『オンライン/新型コロナウイルス・パンデミック講座』(上)「コロナリバウンド・変異ウイルスの増加・東京五輪の女性差別発言ドタバタ劇の3月狂騒曲(上)」
2021/04/20
「コロナ・変異ウイルス・東京五輪の3月狂騒曲(上)」
前坂 俊之(ジャーナリスト)
WHO(世界保健機関)が、新型コロナウイルスの感染拡大がパンデミック(世界的大流行)との認識を示してから3月11日で丸1年となった。世界全体の感染者、死者の増加ペースは緩やかになっているものの、感染者数が再び増加に転じる国もあり、変異ウイルスへの対応や、ワクチン接種のペースの加速など様々な課題が山済みで、収束の道は依然として不透明だ。
そんなコロナとの戦いが長期化する世界情勢の中で、日本にとっての最大の関心事の東京五輪・パラ問題(7月23日―8月8日までの17日間)があと4か月後にせまってきた。森喜朗会長辞任のドタバタ劇、国民世論の多数の『開催反対』の大声、IOC,日本政府の開催実現への準備をめぐる混乱と混迷の「3月狂騒曲」は延々と続いている。(この情報は3月15日までのものです)
「それでは恒例の世界各国・地域の新型コロナ感染者数(死者数)から入りましょうか。3月15日現在の数字は米ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると以下の通りとなっています。
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世界全体の感染者は約1億1987万(死者数約265万)―
米国 2944万(53万5干)
ブラジル 1148万(27万8千)
インド 1139万(26万2千)
ロシア 434万(9万1千)
英国 427万(12万5千)
フランス 413万(9万)
イタリア 322万(10万2千)
スペイン 318万(7万2千)
トルコ 288万(2万9千)
「米国は相変わらず感染者、死者とも2割前後で世界で最も多いですね。今年1月には1日の感染者が約30万人と、最悪の水準でしたが、その後、減少に転じ、3月11日現在、感染者は約5万人見減っていますが、依然として、深刻な状況が続いている。
このため、ワクチン接種に全力挙げており、3月11日までにワクチンの接種を完了した人は3386万人で、アメリカの人口の10.2%と、重症化のリスクが高い、65歳以上の高齢者だけでみると接種を完了した人の割合は32.2%ににのぼる。バイデン大統領は夏までに夏までに感染拡大が止まる「集団免疫」にメドをつけたい考えだが全国民に接種を完了する方針です」
●「ヨーロッパ各国は1年たった今も厳しい状況が続いています。
中でもイギリスは、これまでにヨーロッパでは最も多い12万人以上が死亡し英国性変異ウイルスの感染拡大が一層深刻している。
ジョンソン首相は、変異ウイルスへの対応と経済活動の早期再開の板ばさみに苦しんでいる。同じく変異ウイルスの脅威にさらされているのはイタリアやフランスなどです。中でもイタリアは、3月8日に亡くなった人が10万人を超えイギリスに次いで多くなった。2月中旬の時点で変異ウイルスによる新規感染者は感染者の50%を占めています」
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緊急事態宣言の先行解除
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「では日本の情況について入りたいと思います。政府は2月26日、10都府県に発令中の緊急事態宣言のうち岐阜、愛知、京都、大阪府、兵庫、福岡の計6府県を月末の28日までに先行解除すると発表した。大阪府などの新規感染者数や病床使用率など6指標が「ステージ4」(感染爆発)を下回り、医療逼迫も緩和され、6府県知事から解除要請が出たため、先行解除に踏み切ったのです。
しかし、残りの埼玉、千葉、東京、神奈川の首都圏4都県は新規感染者が「ステージ4」(感染爆発)で依然として高いため、予定通り3月7日まで継続することになりました」
「ところが、この政府決定に先立って行われた同諮問委員会では「今やっていいのか?」、「変異株による感染者も増えているのに」、「国民の間に、先行解除で気の緩みが蔓延するのではないか」などの懸念する声が多くだされた。同諮問委員会の尾身茂会長は「(この政府決定に)無条件で賛成と言うことではなかった。私自身も同じだ」と同様の懸念を示したのです」
