前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』⑥-『朝鮮の各国との通商こそ,国土保全の所以である(上)』(1882/12)

      2015/01/01

 
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史
日中韓のパーセプションギャップの研究』⑥
 
●130年前は現在の日中韓、アジア情勢と何と似ていることか。
日中韓の対立と紛争、清仏戦争、藩屏の安南(ベトナム)と清国との戦争、
中華思想により属国視されていた朝鮮、琉球をめぐる日本との対立と、
<核心的利益政策>によって大清帝国時代の領土を奪還したいと
いう『中国の夢』(膨張政策)をとる現在中国の行動のルーツが
この論説に表れており、日中韓150年対立のパーセプション
ギャップの原点がここにある。
 
 
 1882(明治15)年1223,光緒8年、壬午1114日付「申報」
 

『朝鮮の各国との通商こそ,国土保全の所以である(上)』
 
 
 
天下のことを次のように論じる客がいた。

朝鮮は国家として.まことに危なかった。だが,今後は存立を図ることができる。最近強い隣国が朝鮮へ進入し,大敵がその国境をうかがい.国内では党派の争いから災難が頻発し,各地で内乱が起こった。

 
情勢に関心を持っている者で.心配し,慄然たる思いをしない者はなかった。もし中国の後ろ盾がなかったならば,滅亡の危機に瀕していた。こうしたことはだれの目にも明らかだった。
 
朝鮮に最大の危機が訪れたのはいつだろうか。日本軍が台湾や膨湖島でその武勇をひけらかし,自国へ凱旋したとさほど危険なときはなかった。日本は,すでに藩を廃止して都県とし,官史を置き,軍隊を設置している。
 
かつての藩士たちは,士族として登録されているとはいうものの,給料は支給されず,皆恨みを抱いており,事件が発生することを望み,戦争を遊びとみなしていた。日本の為政者は,国内の乱れを深く憂え.人々の不満を外部に発散させようとし,戦争によって得たものによって彼らの欲望を満たし.その家庭を潤した。
 
貧しい者が多少とも扶養され,安定を得れば悪いと言うことはできない。乱をなくす方法の1つに.たとえば,人々が重い病気にかかれば藁で体外へ出すというのがある。
 
癕(よう)と疽(そ)を外に出して毒素を流出させ,病気を内攻させずに病気を取り除くのだ。日本人はこれを考え.ついに台湾生蕃による強奪を口実にし、出兵の名目としたが,真意は別のところにあった。
 
わが国の兵7万人が朝廷の命により台湾へ出兵したが.まだ到着しないうちに生蕃は皆、山奥へ逃げてしまった。苦労も報われず前には強敵を控え、後に援軍もなく、進退きわまり!ほとんど精根ともに尽き果て、長く持ちこたえることはできなかった。
慰労を受けて引き返したが.その後まもなく日本人は琉球を滅ぼしてしまった。そして、その国を県に,その名を改めて沖縄としたが,もともと舜天氏の領土だ。論者は言う。
 
日本人が台湾を討伐したのは琉球を滅ぼす伏線で,琉球を滅ぼしたのは朝鮮を獲得する伏線だったと。それは,中国は朝鮮とは地続きで密接な関係にあり、君臣の間柄、つまり,地理的に近く.名分上からも親しいからだ。
 
ところが海上の国琉球は.中国の国境の外にあり,台湾の種族は中国の教化が及んでいないところにいる。つまり、琉球は中国の国境の外にあるので地理的にも遠く、台湾は中国の教化が及んでいないので,名分上からも疎遠だ。
 
その意味は中国に親しくかつ近い国を手に入れようと思えば.まず疎遠なもめを徹底的に滅ぼして試してみる。ちょうど,竹を割るとき数節試したあと一刀両脚こするように。
 
このようにすれば覇業は成功し,渤海方面を手中におさめることができる、日本兵が琉球を制圧して中山に入ったとき、その王尚泰と嫡子尚典を捕らえて凱旋した後、神社で戦勝の儀式を行い.論功行賞もした。
 
思うまま,やりたい放題のことをした。このときわが中国は,ちょうど新彊の天山南北路一帯で戦争を行い,次々に諸都市が平定さ れ,勢いに押されてことごとく帰順した。
 
 ロシア人もやはり伊犂(イリ)地区をわが国に返還しようとしていたが,急に約定を変更し、この土地を種にわが国に強要してきた。そこで兵士たちを集めて辺境を防衛し軍隊を再び移動させたので,他を顧みる余裕がなかった。
 
そのため日本人はこの機を逃さず.ついに鎖国を解いて通商を行うよう要求し.受け入れられない場合はすぐにでも戦争を起こそうとした。そのとき興宣大院君が政治を行っていたが、聡明で雄々しく,時勢を見通して臨機応変・既成の法律に拘泥してはならないことを知っていたので.ほぼこれを許可した。
 
これは日本人にとっては思いもかけないことだった。もし依然として門戸を閉ざし・自らの殻に閉じこもっていたならば.戦争が勃発していたことだろう。
 
わが中国は.伊犂(イリ)の戦いがあったため,朝鮮を助けることができなかった。朝鮮は琉球の10倍もの広さがあるが,国力は日本に比べてはるかに劣っており,その上朝鮮の軍隊は相変わらず旧式であるのに.日本は西洋の兵法をまねているので,利と鈍の隔たりは大きく勝負は戦争の結果を待たなくても明らかだった。朝鮮が琉球の二の舞を演じる可能性はなかっただろうか。また.朝鮮にとっては.ロシアが60万の大軍で二手に分かれてトルコを攻めたときほど危険なときはなかった。
 
