『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』-『新型コロナと世界の沈没―コロナ共存社会は数十年続く可能がある①』(8月15日)★『コロナ感染者、世界で2000万人突破』★『感染者、死者数が欧米のように跳ね上がる可能性は低い』★『日本の死亡率は欧米より大幅に低いのはなぜか 』
『新型コロナと世界の沈没―コロナ共存社会は数十年続く①』(8月15日)
前坂 俊之(ジャーナリスト)
-
コロナ感染者、世界で2000万人突破
世界中の新型コロナウイルス感染者が8月10日、2000万人を突破し、死者は73万人を超えた。 コロナ感染者数は、今年1月上旬に中国湖北省武漢市で確認されて以降、約半年で1000万人に増加、その後わずか43日で2倍となる2000万人に拡大した。
国別では、米国が約500万人、ブラジルが300万人、インドが200万人を突破。ロシアや南アフリカでの感染も目立つ。また中南米での感染が急増しており、感染者は全体の約28%、死者は全体の30%強を占めた。WHOのテドロス事務局長は同3日、「有効なワクチンを開発と複数保有が急務だが、それも銀の弾丸(特効薬)はなく、今後もあり得ない可能性もある」と述べ、引き続きウイルス抑え込みに全力で取組むよう各国に呼びかけた。
「それではまず世界各国・地域の新型コロナ感染者数(死者数)から入りましょうか。6月13日現在の数字は米ジョンズ・ホプキンス大学のまとめによると以下の通りです。
世界全体での感染者は約2006万人(死者数は約75万)
米国 約520万人(16万6干)
ブラジル316万4千(10万4千)
インド 240万(4万7千)
ロシア 90万(1万5千)
南アフリカ 56万9千(1万1千)
メキシコ 49万9千(5万4千)
ペルー 48万5千(2万1干)
コロンビア 42万2千(1万3千)
チリ 37万8千(1万)
イラン 33万3千(1万9千)
―相変わらず、米国が突出していますが、「CNN」の報道によると、トランプ大統領は依然としてコロナ禍の深刻さを把握せず、コロナウイルスの会議で、対策チームの当局者はコロナ禍をもっと深刻に受け止めるようトランプ氏を説得しようとしたが,難航した、といいます」
-
日本に第2波はきたのか
「一方、日本でも第2波が襲来してきたのか。PCR検査が増えた結果、7月後半から8月に入っから感染拡大がうなぎのぼりに続き、8月7日には全国で1597人と過去最高となり、10日現在で国内感染者は5万396人で増加ペースが急速に上がっている。7月までは1万人増えるのに21日かかったが、8月に入って9日間で一万人増えた。これはPCR検査が増えた結果だが、今後のオーバーシュートによる医療崩壊が危惧されている」
「政府は7月22日から約3ヵ月停止状態の日本経済を何とか回すため、観光業を支援する「Go To トラベル」事業をスタートさせたが、東京の除外やキャンセル料の補償問題などで二転三転したためマスコミ、世論から一斉に非難を浴びた。
確かに、台湾、韓国と比べてITデジタル後進国の日本の政府、行政の後手後手、チグハグな対応、支給の遅れなどが目立ったが、私は政府の役割は経済と人命尊重をギリギリ両立させることだとおもう。日本経済の基盤を支えているのは、企業数の99%を占め、雇用の約7割を占める中小零細企業、飲食小売業などで、これが倒産、廃業、つぶれてしまっては元も子もない。スピードには欠けていますが、何んとか両立させていくという努力は非難されるべきではないと思いますね。
地方への帰省を自粛要請していますが、「三密排除」とマスク徹底しながら、相互に自粛し、その中で経済をいかに回すか知恵を絞らなければなりませんね」
感染者、死者数が欧米のように跳ね上がる可能性は低い
「もう1つの問題点はPCR検査で陽性(ウイルス5個の検査)と確認されても無症状者、若者の場合は軽傷が多く、陽性率も正確とはいえない。
PCR検査を増やせば当然、陽性率は上がり、感染者も増えるが、重要なのは、死亡者数をできるだけ抑えることではないか。7月24日の時点で、2ヶ月前(5月24日―7月24日)と7月1日から同24日までの総感染者数を比較すると1.68倍に増えたが、死亡者数は1.2倍に留まっている。
7月に入りPCR検査数は増えたが、死者数は毎日0~3人の横ばいで世界と比較するとダントツに少ない。この実数字の傾向を見ても、今後の2波、3波によって感染者、死者数が欧米のように一挙に何十倍にも跳ね上がる可能性は低いと思います」
-
日本の死亡率は欧米より大幅に低いのはなぜか
「確かにね。Cさんの主張を裏づける研究結果がでましたね。
