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『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』-『新型コロナと世界の沈没―コロナ共存社会は数十年続く可能がある②』(8月15日)★『ワクチン開発の国際的な大競争と囲い込み』★『 米中対決のエスカレートは加速一方!』

   

 『新型コロナと世界の沈没―コロナ共存社会は数十年続く可能がある②』(8月15日)

  • ワクチン開発の国際的な大競争と囲い込み

「パンデミックに終止符を打つ決め手になるのはワクチン、治療薬にかかっており、世界中でし烈な開発競争と囲みこみが始まっている。米国は予算1兆円を計上して英アストラゼネカと英オックスフォード大学が組んで3億人分のワクチンを、来年1月までに開発する計画。現在は「第3フレーズ(臨床試験)」を英国、ブラジル、米国で約4万人を対象に行っている。9月には量産体制が整い、20億回分のワクチンを製造する。このうち、日本国内向けに1億2千万回分の供給することで基本合意し、来年1~3月には3千万回分が供給される。

一方、ロシアのプーチン大統領は8月11日、世界で初めて国産ワクチンを承認したと発表した。ただし、このワクチン開発の「第3フレーズの臨床試験(治験)のデーターを公表しておらず安全性を疑問視する声が出ている」

 

「結局、ポイントはそこですね。安全性がどこまで担保されたのかの臨床検査です。普通、ワクチンの開発には5~10年はかかり、1,2年で免疫性と安全性を確保したワクチンの開発はむつかしい。ポリオの根絶計画は15年間続いているのに、ポリオワクチンはいまだにできていない。BBC電子版(7月22日付)によると、7月20日「臨床試験で、免疫反応と安全性が確認された」と発表した英オックスフォード大学のサー・ジョン・ベル教授は「ワクチンが役立つかを確認するには、まだ多くの作業が必要だ。新型ウイルスが消滅する可能性は低い。この病原体はこの世界に永遠に存在し続ける」。WHOも「この感染症で人類はこの先も、何十年間も新型ウイルスと共存していくことになる」と警告しているのです」

 

「そんな中で、あたらしい問題出てきている。回復した感染者が数ヵ月、場合によっては数年にも及ぶ長い期間、辛い後遺症(ポストコロナ症候群)に悩み続けるケースが増えている。ニューヨーク市立大学のブルース・リー氏によると、米国の人口の20%が新型コロナウイルスに感染した場合、退院から1年後までに生じる医療費が少なくとも500億ドル(約5兆3000億円)に達する、ワクチンがなく、人口の80%が感染する場合、そのコストは2040億ドル(21兆円)にまで膨れあがる、といいます」

  •  米中対決のエスカレートは加速一方!

  • 香港の「一国二制度」(英国との国際条約)を一方的に破り、民主化運動を強権的につぶした中国の香港国家安全維持法の制定に対して米英豪カナダ、日本などは猛反発しましたね。このため、7月14日、トランプ米大統領は中国を制裁する「香港自治法」に署名し、ついに「伝家の宝刀」を抜いた。米国からの中国融投資の禁止、外貨取引、貿易決済の禁止、米国内の資産凍結など中国との貿易関係を打ち切り、中国大手銀行をドル経済圏から排除、経済封鎖する内容。5月末の中国の外貨準備高は3兆1016億ドル(約340兆円)ですが、この中国経済の心臓部のドル決済を切断するショック療法だ。国際決済に占めるドルの割合は40%だが、人民元決済ははわずか2%しかない。中国貿易には大打撃です」

 「しかし、中国側も負けてはいないね。この「ドルのくびき」を脱するために、中国人民銀行(中国の中央銀行)が世界で最初のデジタル通貨「デジタル人民元」を発行する計画を推進中で、リアルな「一帯一路経済貿易圏」のアフリカ、EU,中近東、東南アジアの諸国との貿易決済はデジタル人民元でおこない、「ドル圏」に対抗する戦略。そのためには5Gフアーウエイが不可欠というわけだ。」

「米国はさらに一歩踏み出して「習近平国家主席は全体主義者」ときびしく批判して、全面対決の姿勢を示した。産経(7月24日)付」によると、ポンペオ米国務長官は7月23日にトランプ政権の対中政策に関して演説し、

①あと2年後の2022年はニクソン大統領の訪中から50周年だが、今日、新型コロナウイルスのパンデミックは中国共産党のせいで、われわれはまだマスクをつけている。

 中国は米国の重要な知的財産や企業機密をだまし取り、米国民やその繁栄を脅かしている。そのため、スパイの拠点だったヒューストンの中国総領事館の閉鎖した。

③中国を普通の国家として扱うことはできない。習近平総書記(国家主席)は破綻した全体主義思想の持ち主だ。今こそ自由主義国が一致して行動するときだ。』と批判したのです」

(B)「米中制裁報復合戦は続いた。ヒューストンの中国総領事館閉鎖に対して、中国側は直ちに武漢の米公使館を閉鎖。8月7日には香港政府トップの林鄭月娥行政長官ら11人の個人のアメリカに保有する資産が凍結。同10日にはアザー米厚生長官が41年前に台湾と断交して以来、最高位の高官として、台湾 蔡総統と会談 、新型コロナをめぐる協力について意見交換した。中国はこれにも猛反発して同10日、国家安全維持法違反容疑で、中国共産党に批判的な香港紙「リンゴ日報」の創業者・黎智英氏と「民主の女神」と呼ばれる民主活動家・周庭氏ら10人を逮捕して、米中一触即発危機を迎えた。

つまりね。世界覇権国(米国)と第2の経済軍事の膨張国(中国)の対立は歴史的には75%の確率で戦争に突入するという「トゥキディデスの罠」がありますが、すでにその前哨戦として中国、ロシアの諜報機関、ハッカー部隊による米国の通信ネットワーク機器を狙ったし烈なサイバー攻撃が展開されている。、今後とも米中の過熱ぶりから目が離せないよ。」

 

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