「その理由について私が説明しますと①感染力が強い可能性のある変異ウイルスが、ほぼ間違いなく従来のウイルスから置き換わり蔓延する②昨年夏の流行の第2波が落ち着いたときよりも感染のレベルは、まだ高い➂首都圏は人口密度が高く、人の動きも多く、感染源が追いにくい④首都圏を解除はする場合はこの点をしっかりと説明するべきだ」と政府にくぎを刺したのです。特に、東京都の場合には、この3週間で新規感染者は当初は300人、200人台へと下がったもののその後は足踏み状態が続き、解除した場合にはリバウンド(再拡大)の可能性が高いと危惧されていますからね」
(A)「しかし、2月19日の先進7カ国(G7)首脳声明で「新型コロナに打ち勝つ世界の結束の証しとして東京五輪開催を支持する」との文言が盛り込まれ菅政権にとっては何が何でも3月7日には、首都圏の1都3県の解除を行う方針とみられるよ。女性差別発言で辞任した森喜朗前会長の後任の「東京五輪・パラ組織委員会の橋本聖子会長は2月24日、メディア各社のインタビューに応じ「無観客開催は現時点で想定していない。開催は決定しており、中止や再延期はない」と明言し、観客の受け入れについては、聖火リレーがスタートする3月25日前後に方向性を出すとも述べた」
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ワクチン接種の大幅遅れ
「一方、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長は24日、東京大会に外国人観光客(約100万人がチケットを購入)を受け入れるかどうかの判断の時期は4月終わりが適切だとコメントした。デュビ オリンピック統括部長も「観客については国内(440万人がチケット購入)と海外の2段階で判断を行う可能性があると表明したね」。
「ところが、またまたドタバタ劇が起きた。菅首相が東京五輪開催の「頼みの綱」としてきた高齢者ヘのワクチン接種スケジュールは当初、四月にスタートし、六月までに完了すると見られていたが大幅な遅れが出てきたのです。
厚労省が一月二〇日に発表したファイザーとの正式契約では「六月末まで」に「七千二百万人分」のワクチン供給を受けるという内容だったが、肝心の供給時期が「年内」と半年も後ろ倒しになってしまった。 この背景にはEU内外での免疫ワクチンの争奪合戦があり、EUが他国へのファイザー製のワクチンの輸出禁止措置を取り、毎回の日本への出荷量についてもEU当局の承認とチェックが必要となった。その結果、当初の目標を大幅に下回る量しか届かなくなくなった」
「結局、ファイザー側と交渉した河野太郎行政改革担当相は2月26日、65歳以上の高齢者3600万人に必要な免疫スワクチンを6月末までに全国の自治体へ配送を完了させる方針を示した。65歳未満の一般住民向けにワクチン接種は7月以降となり、東京五輪開会式(7月23日)までに接種を終えるのは困難な情勢になったわけです」
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●感染力、致死率の高い変異ウイルスの出現
「さらに、新たな難問が出てきた。米国の1日あたりの新規感染者数(7日移動平均)はピーク時の1月上旬の約30万人から2月下旬には7万人程度まで7割強減少。英国、ドイツ、フランスも6~8割が減少した。ところが、2月中旬から新規感染者数が下げ止まり、従来型より感染力が強く、ワクチンが効果がききにくいといわれる「変異ウイルス」の感染が拡大してきた。 米国では「英国型」 「南アフリカ型」 「ブラジル型」「カリフォルニア型」などの「米国型」の新しい変異ウイルスの現れている。
ドイツでも新規感染に占める変異型の割合は3割に増えており、、フランスでも英国型が新規感染に占める割合がパリでは50%に達する、という。バイデン大統は変異ウイルスによるリスクに警鐘を鳴らし、研究、開発費2億㌦(210億円)を投じて変異ウイルスの監視体制を強化した。
「一方、日本での変異ウイルス感染対策はどうなのか。またまた、米欧に後れを取っている。2月26日時点での、変異ウイルス確認は158件にのぼり、17都府県に拡大していることが判明した。緊急事態宣言解除後もこの変異ウイルスを抑え込まないと、東京五輪開催を直撃する第4波のリバウンド(感染再拡大)のリスクも高い。
「結局、感染拡大は基本的には「人と人の接触コミ二ケーション」によっておこる。「ロックダウン」(都市封鎖)、「入国禁止」はそのための緊急措置だが、東京五輪の参加選手1万人以上、外国人観光客100万人の入国問題はいかにに制限しても、変異ウイルスの流入を完全に阻止がることはできっこないないよ。この超難問を1ヵ月以内に解くことがIOC,JOC,東京都に求められているわけですね、大変だよ」
つづく
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