日本リーダーパワー史(982)ー『総理大臣の血圧』★『こんな面白くない<商売>をしていて、酒やタバコをとめられてたまるものか』(吉田茂首相)
2019/07/07
『総理大臣の血圧』
今年初め、私の血圧が急に140にハネ上がったので驚いて血圧計を買ってきた。普通は100からせいぜい120、下は60から70なのに。内科病院に行き血液検査を受け ,何か他の病気を併発していないかも調べていただいた。血糖値が少し高いということで、血圧降下剤を一ヵ月分もらって、朝晩2回血圧を計測し、その平均値を記録ノートに書き留めることになった。すでに4ヵ月が経過したが、上は110から150、下は50から80のカーブを繰り返している。
このほど日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」が新しくなり、正常血圧は上は120-129/下は80―84になった。私の場合はこの範囲から大幅に揺れているが、
数百回は測定してきたが同じ数値はほとんどないため、先生に聞くと「血圧は食事、運動、睡眠時間、精神状態などの体調の変化によって時々刻々と変化するものなので、あまり心配する必要はありません」とのことなので、それ以来、生活習慣病に気をつけて、食事のカロリー計算や運動メニューを工夫しながら、記録を続けている毎日だ。
生活習慣病といえば、朝一番にウオーキングして近くのコンビニに新聞その他を買いに行くのもここ10年の私の日課なのである。世界中がトランプ米大統領のツイッターに振り回されているが、メディアウオッチャーのはしくれ私もトランプツイッターに一喜一憂しているのでストレスがたまり、血圧がの上下変動の原因の1つと思っている。
その点で、安倍首相が世界中のどの政治家よりもトランプ米大統領と親友関係を築き上げている秘訣とは一体何かと考えてきたが、甘利 明氏(元経産業生相で安倍氏の盟友)がテレビ番組で「安倍さんはトランプ氏の話を最後までじっくりと聞きます。他の政治家はほとんどが途中でトランプ氏の話に反論したり、異論をとなえて対立するが、安倍さんは本当の聞き上手なのです」と。
この話で少しは納得できた。
そんな血圧を心配しながら、日本政治史上、ワンマン宰相といわれた吉田茂首相の担当医で日本医師会会長を長く務めた『武見太郎回想録』(日本経済新聞社 1968年)をよんでいると、「吉田首相の血圧」の項目があった。
「吉田さんは総理大臣当時、いやな問題が起こると、血圧が20や30すぐにとび上がった。あるとき、非常に重大な問題で頭を悩まして、気分が悪いというので血圧を測ったら、最高230で最低が120もあった。そこで武見が、煙草と酒を減らすように注意すると、『こんな面白くない<商売>をしていて、酒やタバコをとめられてたまるものか』といった。これが武見に対するたった唯一の抵抗だった。」という。
「また、ある日、これからマッカーサーに会いに行くというとき、血圧を測ったら200を越していた。自分でも少しは気分が悪いというので、降圧剤を注射して見送った。三十分ほどして帰ってきてマッヵーサーと話していたら声が出なくなった。マッカーサーが非常に心配して、すぐに帰って医者に見せろというので帰ってきたという。血圧の動揺のひどいときは、50ぐらい動くことがあり、総理大臣の職務がいかに激務であるかがわかる。」
マッカーサーと昭和天皇の会談は計13回だが、 吉田首相は合計75回も面会しており、信頼関係を築いた。トランプ大統領と安倍首相の関係は何とも似ているではないか。
トランプ投手の大暴投でも何でも捕球する安倍首相の名キャッチャーぶりをトランプ氏も評価して「シンゾー・ドナルド」と呼び合うほどの信頼関係を築いているが、安倍首相のストレス(血圧)はさぞかし変動しているのではないかと気になってくる。
ところで、6月6日、安倍首相の通算在職日数が第1次内閣を含めて2720日となり、初代の伊藤博文に並ぶ歴代3位となった。今年の11月20日には第一位の桂太郎(2886日)を抜いて歴代最長となる見込みだ。第5位は吉田茂の2616日である。桂太郎は日露戦争(1904明治37年―1905年同38年)当時の戦時内閣の首相で、病気静養を何度か繰り返している。国の運命をかけた一戦だけに、その激務と心労はよくわかる。
