前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(122)『メルケル訪日、安倍首相の度量の無さ・独新聞が論評』(3/20)『中国首相「歴史の責任負うべきだ」安倍首相を牽制』(3/16)

      2015/03/19

池田龍夫のマスコミ時評(122)

『メルケル訪日、安倍首相の度量の無さ・独新聞が論評』(3/20

『中国首相「歴史の責任負うべきだ」安倍首相を牽制』(3/16日)

  池田龍夫(ジャーナリスト)

 

『メルケル訪日、安倍首相の度量の無さ・・独新聞が論評』(3/20

政府は、メルケル独首相の助言を生かせなかったい印象が強い。3月9日付本欄で「両国首脳には距離がある」と指摘したが、内外の報道も押しなべて失望じている。ベルリン在任の梶村太一郎氏(ジャーナリスト)は16日のブログで「メルケル報道、独メディアから匙を投げられた安倍政権とNHK」と指摘していた。

「日本は孤立している」

特に南ドイツ新聞が論説欄で、「日本は批判に慣れていない。政府は、その第二次世界大戦での歴史観に疑問を呈され、それによって孤立し、それが国際間ではコンセンサスとなっていても、拒否反応を示すのである。批判が善意であり得ても、東京には伝わ

らない。歴史を歪めることは長期的には無理である。メルケル首相は東京への旅の前に、領土と歴史問題での対処に関して、東京を批判したり教訓を与えることなく、どのように表言すべきかを自問しなければならなかった。

彼女はこの微妙な課題を巧みに解決した。彼女は忠告を与えず、ただドイツの和解の経験を指摘しただけだった。彼女は、例えば東アジア諸国のかたくなな姿勢への選択肢として、『1500年、1600年、1700年当時の国境がどこであったか』などは、問題とすべきではないと述べた。メルケルの含意ある示唆は、すでに政府が非難攻撃しているリベラルな朝日新聞社で基調講演を行う決断にみられた。その場の聴衆の質問に答えて、彼女は言論の自由に何の問題もないと述べた。民主的な政府には異なる意見が必要である。

日本の公共テレビのNHKはこのことからまったく学ぼうとはしない。そのニュースでは、首相がどこに登場したかを、ある新聞社でしか伝えなかった。日本の学習能力はこの程度である」と、日本の姿勢を糾弾していたが、全くその通りではないか。メルケル首相は、非常に慎重に、脱原発の選択肢や、特に歴史認識に関して、その意義を伝えたかったのに、アレルギー的に拒否反するだけで、聞く耳を持たない出来の悪い子供のような安倍政権の傲岸さ国際的に見て恥ずかし」と指摘していたが、確かに安倍政権の姿勢は恥ずかしい。

天皇とは20分も和やかに懇談

「ただ一つ、メルケル首相は天皇陛下とは、予定時間を越えて20分も大変気持ちの良い対話ができて非常に喜んでいるとの、政府報道官からの情報があった。記事の写真も、その天皇に対する表敬の意であると解釈できる」と、南ドイツ新聞が記していたのが、唯一の救いだった。

 

『中国首相「歴史の責任負うべきだ」安倍首相を牽制』(3/16日)

中国の李克強首相は3月15日、第12期全国人民代表大会(全人代=国会)第3回会議の閉幕後に行った記者会見で、「国家の指導者は、先人の作り上げた業績を継承するだけでなく、先人の犯した罪がもたらした歴史の責任も負わなければならない」と述べ、今年、戦後70年の首相談話を発表する安倍晋三首相を牽制した。
中国が今年、抗日戦争勝利70年に合せて実施する軍事パレードなどの記念活動について、李首相は「中国だけでなく、世界の多くの国家がいろんな形式の記念活動を行う。痛ましい歴史の悲劇を心に刻み、歴史を繰り返させず、第二次大戦勝利の成果と戦後の国際秩序、国際法を守り、人類の平和を永続させることが目的だ」と主張した。
日中関係は、尖閣諸島をめぐる問題を発端に冷却化。李首相は「あの戦争(抗日戦争)が根本的な原因だ」と主張し、「当時の日本の軍国主義が中国国民に侵略戦争を押しつけ、巨大な災難をもたらした。最終的には日本の民衆も被害者だ」と述べた。
その上で、「日本の指導者が歴史を正視し、一貫して両国関係を改善、発展させようとしてこそ、新たなチャンスがある」と強調したが、安倍首相への〝牽制球〟などと受けとらず、日中関係の改善に努力しなければならない。

