「日本スタートアップ・ユニコーン史」★『アメリカ流の経営学を翻訳・マネする前に、明治のスタートアップ起業者魂に学ぼう』★『鉄道王・根津嘉一郎(79歳)の「克己心」「大欲と小欲」「心配ごと」「安心保険料」「ほんとの儲(もう)け」 こそ 健康長寿・経営必勝法』
2019/04/26/知的巨人たちの百歳学(116)記事再録編集
根津嘉一郎 (初代)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B9%E6%B4%A5%E5%98%89%E4%B8%80%E9%83%8E_(%E5%88%9D%E4%BB%A3)
根津美術館
「克己心」
人間も7、80まで生きたらいいだろうという人がある。私は意気地のないことをいうものだと大反対である。せっかく、この世に生まれてきたのに、それではあまりに情ない。人間はできるだけ養生をして、元気で働きつづけていれば、90 や100はむろん、130までは大丈夫と私は考えている。少なくとも、それぐらいの意気ごみでなくちや長生きはできん。
私は別に健康法といったものはやっておらぬが、強いて申せば「己に克つ」ことが健康長生法の第一ではあるまいか。たとえば、うまい物があればウンと食いたい。好きな酒ならウンと飲みたい。煙草もやめられぬ。また遊びたいだけ遊びたい。朝寝もしたければナマケもしたい。
そんなことで、どうして健康が保てようか。長生きができるわけがない。私は若いころから体が弱く、婦人科以外の病気は何から何までやってきたのだが、すべて、「己に克つ」ことで病気に勝ちぬいてきた。80歳を過ぎていよいよの元気が自覚される。
「大欲と小欲」
あるところで、「人間も90歳まで生きられたらいいだろう」という話が出て、席上の大部分は、それは望んでもなかなか達せられまい、いや、70、80で大満足だという意見だった。
私はそれに大反対で・「80や90で死んではつまらぬ、どうでも100歳まで生きなきゃウソだ」といった。
みんなはそれは欲が深すぎると笑った。私は笑われようと、なんで
あろうと、100歳まで生きる欲をはって、せいぜい養生につとめている。
人間の養生は克己心を第一とする。なんでもしたい放題をしていては養生にならぬ。つまり長生をしようという大欲のためには、日常生活での小さな欲を制しなければならぬ。じつをいうと、私は40ころまではあらゆる小欲に負けて、病気という病気は婦人病以外、なんでもやって、人の見る目にもヒョロヒョロしていた。
やがて湧いてきたのが長生きの大欲、それで救われたのだ。
「心配ごと」
いろいろ心配事が相ついで起こってくることがある。その心配事に負けては、ついつい体がもたなくなる。食事がうまくない、胃腸のはたらきが弱く神経がたかぶる。むやみに怒りっぽくなる。
こんな場合、人は何か散歩をこころみたり、芝居や映画をみたり、ときには酒をあおることもあるようだが、とにかく静かに気を落ちつかせるのがいちばんよい。
私は心配事に対しては、その問題と真正面から取り組んで、少しでもそれから逃げるような態度はとらない。
ぐっと丹田(下腹)にカを入れて、その際の最善最適の手段を考える。思わず深呼吸をすることもある。にぎりきりこぶしをかためることもある。
いわば土俵の上の立ち合いで、その場で何もかもきめてしまう。自分でもこれがいちばんよい方法だと確信するので、あとへだらだら持ち越すことがない。そうして心配事は一切忘れさって、さっとまた別な事にうつる。食事も進まぬことはなく、夜もぐっすりよく眠られる
「安心保険料」
「用心は深くし、川は浅く渡れ」と昔からいわれているが、平素から用心ぶかく世の中を渡っていれば、不意の出来事にもビクともせず、安心して生活して行けるものである。
この人生にはまず病気というのがあり、自分で病まなければ、だれか家人に病人の出ることもある。家人に病人がない場合でも、親戚なり友人なりに病人ができて、これを助けなければならぬこともある。
世間にはまた災難がありがちなもので、 盗難、 火難、風水害、それに思わぬ経済上の変動がおこることもある。とにかく絶えざる災難に先立つものは、いつの場合にも金だといえる。これに対して常々から安心して生きて行くには平素の節約、平素の貯えといったことがもっとも大切で、そなえあれば憂えなしで、月給の一割、賞与の一割などあらゆる収入から、少なくともそれくらいは「安心保険料」として