一軍はアジアに出て沙龍城を取り、続いて巴続に軍を進めた。別の一軍はヨーロツパに出てルーマニアを通過してドナウ川を渡り.バルカン山脈を越えてトルコの首都イスタンブールに迫り、トルコは崩壊した。
 
ロシア人はトルコをあたかも自分のものとみなしたのだ。ドイツ・オーストリア.イギリス,フランス・イタリアの5大国も戦後の処理について相談し、外交官を派遣して.共にヨーロッパの安全を保っことを協議した。
 
これがベルリン新条約だ。ロシアは西方で成功できなかったからには東の国境でやりたい放題のことをしようとし.黒龍江に海軍を増強し・ハバロフスクに造船所をつくった。このときまさに 朝鮮の存亡は累卵の危うきにあったのだ。
 
 
 たまたまロシアの前王がニヒリストに暗殺され,新君が立ったばかりで人心が動揺しており.内憂のただ中で.まだ外へ軍を押し進めるいとまがなかった。
ロシアの不幸は朝鮮の幸いだった。現在・朝鮮は鎖国を解き,すでに日本人に築港や通商を許している。西洋の大乱たとえばイギリス・アメリカなども協定を結んだように.朝鮮の為政者は翻然と考えを改めて新法を施行し,およそ,商談.郵政、軍政などの諸大事については,いずれも留意して方策を講じ,今やれっきとした国際的な国家だ。

相互に通商を始めた後は.軍事力を背景に併合を企図する国があっても.同盟諸国が黙って見過ごしはしないだろう。それ故「今後は存立を図ることができる」と私は論ずるのだ。

 

 - 現代史研究 , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

  関連記事

no image
日本リーダーパワー史(863)『昭和15 年の東京大会は幻のオリンピッ クに終わった』★『グローバリズムの中での『大相撲騒動』の行方ー 「田舎相撲」か「国際スポーツ・SUMOU」かーその瀬戸際にある』

グローバリズムの中での『大相撲騒動』の行方ー 「相撲」か「SUMOU」かーその瀬 …

no image
日本の「戦略思想不在の歴史⑻」「高杉晋作のインテリジェンスと突破力がなければ、明治維新も起きなかった。

●「高杉晋作のインテリジェンスがなければ、 明治維新も起きなかった。 古来密接な …

no image
日本リーダーパワー史(838)(人気記事再録)-『権力闘争対メディアの戦い』②★『日本政治史の分岐点・5・15事件 での犬養毅首相、ジャーナリスト・ 菊竹六鼓から学ぶ➀』

2010年10月17日の日本リーダーパワー史(94) 日本政治史の分岐点・5・1 …

no image
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』㉓『開戦2ゕ月前の「申報」の報道ー『中国が日本を頼りにロシアを拒む説を試みに述べる』★『日中同盟そうすることでアジアが強くなり,欧米各国が弱くなる』●『日本と中国はロシアの近隣であり.ロシア人はすきあらば襲いかからんと狙っていた』

 『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』㉓ 『開戦2ゕ月前の「申報」 …

no image
速報(356)『日本のメルトダウン』日中ディープ動画座談会『元中国特派員,研究者が尖閣問題と日中関係を語る①

速報(356)『日本のメルトダウン』   日中ディープニュース動画座談 …

no image
国際コミュニケーションにおける通訳の役割>日本の通訳者の第一人者・小松達也サイマル・インターナショナル顧問の会見 

<国際コミュニケーションにおける通訳の役割> 日本の通訳者の第一人者・小松達也サ …

no image
『中国紙『申報』などからみた『日中韓150年戦争史』㊹日清戦争勃発1ヵ月前の『ノ-ス・チャイナ・ヘラルド』『申報』の報道」

  『中国紙『申報』などからみた『日中韓150年戦争史』 日中韓のパー …

no image
『昭和戦後史の謎』-『東京裁判』で裁かれなかったA級戦犯は釈放後、再び日本の指導者に復活した』★『A級、BC級戦犯の区別は一何にもとづくのか』★『日本の政治、軍部の知識ゼロ、日本語を読めないGHQスタッフ』★『ウイロビーは『日本を反共の防波堤』に』★『A級戦犯岸信介は首相にカムバック』●『右翼は裁かれず、児玉は日本のフィクサーへ』

裁かれなかったA級戦犯 釈放後、 再び日本の指導者に復活!した 前坂俊之(ジャー …

no image
 日本メルトダウン( 988)-トランプ次期米大統領の波紋 『スティグリッツ氏警告「トランプは危険人物」―「米国経済がトラブルに陥るリスクは高い」』●『トランプ政権の威力をあなどってはいけないー「よいトランプ、悪いトランプ」を考える』●『トランプの経済政策で懸念される円安と金利上昇』★『トランプ、強硬保守とソフト路線の「バランス戦略」は成功するのか』★『トランプ氏が英国独立党党首ファラージを駐米大使に指名?──漂流する米英「特別関係」』●『トランプ氏の首席戦略官、早くも解任求める政治広告―スティーブ・バノン氏、2018年中間選挙向けTV広告の標的に』

 日本メルトダウン( 988)—トランプ次期米大統領の波紋  スティ …

no image
前坂俊之最終講義・ガラパゴス日本の没落

国際コミュニケーション論・最終講義(15)      2009、1,21     …