「オンライン/外国人労働者の受け入れ問題講座』ー『政府はこれまでの方針を大転換し、外国人労働者を受け入れの入管難民法案を提出、2019年4月からは14業種で計約4万人を受け入れる』★『日米戦争の引き金になった「排日移民法」、大正時代に米国カルフォルニア州の日本人移民と現地の白人住民の間で生活、宗教、経済観念などの摩擦、対立がおこり「米国に同化できない民族だ」として1913年に「排日移民法」が成立した』
2018/11/14 記事転載
日本リーダーパワー史(952)
人口減少、深刻な人手不足対策として政府はこれまでの方針を大転換し、外国人労働者を受け入れる入管難民法案を2日に衆議院に提出した。この臨時国会で成立させ、来年4月からは14業種で計約4万人を受け入れる方針で、これまで認めていなかった単純労働分野への就労を可能とし将来は数十万人の受け入れを見込んでいる。
同案による新たな在留資格「特定技能」は2段階方式で、指定した業種で一定の能力が認められる外国人労働者に「特定技能1号」 「特定技能2号」の2種類の在留資格を与える。特定技能1号は、最長5年の技能実習を終了するか、技能試験と日本語試験の合格を条件として、在留期間は通算5年で家族の帯同はできない。
この1号を経て試験に合格し、より熟練した技能を認められれば2号にアップし、配偶者や子供と胎動でき定期的な審査を受ければ永住が可能となる。
外国人の報酬は同一業務に従事する日本人と同等以上とし、就労が認められた分野の中での転職も認める。特に1号の外国人の受け入れ先には、住居の確保や日本語教育など、安定的な生活支援を義務付けた。
人手不足が解消された場合、法相がその分野の受け入れを停止する。施行から三年後、必要に応じて制度を見直す条項を盛り込んだ。
認められる十四業種は当初の介護、農業、建設、宿泊、造船の5業種に加えて、ビルクリーニング業、漁業、自動車整備業、飲食料品製造業、電気電子部品関連産業、航空業、産業機械製造業、外食業、素形素材業などの14業種。
厚労省によると、日本で働く外国人労働者は約127万9千人(2017年10月現在)。政府はこれまで原則として就労目的の在留を認めず、高度な専門人材に限って受け入れてきたが、実態としては外国人技能実習生や、留学生のアルバイトも急増。技能実習制度では、違法な低賃金や長時間労働などが問題視されていた。
人手不足はますます深刻化しており、日本商工会議所による今年春の調査では、全国の中小企業の65%が「人手不足」と回答。特に宿泊・飲食業や運輸業、建設業では、約8割の企業にのぼる。すでに外国人を雇用している企業や検討している企業は約43%に上。
技能実習生と事業所を仲介する監理団体「関西技術協力センター」は、「これまでは制度の理念と実態に大きな乖離(かいり)があったが、改正案はその溝を埋めるものだ」と評価する。(産経11月2日)
一方懸念されtる問題点としては
⓵外国人技能実習生の失踪が多発していることで、今年1月からの半年間で4000人を超え、過去最多を更新する勢い。
②「現在の制度だと、外国人労働者が在留資格を得て健康保険に入ると、母国にいる家族を被扶養者にして、母国で使った医療費を日本の健康保険から出すことも可能。また、日本の健康保険目当てに在留資格をとる人が出てくるなど不正行為が懸念される。(津田塾大学教授 萱野稔人氏(産経11月3日付)
➂社会の分断や排斥を招く可能性があり、治安悪化、子供の教育や社会保障の在り方、日本人との職の奪い合いが起きる可能性、不況などで外国人労働者が一斉に本国に引き揚げた場合、労働の現場が混乱などが指摘されている。
これに対して、
安倍晋三首相は「深刻な人手不足に対応するため、即戦力を期限付きで受け入れるためで、移民政策ではない」と国会でも答弁しているが、国連では移民は「出生あるいは市民権のある国の外に1年以上いる人」と定義している。(同上)
歴史的にみると外国人労働者の問題、移民問題は国家間の紛争のタネとなり戦争にまで発展する。
EUの大量のシリア難民受け入れによって、各国で移民排斥を訴える極右政党が誕生し、勢力を伸ばしている例や、現在、中米のホンジュラスの貧困や暴力から逃れようと米国を目指して北上する数千人の集団をトランプ大統領は軍隊を派遣して断固、阻止しようとしているケースなど数多くの紛争事例がある。
中米ホンジュラスの移民集団、メキシコ南部国境に到達
https://www.cnn.co.jp/world/35127317.html
日米戦争の引き金になったのは大正時代に米国カルフォルニア州に移民した日本人移民と現地の白人住民の間で生活、宗教、経済、マナーなどで摩擦、対立がおこり「米国に同化できない民族だ」と非難され、1913年(大正2)カルフォルニア州で日本人移民を受け入れない「排日移民法」「排日土地法」が成立した。