8月6日、国立国際医療研究センターによる新型コロナの死亡率(流行の第1波を中心とした7月7日まで入院患者数に対する)の国際比較では日本は7・5%で、中国が28%、英国が26%、米ニューヨーク州は21~24%で、日本は桁違いに低い。患者の罹病の割合を調べたところ、糖尿病は日本が16・7%、英国は30・2%、米国は28~35%。肥満の割合も日本が5・5%、英国は9%、米国は40%で、これまた米国の8分の1という少なさで、この「糖尿病や肥満高齢者が少ないことが日本の死亡率少なさと関係しているのではないか。
英国の死者は高齢者施設の高齢者が多かった。木村正人氏によると「死者全体に占める介護施設入所者の死者はベルギー64%、フランス49%、スウェーデン47%、英イングランド・ウェールズ41%に対して日本では14%と大幅に少ない。https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2020/08/post-83_1.php
日本の場合は医療崩壊、検査崩壊、介護施設崩壊を何とか食い止めたのが功を奏したといえる。今後とも高齢者施設では「3密排除」と面会禁止措置を継続する必要がありますね」
「重篤者、死亡者をできるだけ減らすためには人工呼吸器やECMO、その取扱いができる医者、看護婦らの専門スタッフ(5人以上)が必要です。現在、国内の人工呼吸器は約2万2千台、ECMOは約1400台です。現状では余裕があるが、「オーバーシュート」が起きると、あっという間に足りなくなる。特に地方や過疎の医療施設には少ないし、それ以上に専門スタッフもいないので大至急整備すると同時にワクチン開発と確保を進めることが必要ですね」
つづく
関連記事
-
-
●「 熊本地震から2ヵ月」(下) 『地震予知はできない』ー政府は約3千億円を つぎ込みながら熊本地震まで38年間の『 巨大地震』の予知にことごとく失敗した。(下)<なぜ地震学者は予知できないのか。ゲラー氏は 『地震予知は科学ではない』という>
「 熊本地震を考える」 『地震予知はできない』ー政府は約3千億円を つぎ込み …
-
-
『2022年はどうなるのか講座(下)/2022年1月15日まで分析)』★『コロナエンデミックから世界大変動の第2幕へ』★『2022年も米中覇権争いは続く。』★『日米戦争80年目の教訓』★『無責任な近衛首相の辞任!』★『CO2とEV世界戦の2022年』★『』出遅れる日本勢は大丈夫か?
前坂俊之(ジャーナリスト) 22年も米中覇権争いは続く。 「米民主主義国グループ …
-
-
終戦70年・日本敗戦史(71)大東亜戦争開戦の「朝日,毎日新聞紙面」-「その朝、ラジオは軍艦マーチ高らかに」「株式相場は買い一色」
終戦70年・日本敗戦史(71) 大東亜戦争開戦の「朝日,毎日の新聞紙面から」ー …
-
-
日本リーダーパワー史(176)●○全国民に勇気と感動の『沢選手の決定力―『結果を出す』『夢は見るものではなく、 叶えるものだ』
日本リーダーパワー史(176) ●○全国民に勇気と …
-
-
名将・川上操六⑪の『最強のリーダーシップ』とは(3)<元老、先輩など眼中に置くな」>
名将・川上操六⑪の『最強のリーダーシップ』とは(3) <頭山満の評「川上は偉い。 …
-
-
速報(21)『日本のメルトダウン』33日目ー10年後から今の混乱をフィードバックする時間思考力を持て●
速報(21)『日本のメルトダウン』33日目 ◎5、10年後から今の混乱をフィード …
-
-
『バガボンド』(放浪者、漂泊者、さすらい人)ー永井荷風の散歩好きと野垂れ死考①
『バガボンド』(放浪者、漂泊者、さすらい人)ー永井荷風の散歩人と野 …
-
-
日本リーダーパワー史(199)『100年前の日本―「ニューヨーク・タイムズ」が報道した大正天皇―神にして人間、神格化』(上)
日本リーダーパワー史(199) 『100年前の日本―「ニューヨーク …
-
-
日本メルトダウン( 968)『黒田日銀総裁の「敗北宣言」は新たな戦いの始まり 「真珠湾」の奇襲で日本経済は回復しなかった』●『中国の歴史:虚無主義と戦う習主席 (英エコノミスト誌 2016年10月29日号)』●『国際舞台で派手に転ぶ中国人投資家 驕りにかけては欧米並み、買収計画が相次ぎ頓挫 (英FT紙 2016年10月31日付)』●『大前研一の特別講義「大卒に特別な価値はない。世界教育動向と進む学歴インフレ」』●『 イタリアの避難所に簡易個室 建築家の坂茂さんが実演』
日本メルトダウン( 968) 黒田日銀総裁の「敗北宣言」は新 …
-
-
『Z世代への昭和史・国難突破力講座③』★『吉田茂の国難突破力』★『GHQ草案を受入れるかどうか「48時間以内に回答がなければ総司令部案を発表する』★『 13日、日本側にGHQ案を提出、驚愕する日本政府』
2021/06/24日本リーダーパワー史(356)<日本の最も長い決定的1週間> …
