結弦さん(19)=男子フィギュア=ら10代の選手も多く、各種目でのメダル獲得の期待が高まっている。

 

「女性活用」も成長戦略の一環か

 

 これら明るい話題は国民を元気づけるが、連日紙面を賑わしている国会は、各党の駆け引きが目立つばかり。将来展望が開けてこないことに国民は苛立っている。安倍晋三首相のアベノミクスの動向が気がかりだが、首相は「成長戦略達成のため、女性の活用を進める」との繰り返しだ。

 

男女平等の戦後,まだまだ男尊女卑の風土は変わっていない。首相の「女性の活用」は、景気浮揚のためのキャッチフレーズに過ぎないのではないか。国民の多くは男女賃金格差の是正、保育所などの環境整備を望んでいるが、実態はお粗末な限り。もっと低所得者対策などにも積極的努力を払うべきである。

 

 

ズサンな予算委(安倍首相の強引な政治姿勢)

―国会は空転するばかり(2/3)

 

 国会審議は、熟議どころか形骸化して、国民の付託に応えていない。131日の衆院予算委員会の模様を視て、不誠実な安倍晋三政権の手練手管に振り回されていたことが悲しい。当日の委員会には民主党の論客が勢ぞろいし、先ず長妻昭議員が原発政策、特定秘密保護法などを追及。

 

岡田克也議員が日米密約の隠蔽と集団的自衛権を取り上げ、古川元久議員は賃金上昇・貿易赤字など直近のテーマに迫った。篠原孝議員は「環太平洋パートナップ協定(TPP)への対応などを追及した。最後に立った原口一博議員は、NHK新会長の放言・暴言問題の責任と政府の姿勢はいかにと厳しく迫った。

 

核持ち込みに広義の密約はあった」と苦渋の答弁

 

 安倍政権の重要テーマばかりだったが、既に報道しているような「方針に過誤はなく、修正する考えはない」と論議は全く噛み合わなかった。

安倍発言を一つあげれば、「核兵器持ち込み」を「ずっと国民に示さずに来たのは、私は間違いだった」と渋々認めたことだ。しかし首相は「この問題について政府としてどう考えているか示したい」と予防線を張ったような苦し紛れの答弁だったように感じた。民主党政権下外相だった岡田氏は密約の調査を主導、2011年に外務省の有識者委員会が検証の結果「広義の密約があった」と結論づけた経緯がある。

 

安倍首相の靖国神社参拝に対し、米国・中国・韓国・欧州連合・国連などから批判の声が相次いだ。毎日新聞131日付朝刊コラム「発信箱」は、「『経済と政治の方程式はアベノミクスからアベドゲンに変わった』と、香港のサウスチャイナ・モーニング・ポストは安倍首相の靖国参拝後、批判的な指摘をしている。

 

アベドゲンは安倍首相と、世界の終わりを意味するハルマゲドンをかけた造語である」。(中略)『アベノミクス投資を言う前に、まずアベドゲンの雲を払い切ることだ』と筆者は警告している。――安倍首相の強引な政治運営が、世界の顰蹙を買っている現状を理解してない首相の責任は重い。

 

    公共放送トップの籾井会長の暴言は許せない

 

同日の予算委には籾井勝人NHK会長が参考人として招かれた。原口議員は125

の会長就任会見で首相の靖国参拝について「淡々と総理は靖国に参拝されたので、ピリオド(終点に)にすべきだ」と答弁。

 

原口氏は「(公平性を定めた)放送法の第4条に真っ向から反する」とし、公共放送トップの資質に欠ける」と批判。籾井氏は「皆さんに誤解と迷惑をかけて申し訳ない」と陳謝し、秘密法をめぐる発言は私的なコメントとし、慰安婦問題に関する発言は全部取り消したと、釈明した。

 

 安倍首相は「経営委員としてお願いした以上、お任せしている。私が経営委員に様々な指示をすべきでない」と原口氏に答えた。放送内容については会長の責任だが、経営委員任命権は首相にあり、傍観者的発言は許せない。

 

(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。

 

 - IT・マスコミ論 , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

日米野球史「ベーブ・ルースを超えた二投流・大谷翔平」と「日本の野球の神様・川上哲治監督の「巨人9連覇達成」

  エンゼルスの大谷翔平選手のペースがますます上がってきた。6月は月間 …

no image
・イラク戦争報道の各社の報道ガイドラインについて 2003,7

1 (資料) 前坂俊之(静岡県立大学国際関係学部教授) ●英国・BBCの戦争報道 …

no image
TOKYO PACK2018(東京国際包装展)-大成ラミック(TAISEIPACK)の高速自動充填機「DANGAN-G2」のプレゼンテーション

日本の最先端技術『見える化」チャンネル   TOKYO PACK201 …

『Z世代のための百歳学入門』★『物集高量は(元朝日記者、大学者、106歳)は極貧暮らしで生涯現役、106歳の天寿を果たした極楽人生の秘訣③』★『物集高量の回想録②、大隈重信の思い出話』★『大隈さんはいつも「わが輩は125歳まで生きるんであ~る。人間は、死ぬるまで活動しなければならないんであ~る、と話していたよ』

    2021/05/28 &nbsp …

no image
日本リーダーパワー史(838)(人気記事再録)-『権力闘争対メディアの戦い』②★『日本政治史の分岐点・5・15事件 での犬養毅首相、ジャーナリスト・ 菊竹六鼓から学ぶ➀』

2010年10月17日の日本リーダーパワー史(94) 日本政治史の分岐点・5・1 …

★『オンライン天才養成講座/エジソンの発明術を学ぶ』➂ 』★『発明発見・健康長寿・仕事成功11ヵ条」★『私たちは失敗から多くを学ぶ。特にその失敗が私たちの 全知全能力を傾けた努力の結果であるならば』★『臨終の言葉――「将来に信仰を持ちなさい。前進しなさい。私は人々のためにするだけのことはした。もう思い残すことはない。ブルーに輝いた美しい国の人々が待っている。さようなら」』

2018/11/23  百歳学入門(96)再録 「史上最高の …

「Z世代のためのウクライナ戦争講座」★「ウクライナ戦争は120年前の日露戦争と全く同じという歴史ニュース」★「日露戦争開戦1ゕ月前の『米ニューヨーク・タイムズ』の報道』★『日露戦争の行方はロシアは敗北する可能性が高い』★『ロシアの対日戦の必然的な目的である朝鮮征服にロシアはあらゆる不利な条件下で臨むことになろう』

2017/01/09    『日本戦争外交史の研究 …

『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ ウオッチ(232)』-『3/30午後、東京を代表する目黒川周辺の桜並木は満開の<春爛漫>、ビユーティフル・ワンダーランド』

『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ ウオッチ(231)』- 3/30 午後 …

no image
日本リーダーパワー史(355)<日本の最も長い決定的1週間>『わずか1週間でGHQが作った憲法草案②』

日本リーダーパワー史(355)                <日本の …

オリエント学の泰斗・静岡県立大学国際関係学部・立田洋司名誉教授の最終講義(1/31)を聴いたー『自然と人間文化の接点ーとくにキリスト世界とPasteralについて』

  静岡県立大学国際関係学部名誉教授・立田洋司先生の教育生活40周年を …