『F国際ビジネスマンのニュース・ウオッチ②』3・11から1年ー「ニューヨーク・タイムズ」が日本の戦後民主主義に落第点をつけた
『F国際ビジネスマンのワールドニュース・ウオッチ②』
<3・11福島原発事故から1年―「ニューヨーク・タイムズ」が
日本の戦後民主主義に落第点をつけた>
●『Nuclear Disaster in Japan Was Avoidable,Critics Contend ”日本の原子力大災害は回避する事が出来た、と批判者達は主張(3/9)
この1年間の「ニューヨーク・タイムズ」の福島原発報道は彼らにとって外国である日本の、しかも、政治、経済、官僚、司法、メディア、大学、国民、社会制度、歴史がすべてめちゃくちゃに一体となって作り上げられた原発エネルギーとその複雑、未熟な前近代的な運用システムの全体を多角的視点から縦横無尽に切り込んで来たことは、このブログでF氏の的確、スピーディーな翻訳によって多数、紹介してきた。
NYTの新ためてそのすさまぎい迫力あるジャーナリズム魂と、グローバルで、科学的に論理的に本質に深く鋭く迫る知的思考力、取材力にまったく驚嘆した。さすが、アメリカを代表する民主主義の新聞である。
ジャーナリズム(新聞)はいうまでもなく、イギリスの産業革命期に生まれ、ブルジョアジーが言論の自由と人権、平等を勝ち取って、君主制から近代民主主義市民社会を切り開く最大の武器となった。
日本のマスメディアは欧米のメディアに遅れること百年以上。「言わざる、見ざる、聞かざる」が250年続いた<封建鎖国黙れ徳川幕府>から、明治薩長藩閥天皇国家にチェンジした維新政府の「殖産振興策」の1環として、上意下達のメディアとして新聞をつくった。ここで注意すべきは臣民(国民ではない)にお上が申し渡し情報の伝達紙が新聞というわけである。
1945年までは「言論、報道の自由」は憲法で認められれおらず、「新聞法」「出版法」「放送法」によって、自由な報道は禁止、検閲され、しばしば発行停止、放送禁止の処分を受けた。
1945年以降は新聞、出版には規制は取り払われたが、いまだに、大本営発表、記者クラブによる自己規制体質、発表中心の報道マンネリズムの旧体質は140年間、変わることなく続いている。
今回の福島原発事故からの1年の日本中枢の総メルトダウン現象についてNYTは「 日本の戦後デモクラシーが健全で、強力であったならば、この忌まわしい事件は起こらなかったと断言している」(前坂俊之)
☆『 Nuclear Disaster in Japan Was Avoidable,Critics Contend ”日本の原子力大災害は回避する事が出来た、と批判者達は主張する
Published: March 9, 2012 NYT by MARTIN FACKLER
(F国際ビジネスマンのコメント)
3.11、東日本大震災、福一原発大災害発生後、欧米の主要報道機関
の中で、その全世界への甚大な影響可能性を考慮し、全社を挙げての
取材、報道体制を敷いたのは、小生の知る限りNYT紙が図抜けていた。
本件は、発生後一年を回顧し、福一原発事故が天災等ではなく本質的
に全くの人災であったことを指摘し、日本人に釘を刺している。国家
の存続には人命の安全安心が第一であり、呉々も経済成長や一部の村
社会の利益と癒着 を優先させてはならないと。
2 NYTは東京支局、ニューヨーク、ワシントンを中心に最盛期は10
名の記者が24時間Japanを凝視し続けていた。
徹頭徹尾事実とデータを以て語らせるNYTスタイルは遺憾なく発揮さ
れ、福島原発事故の今、日本の原子力発電の今昔、日本政治,自民党と
原発、自治体と原発、経済産業省と原発、エネルギー政策と原発、安
全対策と原発、日本の戦後デモクラシーと原発、原子力村,政官業学の
完璧な癒着、民主党政権と福一災害対策等など、そのテーマは実に多
岐に亘る。報道史に残る快刀乱麻の偉業と筆者は考える。
民衆、大衆、一般市民の立場を守り、その立場で主張する姿勢は一貫
している。
また実際の現象、事件の背後に、それを繰り返し発生させる原因、構
造的要因が必ずあると指摘し、それを追究し発見し読者の俎上に載せ
ている。NYT紙が指摘し、暫くして邦字紙、TV局が取り上げるケー
スは枚挙に暇が無い。
