『日本を救え、世界を救うために、決断を!』ー<福島原発―最悪のシナリオから考える(3)>(池田知隆)
『日本を救え、世界を救うために、決断を!』
福島原発―最悪のシナリオから考える(3)
池田知隆(ジャーナリスト)
◎再臨界の可能性は低くなったが、深刻な状態は続く
福島第一原発の1号機で再臨界が生じているとの疑いが広がっていたが、その可能性は低くなった。再臨界の大きな根拠となっていたクロル38の検出について、東京電力が「クロル38の検出は間違いだった」と発表したためだ。
京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんはクロル38を根拠に1号機で再臨界がおきているのではないか、と指摘、大きな反響が広がっていた。
クロル38(塩素38)は、原子炉内に注入された海水に含まれている塩素に中性子に反応して生まれ、その中性子は核分裂が起きたときに発生することから炉内で再臨界が起きている可能性が高いとみられていた。
21日流れた毎日放送ラジオ「たねまきジャーナル」の番組の中で小出さんは次のように話していた。
「クロル38のこと、半減期の短い物質の過大評価と東電は言っていますが、ばかげた説明です。私もゲルマニウム半導体の計測器でガンマー線の量を計っていますが、どの核種がどれだけあるか、クロル38のことも生のデータを見たらすぐわかります。専門家がみれば簡単なことなので、(データの)スペクトルを見せてもらったらすぐに分かるのに、20日以上もスペクトルを出していません」(要旨)
ひとまず再臨界の可能性が低くなったということで、小出さんはいくぶんほっとしていた。といって、放射性物質の放出が少ないわけではなく、原子炉内の事態は決して好転していない。小出さんは「困難山積みで、手詰まりです」と付け加えた。
「原子炉を冷やすのに水を入れる、入れたら溢れて汚染水がたまり、水を漏らすトレンチに入り海に漏れる、タンクに移すのに20何日もかかり、大変な作業が待っているのです」。
それにしても東電側が発表したデータの間違いが度重なっていることに驚かされる。クロル38の半減期は37分といわれる。そのクロル38の検出データが3週間もたった後から誤りでした、というなんて。東電が発表する計測値の扱いへの信頼性がまたまた薄れてしまった。
「分析、評価については、生のデータを専門家が検討しないと、本当かどうかは分からない。東電が勝手に解釈して間違いを発表するのを止めて欲しい。再臨界の可能性をめぐって世界中が驚いた。東電は正確なデータを出して欲しいのです」
小出さんは「生データと測定条件」の公開を求めていたが、それは当然のことではないか。一部の「原子力村」の専門家によってデータを独占してもらって困る。そして1号機にとどまらず廃水液の生データもすべて公表し、多くの専門家たちの間で議論し、できるだけ正確に事態を把握してほしいものです。
関連記事
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(237)/『日本人に一番欠けているものは自由と正義への希求心』ー冤罪と誤判の追及に生涯をかけた正義の弁護士・正木ひろし氏を訪ねて』★『世界が尊敬した日本人―「司法殺人(権力悪)との戦いに生涯をかけた正木ひろし弁護士の超闘伝12回連載一挙公開」』
2017/08/10   …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(128)』『昭和史研究の藤原彰氏』の著作を読み、久し振りに本物に出会い、脳天をカチ割られた気持ちです。
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(128)』 『昭和史研究の藤 …
-
-
速報「日本のメルトダウン」(501) 中×日米対立の未来ー「中国、日本、米国:緊迫するにらみ合いー(英エコノミスト誌)
速報「日本のメルトダウン」(501) 中&t …
-
-
『オンライン/長寿学入門『超高齢社会日本』のシンボルー 真珠王・御木本幸吉 (96)、ラーメン王・安藤百福(96)に学ぶ 「食を選んで大食せず、うまいものは二箸(はし)残し、胃腸と一緒に寝る」(御木本幸吉) 『人生に遅すぎることはない。五十歳でも、六十歳でも、新しい出発はある』(安藤百福)
96歳 真珠王・御木本幸吉 (1858年3月10日―1954年9月21日) いわ …
-
-
『オープン講座/ウクライナ戦争と日露戦争➅』★『英国の歴史家H・G・ウェルズは「日本国民はおどろくべき精力と叡智をもって、その文明と制度をヨーロッパ諸国の水準に高めようとした。人類の歴史において、明治の日本がなしとげたほどの超速の進歩をした国民はどこにもいない。』★『日露戦争』は川上操六プロデューサー、児玉源太郎監督、主演は川上の薫陶をうけた情報参謀の福島安正、柴五郎、明石元二郎、海軍は山本権兵衛、東郷平八郎、秋山真之らオールキャスト
2017/08/14   …
-
-
『2014年ー世界政治経済ウオッチ⑪』「デジタルで復活したシェ アリングエコノミー」「中国とロシア:友人で敵でもある微妙な関係」
『2014年ー世界・政治・経 …
-
-
日本リーダーパワー史(546)安倍地球儀外交(積極的平和主義)をオウンゴール外交 にしてはならない②
カメラと写真映像のワールドプレミアショ「CP+(シーピープラス)- …
-
-
日本リーダーパワー史(873)―『慰安婦問題をめぐる日韓合意をひっくり返した韓国政府の二重外交の歴史復習問題⑶』★『伊藤統監は「今次のハーグ密使事件は保護条約の違反であり、日本に 対する敵対行為である』★『「英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など の「日韓併合への道』の報道連載(21回→27回終)』
日本リーダーパワー史(873)― 「 英タイ …
-
-
『昭和史キーワード』『昭和天皇史』ー群馬県内陸軍特別大演習の天皇行幸でおきた 天皇誤導事件<1934年(昭和9)>
『昭和史キーワード』 『昭和天皇史』ー群馬県内陸軍特別大演習の天皇行幸でおきた …
