前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑲『開戦3ゕ月前の『英タイムズ』の報道-『満州撤退の最終期限10月8日が過ぎたが,ロシアは過去3年間と 変わらず満州に居座り続けた』●『ロシアは満州全体をおさえ、その前進運動をさらに朝鮮に拡大、竜岩浦に軍事基地をつくった。』●『日本は平和的な措置をとり.難局において,また紛争の長期化を通じ,日本は自制を保ち続けてきたが,これは日本が大国になって以来の最も称賛すべき特徴だ。』

   

 『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑲

 

1903(明治36)年10月10日

『英タイムズ』

 

『満州撤退の最終期限、10月8日が過ぎたが,ロシアは過去3年間と

変わらず満州と条約港の牛荘に居座り続ける。

 

本紙北京通信員が1900年の大晦日に,タタール(モンゴル)将軍の増とアレクセーエフ提督が満州に関し調印した画期的な協定の内容を打電してきてから3年近くになるが,提督はその後ロシアの初代極東総督に任命された。

 

同協定は民政機関を中国当局に再移管するという見え透いたヴェールの下で,満州の長南の最も重要な省を本質的にロシアの保護領とするものだった。イギリス政府はこの情報にかんがみ,ロシア政府から極東におけるロシアの活動の最新局面とされる本件について,「実情とも言うべきもの」を確認すべきであると判断し,ラムズド、ルフ伯爵に事の次第の説明を受けたサー・ヤールズ・スコット大使はそれを慎重は「本物」と見なしたのだった。

ロシア外相はイギリスの新聞の報道は全く根拠がないと言い,報道にあるような取決めはロシア軍当局と中国民政当局間の純粋に暫定的なもので.満州の以前の国際的地位の変更を意図した協定は存在せず,その地位も「牛荘その他におけるすべて」も,やがて「原状に復帰するだろう」と述べた。この言葉が語られてから2年半以上になる。

この件でロシアが中国政府に対し行った多くの連絡の最後に,満州撤退の最終日と設定した10月8日が到来し,過ぎ去ったが,本紙北京通信員の電報によれば,ロシアは過去3年間と変わらず堅固に満州と条約港の牛荘に居座り,同港の閲税収入は現在までに55万ポンドに上るが,これもロシアが手放さないでいる。

確かに中国は,レッサー氏が1か月前に行った条件付撤退約束のロシア側の一連の最新の条文に正式の同意を与えていない。だがロシア政府といえども,中国の頑固-いまだに頑固か否かは別として-を.国際道義を著しく欠くものとして利用するのは難しかろう。

レッサー氏の条文は,プランソン氏が4月に行った一連の非妥協的な要求の,いっそう驚くべき特徴は削ってある。だがそれらは,一時的に慎重に伏せられているとはいえ,実際に取り下げられたわけではないと理解されており,修正された条件でさえ,その真意は十分に明らかだった。

 それは,ロシアが義和団事件の機会をとらえて満州の諸省を領有して以来,一貫してとり続けてきた政策に全く合致したものだった。

同事件以降,ロシアは着実に,かっわき目を振らずに,満州における自国の

軍事的地位の強化を続けてきたが,その期間は数か月から今や数年間になろうとしている。

シベリア鉄道で諸要塞に軍隊をつぎ込み,また極東水域の海軍の増強と活動もそれに劣らず顕著だ。大鉄道事業の進展の中で占領し,建設してきた町も,恒久的な居座りの意図を同じくあらわにしている。

そして大連は,ロシアが最初は皮肉にも自由で実りある国際貿易港に指定したが,今や手ごわい軍事都市に転換され,外国人居住者も片手で数えられるほどに減った。

さらに意義深いのは,シベリア鉄道の旅行者が広く認めてロにするように,満州領内の路線,施設と駅の入念な工事とできばえに比べ,シベリア区域ではいたるところで不完全でおざなりな建設ぶりが目立つことだ。

満州の諸省におけるロシアの,このもはや疑う余地のない,たゆまぬ活動の結果はまさに画期的なものだが、それが中国の領土保全および同国内の外国貿易と事業の機会均等に及ぼす影響もさることながら,

さらに由々しいことは,その結果が極東における国際政治上の最も宿命的な問題にすでに影を落とし始めていることだ。ロシアが満州に恒久的に存在することは,世界のこの部分でロシアの最強のライバルである日本が無視できないことだ。

ロシアが北部中国の義和団騒動を利用して満州領を占領して以来,日本はロシアの有効な占領が全省に徐々に拡大し確立するのを見てきた。

占領は満州の隅々にまで押し広げられ,朝鮮国境の端から端に隣接するまでになった。

ロシアは満州全体をおさえ、その前進運動を朝鮮に拡大、竜岩浦に基地をつくった。

最近,ロシアの政策は,少なくとも外交関係において,いささかも変動や停滞することなく,その前進運動を朝鮮に拡大することを意図している兆候を余すことなく呈しており,朝鮮国王が7年前ソウルのロシア公使館に命からがら避難した際に与えた鴨線江流域の伐採権を,ロシアは十二分に利用して.朝鮮領内に地歩を築くテコにしてきた。

この手口は満州でロシアが細々と鉄道事業を始めたころに不吉な似方をしていたが,日本はその進展を座視することなく,声をあげ,8月初め以来ペテルブルグでロシアと重要な交渉に入ったが,そのことを先月知ったとき,驚きを感じた消息筋はいなかったはずだ。

この交渉はまだ進行中だと,本紙東京通信員は伝えている。その交渉のこれまでの成行きや,最終的にどんな決着がっきそうかについては,ほとんど何も分かっていない。

いずれにせよ,交渉中は,その傾向が詳しく分かるとは思われないが,中断していないという事実はよい兆候かもしれない。日本の朝鮮における利益は,周知のように切実なものがあり,これを保全するため神経をとがらせないわけにはいかない。