3 この記事は、膨大な取材、情報量の中から夾雑物を削ぎ、エッセンスのみを抽出して、福島第一原発事故は自民党、経産省、東京電力を首謀者とし、学者、原子力メーカーがこれに加担した言わば国家犯罪であると指摘する。過去、何よりも先ず良識が最優先で採用されていれば、斯かる事態は起きなかったと、日本人一人一人の良心が問われていると、云う。言わば日本の戦後民主政治の未成熟(個の自立、個の自覚、個人力の育成の緊急性)を強く指摘している。
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NYT by MARTIN FACKLER
“ Nuclear Disaster in Japan Was Avoidable,Critics Contend ”
日本の原子力大災害は回避する事が出来た、と批判者達は主張する
東京 — 巨大地震と津波が原子力発電所でほぼ壊滅的な炉心溶融を引き起こして一年、日本は未だに重大な問題と取り組んでいる。それは、
この大事故は単に予見不可能な自然災害の結果であったのか、それとも防ぐ事の出来たものであったか?という事である。
日本の原子力規制当局と原子力発電所のオペレーター、東京電力、略称Tepcoは云う、3月11日福島第一原子力発電所の冷却システムを破壊したマグニテュード9.0の地震と45フィートの津波は、科学者達が予想していたものよりも遥かに大きなものであった、と。この結論は東京電力に対し、約90000人の住民を強制的に避難させる事になった三重の炉心溶融に対し責任は無いと主張することを許している。
固く結びついた日本の原子力産業界、その中からも何人かの関係者が積極的に喋り出している、東京電力と規制当局は、日本の東北地方で予想を上回る津波が起きる可能性があるという警告を多年に亘り無視し、その結果適切な対策、例えば防潮堤を嵩上げするとか高台に予備の発電機を配置する等、を取らなかった、と。
彼等批判者達は、この様な事態は、原子力産業界が国民の安全を守る事よりも原子力エネルギーの開発促進により高い優先順位を置く一方で、強力な規制当局と従順な学者専門家達が警告を無視する共謀癒着の文化に起因すると云う。
批判者達は、この福島大災害を、第二次大戦後の国家の経済発展を目指す突進の遺物、政府と産業界の癒着を断ち切る日本への警鐘と呼んでいる。
3月11日は、民衆の側でなく産業界の味方に立つ官僚に支配された日本の戦後システムの本性を白日の下に晒した、とShigeaki Kogaは云う。
彼は原子力産業界を振興し且つ規制する経済産業省,略称METIで産業政策の且つての指導者の一人であった。
東京大学の地震学名誉教授、KunihikoShimazakiもその警告が無視された一人であった。8年前、東北日本の海底地震に関する有力な内閣室委員会の一員として警告した、福島県沿岸は、規制当局と東京電力の提出した17フィート迄の波の予想高さの2倍以上の津波に襲われてきた、と。
2004年、2月19日の会議の議事録によれば、政府の役人は委員会を走り回って彼の意見は余りにも推論が多く更に検討を要するとして討論から除外する様に素早く動いた、と云う。委員会に出席した他の13人の学者達は誰一人としてこれに反対しなかった。Shimazaki氏の警告は2年後の委員会最終報告では一言も触れられてはいなかった。Shimazaki氏は云う、委員会は東京電力に原発プラントの増強工事をさせて一層の出費を促す様なことをしたくなかった、と。
彼等は東京電力の費用を節約するため、私の意見を完全に無視した、と65才のShimazaki氏は云う。
Shimazaki氏や他の人たちも、誤りは明らかに明白な腐敗の中にあるのではなく、むしろお互いに便宜を図り合って何十年にも亘り成功してきたウマの合う仲間同士の共謀にある、という。
また彼等は、エリートのキャリア官僚が、産業界に対して本質的に自らをコントロールする様に任せていると同時に、一方では学者による判で押した様な政策立案委員会をコントロールしている事を指摘する。
福島大災害の中から生まれて最も広く知られている改革の一つに、政府は日本の主力の原子力監督官庁を経産省、METIから分離し、法的監督の面で国民の信頼を回復する様に動いている。
現在国会に掛かっている法案の中で、Yoshihiko Noda首相の日本政府は原子力の監視人、原子力安全保安院、NISAと称されるが、ここを安全意識の比較的高い環境省の中へ早ければ来月にでも入れたいとしている。
