前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本メルダウン脱出は無理か(672)「2-3%成長率による財政再建」「格付け低下を何とかせよ」「TPP米国不参加」の三重苦で「アエグノミクス」へ

      2015/05/14

日本メルダウン脱出は無理か(672)

        「2-3%成長率による財政再建」「格付け低下を何とかせよ」

「TPP米国不参加」の三重苦で「アエグノミクス」へ

 前坂 俊之(ジャーナリスト)

 

このところ、「日本沈没カウントダウン」の赤ランプが点滅している記事がメディア一流のカムフラージュした形で流されている。大東亜戦争敗戦70年の今年、各紙が企画をいろいろやっているが、リーダーや自らのメディアの戦争責任追及よりも、論点をずらした体験者や一般庶民の戦争回顧、被害者回顧ものが多い。

そして、あの戦争でのリーダーたちの見通しの甘さ、誤断、不決断、リーダーシップの欠如による失敗とまるで同じものが再び現在日本の政治経済外交でも繰り返されている。「アベノミクスの失敗」「安倍外交の失敗」だが、それをメディアは少しばかりの異論をはさむだけで、従順に流しており、70年前の同じメディアの失敗をも繰り返している。

「財政再建、歳出減が不可避―諮問会議民間議員の論点整理、成長頼みに不確実性」(日経、5月13日3面)

◎「成長加速で税収増実現、財政再建へ諮問会議で提言」http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0NX15K20150512

 

「社説:アベノミクスは失敗してもリスクに過ぎない-安倍首相と黒田日銀総裁は一致協力を」(2015年5月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43767

 などの記事によると、財政再建について、「内閣府は、今後何年も3~4%の名目成長が続くとの前提に基づき財政予想を立てて、これでも足りない部分の9兆円余りの赤字の解消のため、さらなる成長を見込んでいる、という、これまで20年以上も2-3%成長の水準に達していないにもかかわらず」、である。

まるで、絵に描いた餅どころか、だれが考えても噴飯ものの過剰数字である。諮問会議で真っ向から批判がでたのかと思いきや、物言わぬおとなしい連中ばかり、小林喜光経済同友会代表幹事が「2%以上の成長率は簡単な数字ではない(日経)とくぎを刺しただけらしい。OECDや米国からの「財政再建に徹底して取り組め」と厳しく言われているのに、断固スピード実行力を問われているアベノミクスはいまもって成長期待の口先介入を繰り返している。

その安倍首相の口先介入、経済音痴(外交音痴にも通じるが)ぶりを示した、次の記事を読んでショックを受けた。というよりも、納得した。財政再建への無能ぶり、借金倒産国へまっしぐらの「アベノミクス」の経済無知ぶりをみたおもいであった。これで日本メルダウン脱出は無理となるであろう。

「黒田総裁の直談判よりも問題なこと」

http://blogos.com/article/105980/

この日(5月13日)の新聞には「週刊新潮」(5月21日号)の特集で『世界一の借金大国、今年は1053兆円、来年は1167兆円、あと10年で国の借金2000兆円の時代、個人的「資産防衛」戦術書」が掲載されていた。「週刊新潮」の見通しは正しい。

 

そして、この日の3連発のパンチ、「三重苦」-

◎「米国:TPP協議停滞は必至 TPA審議、上院が否決http://mainichi.jp/select/news/20150514k0000m020046000c.html

 

◎【世界を斬る】TPP不参加に傾く米議会 急速な景気回復で経済界も熱が冷める (1/2ページ) (日高義樹)http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150513/dms1505130830004-n1.htm

「米国では、貿易による収入は経済活動の20%程度。こうした米経済の体質もTPP熱が低下してきた大きな理由になっている。オバマ大統領と安倍首相の努力にもかかわらず、米国がTPPに参加しない見通しが日増しに強くなっている」とか。