この経過について説明しましょう
大正初め、カリフォルニア州では最多の外国人は日本人
アメリカへの日本からの移民は1920年(大正9)までに約21万人にのぼり、その間の中国人移民約4万3000人の5倍以上に達した。主に米国西海岸に移住し、1919年当時、カリフォルニア州では最多の外国人は日本人であり、全米本土9万人のうち約8万人が西海岸に住んでいた。日本人移民はなぜ嫌われ、激しい排斥運動が起きたのでしょうか。ここがポイント。グローバル化した世界中でおきている移民、外国人労働者問題のルーツの1つがここにあります。文化的、経済的な深刻な摩擦が横たわっていた。今、日本国内でもくすぶっている中国人、アジア人、アフリカ人たちとの摩擦と根は同じもの。
アメリカに出稼ぎにいった日本人移民たちは白人労働者の賃金の何分の一で人の何倍も熱心に働いて、他の労働者の職場を奪った。その優秀な労働力が白人労働者を失業へと追い込み、反発とウラミを買った。
働き中毒と最低のマナーの日本人、明治大正期の日本の男性中心の男尊女卑レベル
日本リーダーパワー史 ⑧山本権兵衛の異文化コミュニケーション能力、異文化認識力は・・
http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/3666.html
日本リーダーパワー史(397)肝胆相照らした明治の巨人、福沢諭吉と山本権兵衛ー福沢は「あれは軍人ではなくて学者だ。
http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/1533.html
アメリカに移民するという観念ではなくて、ひと旗あげて、もうけて故郷に錦を飾るという出稼ぎ労働者が大部分だったため、単身でわたり、異教徒なのでキリスト教徒の安息日も教会にもいかずガムシャラに働く。
今の日本人以上のわれわれの働き中毒の御先祖様だ。地域にとけこまない。そうした日本人の働き蜂の国民性に加え、男の酔っ払って立小便はする最低のマナー〈確かに50歳以上の男性には今でも特におおいね〉レディファーストを理解せず、あいさつもせず、日本人同士で固まって、地域に溶け込まない、コミュニ―ケーションのの欠如、他民族と友好な関係を築かないなどなど。
特にそのマナーの悪さ、文化の低さがひんしゅくを買ったのですね。
さらに思わぬ反発を引きおこしたのは〝写真結婚″である。日本からお見合い用の女性の写真をおくってもらって、その写真をみただけで相手と結婚する。日本で当時あったお見合い結婚と同じようなものだが、これが米国の女性団体からは「女性の人権無視」「人身売買」「女性への侮辱」と激しく批判され排日の原因となったのです。
1905(明治38)年にサンフランシスコにアジア人排斥協会(後に日韓人排斥協会)ができたが、同協会は次の理由をあげて「排日移民法、排日土地法」が成立するきっかけになった。
その理由は
1 日本人は長時間の低賃金労働に甘んじて白人労働者に対抗する。
2 日本人の生活程度は劣等で、米国人は競争にたえることができない。
3 日本人は獲得した金銭を日本に送り、米国経済に貢献しない。
4 日本人は故国から日常消耗品を買い、米国製品を買わない。
5 日本人は愛国心強く、米国人との同化の素養を欠く。
この日本人移民問題を日本製品に置きかえて考えれば、1970-90年ごろまで毎年のように激化、対立した日米貿易摩擦と同じパターンです。地域にとけこまず、集団的に固まる体質は今も地域へのボランティア活動を一切せず、寄付が少なすぎると批判されている日本企業や日本人ビジネスマン。
日本企業による海外の不動産の洪水のような投資、買収が批判されているが、これも今から100年前に問題となった、日本人移民の島国根性、閉鎖体質による文化摩擦と同根ですね。
当時、日本人移民の大半は農民で、カリフォルニアで抜群の能力を発拝し、白人が開拓できなかった荒地を次々に農地にかえ、勤勉に働いて得た金で農地や土地、住宅、商店などの不動産を買いあさった。これに白人労働者が怒り、カリフォルニア州で1913(大正2)年八月に〝排日土地法″(正式には「外国人土地法」)が成立してしまったのです。
今回の外国人労働者も大正の日本人移民と同じようにその国々の文化、経済、ナショナリズム、歴史、マナーなどをもって日本に働きにやってくる。当然、日本で働いてほしいという今回の入管法の改正目的と外国人の目的、経済的、社会的、コミュニケーションでの親和性と摩擦対立は同時に発生する。それをいかに調和させていくかが、今後大きな課題となってくる。
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