安倍首相はトランプ大統領に頼まれてイランに飛び、6月12日から14日までの3日間の日程で41年ぶりに訪問し、ロウハニ大統領、イランの最高指導者ハメネイ師とも会談した。この会談中にホルムズ海峡でタンカーが攻撃され、米軍は1000人の増派を決定、その後、米無人機も撃墜され、イランとの間で『一触即発』の軍事的緊張が高まってきた。緊張緩和に貢献したいという安倍首相の願いは無残にも断たれしまった。さぞかし総理の血圧は上がったことだろう。
この後には6月28,29日の両日にわたりG20大阪サミット(メンバー国や招待国の首脳、国際機関など、37の国や機関が参加し、経済分野を主要議題として毎年開催される国際会議)が開かれるが、米中貿易5G戦争真っ最中の難しいかじ取り役も安倍首相(議長)に一任される。連続する世界的な大役のストレスに負けないことを祈るのみである。
関連記事
-
-
ジョーク日本史(8)世界的数学者・岡潔は『数学は情緒なり』の奇行の人なり〝奇人〝仙人〝現代のアルキメデス″とも呼ばれた。
ジョーク日本史(8) 世界的数学者・岡潔は『数学は情緒なり』の奇行の人なり〝奇 …
-
-
『オープン講座/ウクライナ戦争と日露戦争④』世界史の中の『日露戦争』⑱『日露戦争-朝鮮の独立と領土保全のための戦争』『タイムズ』【開戦3週間】★『日本が朝鮮と締結した条約の全文は,英米両国は好意的にみている。』★『 日本は朝鮮の皇室の「安寧」と「朝鮮帝国の独立と領土保全」を保障している』
2013/06/18 記事再録   …
-
-
『クイズ『坂の上の雲』>明治陸軍の空前絶後の名将とは・・・児玉源太郎ではない参謀総長・川上操六②
『クイズ『坂の上の雲』>明治陸軍の空前絶後の名将とは・・児玉源太郎ではない参謀総 …
-
-
百歳学入門(150)『 日本最長寿の名僧・天海大僧正(107)の長命の秘訣は『時折ご下風(オナラ)遊ばさるべし』●昭和爆笑屁学入門『『元祖〝ライオン宰相〃浜口雄幸・・国運をかけたONARA一発『ぶー,ブ,ブーブゥー』『屁なりとて、徒(あだ)なるものとおもうなよ、ブツという字は仏なりけり(仙崖和尚)
百歳学入門(150) 長命はー① 粗食②正直③日湯④陀羅尼⑤時折ご下風遊ばさ …
-
-
知的巨人の百歳学(144)ー「玄米食提唱の東大教授・二木謙三(93歳)の長寿法『1日玄米、菜食、1食。食はねば、人間は長生きする』
2015/03/28/百歳学入門(54)記 …
-
-
速報(232)『ピント外れだったソニー、ストリンガーの7年間』●『「日本の倒産」に賭けるヘッジファンドーとの戦い』
速報(232)『日本のメルトダウン』 『ピント外れだったソニー、ス …
-
-
『オンライン現代史講座・日清戦争の原因研究』★『延々と続く日中韓衝突のルーツを訪ねる』★「『英タイムズ』が報道する130年前の『日清戦争までの経過』③-『タイムズ』1894(明治27)年11月26日付『『日本と朝鮮』(日本は道理にかなった提案を行ったが、中国は朝鮮の宗主国という傲慢な仮説で身をまとい.日本の提案を横柄で冷淡な態度で扱い戦争を招いた』
2019/02/06 記事再録 英紙『タ …
-
-
最高に面白い人物史➂人気記事再録★コスモポリタン「バロン・サツマ」(薩摩治郎八)の花の生涯(上)「空前絶後の完勝の日露戦争―山本権兵衛のリーダーパワーに学べ」―パリで最高にもてた日本人の話(伴野文三郎)
コスモポリタン「バロン・サツマ」(薩摩治郎八)の花の生涯(上) h …
-
-
百歳学入門(151)元祖ス-ローライフの達人「超俗の画家」熊谷守一(97歳)●『貧乏など平気の平左』で『昭和42年、文化勲章受章を断わった。「小さいときから勲章はきらいだったんですわ。よく軍人が勲章をぶらさげているのみて、変に思ったもんです」
百歳学入門(151) 元祖ス-ローライフの達人・「超俗の画家」の熊谷守一(9 …