「アベノミクス」はついに「アエグミクス」に成り果てるのか。

これでAIIBに参加しなければ、どうなるのか。米国に日本抜きで中国との連携を目指す可能席もある、のだ。

 - 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ ニュース・ウオッチ(179)』 『 マツダのディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」の燃焼室構造が「恩賜発明賞」を受賞 』●『次の「世界経済危機」の震源地は日本か?- 消費税の増税延期は財政破綻のリスクを高める(池田信夫)

『F国際ビジネスマンのワールド・ ニュース・ウオッチ(179)』   …

『 2025年は日露戦争120年、日ソ戦争80年とウクライナ戦争の比較研究①』★『日露戦争でサハリン攻撃を主張した長岡外史・児玉源太郎のインテリジェンス』★『「ないない参謀本部」のリーダーシップの実態>』

2010/09/06/2015/01/02日本リーダーパワー史(91)記事再編集 …

「オンライン講座・日本興亡史」の研究」⑯』★『憲政の神様/日本議会政治の父・尾崎咢堂が<安倍自民党世襲政治と全国会議員>を叱るー『売り家と唐模様で書く三代目』②『総理大臣8割、各大臣は4割が世襲、自民党は3,4代目議員だらけの日本封建政治が国をつぶす』②

    2018/06/22 &nbsp …

『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(19』『オーストリア・ウイーンぶらり散歩④』『旧市街中心部の歩行者天国を歩き回る』★『旧市街の歴史に彩りを添えるのが観光馬車フィアカー(Fiaker)で1622年以来蹄の音を響かせている。』

2016/05/18    2016/05/26『F国際ビジ …

no image
『地球環境大異変の時代③』ー「ホットハウス・アース」(温室と化した地球)★『 日本だけではなく世界中で、災害は忘れたころではなく、毎年、毎月、毎日やってくる時代に』突入!?』

  『災害は忘れたころではなく、毎年やってくる時代に』         …

★『長寿逆転突破力を磨け/「100周年を迎えたシャープは存亡の危機にたつーシャープの創業者・早川徳次(86歳)の逆境・逆転・成功人生に帰れ「ピンチの後はチャンスが来る」★『逆境、困難で苦労をなめつくしたことが、成功のバネとなる。『難』あり、『有難(ありがた)し』

知的巨人たちの百歳学(171)  2019/09/07 &n …

no image
『リーダーシップの日本近現代興亡史』(217)/『百年前にリサイクル事業によって世界的コンチェルン(財閥)を築いた「日本セメント創業者」の浅野総一郎』★『リサイクルの先駆的巨人・浅野総一郎の猛烈経営『運は飛び込んでつかめ』★『明治時代にタダの自然水を有料販売、トイレの人糞を回収して肥料で販売、コークスからセメントを再生し、京浜海岸地区を埋め立てて一大コンビナートを築いた驚異のベンチャー王』

    2010/11/27 &nbsp …

『Z世代への日本戦争学講座』★『世界海戦争史上、空前絶後の勝利だった日本海海戦ー山本権兵衛のリーダーシップとインテリジェンスに学ぶ』

2009/04/08 2015/01/02、記事再編集 1・・パリで最高にもてた …

★『日本で奴隷解放に本気で取り組んだ人物は誰でしょうか講座①』★「アメリカ初代大統領・ワシントン、イタリア建国の父・ガリバルディと並ぶ世界史の英雄・西郷どん(隆盛)ー奴隷解放に取組む」★『奴隷解放』のマリア・ルス号事件がある。

    2017/11/11  日本リー …

『Z世代のための日本恋愛史における阿部定事件』★『男女差別、男尊女卑社会での、阿部定の「私は猟奇的な女」ですか「純愛の女」ですか』★『「あなたは本当の恋をしましたか」と阿部定はわれわれに鋭く突きつけてくる』

前坂俊之編「阿部定手記」(中公文庫,1998年刊)の解説より、 「阿部定、何をや …