しかしながら、まだ多くの人は、環境省の中でなく、単独の官庁を目指すことは、政府と産業界の間の癒着を終わらせるにはまだ不十分だ、と云う。元経産省官僚のKoga氏の様な批判者達は、より広い別の問題を指摘する、例えば日本の規制当局の役人は原子力の専門家ではなく、専門的な技術面で、これら役人達が監視する責任がある正にその会社を当てにし頼りにせざるを得ないのが実情である、と。
例えば、原子力安全基盤機構、NISAの代わりに安全検査を実行する政府機関、ここの検査官達の多くは電力会社や原子炉メーカーの元社員であるが、彼等は屢々自分たちの以前の雇用主を守るため安全対策の誤りを見て見ぬふりをする、と元検査官、Setsuo Fujiwaraは云う。
原子炉設計の経験が有るFujiwara氏は云う、日本の北の島北海道にある泊原発で、2009年3月に行った検査を巡り管理者達と衝突した、と。Fujiwara氏は更に云う、彼の検査結果ではクラックが入っており、
発電所のオペレーター北海道電力による通常試験の結果を承認する事を拒否した、と。
一週間後、彼は上司に呼ばれて、このテスト結果は正しいものであると、彼の書いたレポートを訂正する様云われた、と云う。Fujiwara氏がこれを拒否した後、彼の雇用契約は更新されなかった。
機構側は、私の仕事は原子炉を承認するだけで、疑問を提起する事ではない、と云ったという。Fujiwara 氏 62才は現在 雇用継続に向けて機構と係争中である。NYTからの質問への書面回答の中で、機構側は本件は係争中のためコメントできないと、述べている。
東京電力とその支持者達は、事件が起きた後で、この会社東京電力のことを後付けで色々云うのは容易である、と云う。東電側は云う、マグニテユード9.0の地震、日本史上最大で福島第一発電所の6基の原子炉の内三基の冷却装置を完全に破壊した巨大津波に対し完全に準備出来た者はいない、と。
しかし多くの専門家や原子力業界の人達もこれには同意せず、福島原発のプラントは十分な警告を、東電内部の技術者からも受けていた、いう。
2008年、東京電力によれば、同社の技術者達は福島第一原発が50フィートの高さの津波に襲われる事を示す三つの異なった計算結果を作成した。東京電力のスポークスマン、Takeo Iwamotoは云う、東電は原子力安全保安院の規制担当官達にこの事を殆ど一年間伝えなかったし、その時最も驚くべき計算値50フィートの波を、昨年の3.11に実際の津波が来る4日前の3月7日迄公表しなかった、と云う。
何故東京電力はプラントの防御を強化する為にもっと素早く動かなかったのか、と尋ねられると、計算値は、当時まだ広くは受け入れられていなかった学術理論に基づいた仮の見積もりと看做された、とTakeo Iwamotoは云う。原子力安全保安院、NISAの担当官は云う、規制担当官達は標準実施要領に従い、津波の防御に関する事後点検をする様にさせた、と云う。
批判者達は云う、規制当局者へのチェック機能として役に立つと思われた外部の専門家達を集めた委員会でも同様な無干渉主義のやり方がはびこっていた、と。
多くの元委員会メンバーは、現在のそして元の経産省官僚と同様に、云う、官僚達は委員会の討議の為に話題提供のお膳立てをしっかりやるだけでなく、委員会の結論に沿って最終報告を纏めた、と。
これは、原子力安全委員会によって2006年に完成した原子力発電所に関する地震対策の最終的なガイドラインにおける実例であった、と神戸大学を退官した地震学者、Katsuhiko Ishibashiは云う、彼は津波に対する事前準備の為の新しいガイドラインを作成する委員を勤めていた。
Ishibashi氏、原子力プラントに対して地震が引き起こす危険を長年警告してきたが、その彼が云う、22名の委員会で自分が名ばかりの批評家であるとしばしば感じていた、と。
彼の警告は一つも入っていなかったと彼は云うが、その改訂されたガイドラインの草稿を見た後、2006年夏の最後のミーティングの間中最後迄怒りにふるえて、ついに職を辞してしまった。
官僚達は報告書を書くが故に本当の力を持っていた、とIshibashi氏67才は云う、福島第一原子力発電所の事故は、避ける事の出来た災害である。
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