貯金しておくことは絶対に必要であろう。
「ほんとの儲(もう)け」
私は日清戦争の株式景気で最初はもうけたが、その反動でひどい打攣をこうむった。もう相場事には手を出すまいと考えたが、日露戦争の好景気でふたたび大もうけをした。
このとき、株式でもうけることは、時勢に乗じてだれもできることだが、その儲けを確実に自分のものにして残すことはなかなかむずかしい。そのむずかしいところに個人的な才覚と努力が払われなければならぬと気付き、夢中で好景気に酔っているところを、前回の失敗をまねかぬよう、最善の対策を講じて幸いに事なきを得た。
とにかく、株式の好景気がくれば百人が百人までもうかったような気分になるが、それはただそういう気分だけのことで、その好景気が去って、あとにその時のものを確実に残したのでなければ、ほんとうに儲けたことにならないのだ。だが、こんな苦労を繰り返すよりも、初めから地道な事業経営をしていたら、もっと気楽に、大きくもうけられたように思う。
<参考・引用文献「新・三六五日の実業訓」「新・三六五日の金銭訓」(実業之日本社、昭和五三年刊など)

関連記事
-
-
★『湘南海山ぶらぶら動画日記』★『2月18日夕方、クリーンな富士山のサンセットを見ようと久しぶりに葉山森戸海岸、石原裕次郎の記念碑までぶらり散歩したよ。かくも美しき世界に心癒される』』
湘南海山ぶらぶら日記 葉 …
-
-
梶原英之の政治一刀両断(8)『政治空白はなぜ続くかー電力業界が仕切り屋の座を下りたからだ』
梶原英之の政治一刀両断(8) 『政治空白はなぜ続くかー電力業界が仕 …
-
-
『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』ー『「withコロナ宣言」でポストコロナの世界はどうなるか』★『GAFAを生み出した「デジタル・ネーティブ/パソコン第一世代」(ミレ二アル(Y)世代(25ー40歳))とすれば,「スマホ第2世代」(Z世代)がwithコロナ社会の未来を拓く』(5月27日)
「withコロナ宣言」―Z世代が未来を拓く 前坂 俊之(ジャー …
-
-
速報「日本のメルトダウン」(510)◎「ウクライナの抗議行動:国家の誕生か」●「防空識別圏設定や張成沢氏処刑で事態が複雑化」
速報「日本のメルトダウン」(510) &nb …
-
-
日本天才奇人伝④近代の巨人・日中友好の創始者・岸田吟香は『230年ぶりに上海に住んだ最初の日本人』
日本天才奇人伝④ 近代の巨人・日中友好の創始者・ …
-
-
『Z世代のための百歳学入門』★『ブリヂストン創業者 ・石橋正二郎(87歳)の『「よい美術品を集める」「庭を作る」「建築設計をやる」この3つの楽しみを楽しむことが私の健康法』★『 石橋の経営名言20選『遠きを謀る者は富み、近きを謀る者は貧なり』
2015/08/19 知的巨人たちの百歳学(115)記事再 …
-
-
知的巨人たちの百歳学(166)ー長崎でシーボルトに学び、西洋の植物分類学をわが国に紹介した伊藤圭介(98歳)ー「老いて学べば死しても朽ちず」●『植物学の方法論ー①忍耐を要す ②精密を要す ③草木の博覧を要す ④書籍の博覧を要す ⑤植学に関係する学科はみな学ぶを要す ⑥洋書を講ずる要す ⑦画図を引くを要す ⑧よろしく師を要すべし』
2017/01/03   …
-
-
『百歳学入門』(100)『釣ったカワハギをおいしく食べて長生きする法ー 鎌倉・地産地消・ロハスの「百歳長寿学」
『百歳学入門』(100) ●『釣ったカワハ …
-
-
速報(314)【4号機プール】セシウム137の量は広島原爆5千発分で早く安全な場所に移す小出裕章』ほか5本
速報(314)『日本のメルトダウン』 ◎『5月25日【4号機プール …
-
-
人気記事再録『「新聞と戦争」の日本史』<満州事変(1931年)から太平洋戦争敗戦(1945)までの戦時期の新聞>
2009/02/10 「戦争と新聞」を検証する 講演録 1995年2月15日 …