韓国の対日批判は少し和らぐ

一方,韓国の対日批判は相変わらずだろうか。【ソウル聯合ニュース】によると、国連人権理事会に韓国政府代表として出席した外交部の趙兌烈(チョ・テヨル)第2次官は3日(現地時間)に行った基調演説で、慰安婦問題に触れながら日本政府が責任ある姿勢を示すよう促した。

昨年3月に同理事会に出席した尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官が行った演説に比べると、過去の歴史を否定する日本の態度を直接非難する表現が確実に減っている。尹長官は演説で、慰安婦問題について旧日本軍の関与と強制性を認めた河野洋平官房長官談話を見直す動きが日本にあることについて、「被害女性の名誉と人権を踏みにじる行為」」などと強く批判したが、今回の趙次官演説は、被害女性が抱える苦痛を伝えるとともに、過去の歴史の傷を癒やす必要性を強調することに集中したと評価されている。

慰安婦問題解決に向けた日本の実質的な立場に進展はみられないものの、今年になって日本に対する批判の度合いが和らいだのは、韓日局長級協議が6回開かれたことも一つの理由とみられる。韓日国交正常化50周年を迎える今年、過去の歴史問題を前向きに解決しようというメッセージを韓国政府が発する必要性も考慮したようだ。

                                                                             (いけだ・たつお)毎日新聞ОB。

 - 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
高杉晋吾レポート⑪「脱原発」「脱ダム」時代の官僚像ーー元、淀川水系流域委員長 宮本博司氏へのインタビュー(上)

高杉晋吾レポート⑪   ダム推進バリバリの元国交省エリート、宮本博司が …

『Z世代のための日本スポーツ史講座』★『パリ五輪の日本柔道の苦戦を見ながら、加納治五郎の奮闘を思い出した』★『なぜ1940年(昭和15 年)の東京大会は幻のオリンピッ クに終わったのか?』★『グローバリズムの中での『大相撲騒動』の行方はー 「アジアの田舎相撲」か「国際競技・SUMOU」への分かれ目にある』

  2017/12/14 日本リーダーパワー史(863)記事再録 日本 …

no image
『2018年「日本の死」を避ける道はあるのか―日本興亡150年史』(1)前坂俊之 (静岡県立大学国際関係学部名誉教授)

  ★『2018年「日本の死」を避ける道はあるのかー ―日本興亡150年史』(1 …

『Z世代のための日本宰相論・加藤友三郎』★『平和のために、軍縮論、行革論をまとめるのが政治家の最大の課題』★『ワシントン軍縮会議をまとめた加藤友三郎(首相)の評価は低いが「冷徹で大局的に判断した唯一の宰相」と賀屋興宣は高く評価した』

 2013年/11月10日/日本リーダ―パワー史(431) 記事再録再 …

no image
日本リーダーパワー史(250)『野田首相は国難突破のリーダーパワーを発揮し、小泉元首相、橋下市長のように断固けんかせよ。

日本リーダーパワー史(250)   <濃霧を漂流、浸水中の野田民 …

★★(再録)日中関係がギグシャクしている今だからこそ、もう1度 振り返りたいー『中國革命/孫文を熱血支援した 日本人革命家たち①(16回→31回連載)犬養毅、宮崎滔天、平山周、頭山満、梅屋庄吉、 秋山定輔、ボース、杉山茂丸ら

 ★(再録)日中関係ギグシャクしている今こそ、 振り返りたい『辛亥革命/孫文を熱 …

★10 『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(177)』2016/5『ポーランド・ワルシャワ途中下車③ 『世界遺産の旧市街』ナチスにより徹底的に破壊された市街は市民により丹念に復元され世界遺産となった➂

  ★10 『F国際ビジネスマンのワールド・ カメラ・ウオッチ(177)』 20 …

no image
速報(399)『日本のメルトダウン』『3・11から丸2年』◎『北澤宏一、黒川清、船橋洋一各氏の記者会見動画』

  速報(399)『日本のメルトダウン』   ● <まとめ> …

no image
日本メルトダウン脱出法(782)「日本は蘇るか? 経営者が知っておくべき「経済の新潮流」●「外国人観光客に勧められない!東京「7大ガッカリ」観光地が判明」●「外国人が驚く!ニッポンの「鉄道作法」10選 日本の「常識」は海外からみると「ガラパゴス」

  日本メルトダウン脱出法(782)   日本は蘇るか? 経営者が知っ …

世界一人気の世界文化遺産『マチュピチュ』旅行記(2015 /10/10-18>「朝霧の中から神秘に包まれた『マチュピチュ』がこつ然と現れてきた」陸野国男(カメラマン)⓶

  ★<世界一人気の世界文化遺産『マチュピチュ』旅行記 (201 …