日本は自国の食糧資源が不足した際.朝鮮を最も重要な供給源に期待しており,朝鮮の開発に多額の投資をしてきた。

また朝鮮を,極東の中で自国民の入植に最も有望な土地と見ており,日本人の朝鮮移住は過去,現在とも増大している。何よりも朝鮮は地理的な位置のため日本の安全に絶対不可欠だから,満州のように,外国の保護下に入るようなことがあってはならない

ロシアが国境を越えて支配の手を伸ばす差し迫った形勢になったため,日本は朝鮮への影響力を主張する措置をとることを余儀なくされたのであり,その影響力は,地軋人種,歴史的なっながりに意味があるなら,日本が絶対に主張する権利があるものだ。

日本がとった措置は平和的措置であり.難局において,また紛争の長期化を通じ,日本は自制を保ち続けてきたが,これは同国が大国になって以来の最も称賛すべき特徴だ。

その精神によって朝鮮における懸案が満足すべき解決に至り,日本がいっそうの強制措置に訴えることなく,その申入れの公正さをロシア側に知らしめることは,同国に好意的な人々の切なる願いに違いなく,彼らは極東の平和が血なまぐさい抗争で破られ,そのため日本が文明的発展から計り知れないほど後退しかねないことになるのをあえて望んではいない。

 - 健康長寿

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

百歳学入門(152)元祖ス-ローライフの達人/「超俗の画家」熊谷守一(97歳)② ひどい窮乏生活の中で、3人のわが子を次々に失う。 しかし、病児を医者にかけるために絵を描き、 絵を売ることはできなかったのです。

  百歳学入門(152)   元祖ス-ローライフの達人・「超俗の画家」 …

no image
大迫力!決定版◎台風24号接近中の怒涛の稲村ケ崎サーフィン10分間(9/29am720-8.30の圧縮版)-怒涛の大波とサーファーの対決決闘編!だれが勝つか!

大迫力!決定版◎台風24号接近中の稲村ケ崎サーフィン10分間 (9/29am72 …

『オンライン/<裁判員研修ノート④>『明日はわが身か、冤罪事件』ー取調べの可視化(取調べの全過程録画)はなぜ必要か、その理由

2010/01/18  記事再録 前坂 俊之(毎日新聞記者) …

no image
百歳学入門⑦<クイズ>長寿で最後までリーダーパワーを発揮した日本の政治家は誰ですか①!?

百歳学入門⑦<クイズ>長寿で最後までリーダーパワーを発揮した政治 家は誰ですか① …

『日本インド交流史①』★『インドの夜明けとなった日露戦争(1905-6年)』★『日露戦争はコロンブス以来500年史で西欧の白人人種が初めて有色人種に敗れた大戦争となり、その後の世界史を変えた」

今年は日露戦争120年、昭和100年、大東亜戦争(80年)の「日本の戦争の世紀」 …

『Z世代への遺言』★「日本史最大の国難を4ヵ月で解決した救国のトップリーダー・鈴木貫太郎首相(78歳)を支援して、終戦を実現させた昭和名僧、山本玄峰(95歳)とは一体何者か?(上)』★『力をもって立つものは、力によって亡ぶ。金で立つものは、金に窮して滅び、徳あるものは永遠に生きる』

   2021/10/01「オンライン・日本史決定的瞬間講座 …

no image
『百歳学入門』(211)-『日本の人口の高齢化率(65歳以上)は27.3%』★『2065年には約2.6人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上』★『2015年では高齢者1人に現役世代2.3人が支え、2065年には1.3人となるが、社会機能はマヒする』

『百歳学入門』(211)- 『2018年高齢社会白書』によると、 ➀日本の総人口 …

no image
日本メルトダウン( 982)『トランプ次期米大統領の波紋!』「安倍・トラ会談」が、かなり危なっかしい理由トップ会談お決まりの打ち合わせもなし』●『トランプ氏と安倍首相の初会談、準備段階で混乱、詳細決まらず』●『コラム:貿易やアジア外交、トランプ大統領を待ち受ける危険』●『コラム:トランプ勝利と、米国が主導する「世界秩序の死」』●『オピニオン:トランプ不安、日本の「改憲」後押し=エモット氏』●『TPP失敗なら中国に10兆円もの恩恵 米調査委が試算、トランプ氏の脱退方針に警告』

   日本メルトダウン( 982) —トランプ次期米大統領の波紋 「 …

no image
日本メルトダウン(926)『資本主義の成熟がもたらす「物欲なき世界」』●『仲裁裁判所の裁定に反撃する中国の「情報戦」の中身 本格的灯台の設置で人工島の軍事基地化に拍車』●『沖ノ鳥島問題で露呈した日本と中国の共通点』●『「自動運転バブル」はこのまま崩壊の道を歩むのか?』●『 土俵はできた~今こそ真正面から客観的な憲法論議を 中国、韓国、護憲派の懸念はお門違い(筆坂秀世)など8本』

   日本メルトダウン(926) 資本主義の成熟がもたらす「物欲なき世界」 ht …

no image
『巣ごもり京都観光動画』★『世界文化遺産・京都南禅寺(3/29)参拝の全記録』☆『石川五右衛門が「絶景かな・」とうたった大山門へ』☆『京都三大山門の1つを拝観、高さ22メートルかから、京都市内を見渡す、まさに絶景だったよ』

  世界文化遺産・京都南禅寺(3/29)に参拝すー石川五右衛門が「絶景 …