『池田知隆の原発事故ウオッチ⑪』ー『最悪のシナリオから考えるー被曝予測と海外からの目』
『池田知隆の原発事故ウオッチ⑪』
『最悪のシナリオから考えるー被曝予測と海外からの目』
池田知隆(ジャーナリスト)
5/3(火)毎日放送ラジオ「たね蒔きジャーナル」から
(小出裕章・京都大学原子炉実験所助教の話です。ラジオを聞き
起こしたものが友人から送られてきました)
(小出裕章・京都大学原子炉実験所助教の話です。ラジオを聞き
起こしたものが友人から送られてきました)
まず原発関係のニュース、千葉さんの案内で、速報、3月12日の蒸気排出ベントの難航で公衆被爆の予測が政府内で行われていた、そんなことが今日わかったのです。今までなぜ知らせなかったかと水野さんもお怒りです。人に重大な健康危害、死亡の危険(急性被爆、数シーベルト)もあったと、政府が認めたのです。この時外部の被爆も想定されていました。ベントの遅れという指摘もあり、事故調査委員会の検討対象になるのです。
福島第1の今の様子、フィルターで汚染物を除去してやるのですが、1120ミリシーベルト/時間、換気しても50ミリ(限度は20ミリ)になります。タービン建屋に空気浄化システムを設置します。あさってに作業員を建屋に入れますが、2,3号機に作業員の入れる可能性はありません。3号機は水素爆発で瓦礫に放射能があるのです。
半径20km県内の一時帰宅に、予行演習が行われています。防護服+線量計で入ります。一時帰宅は2時間の予定で、それで川内村に戻りました。最高でも20マイクロシーベルトでした。今回出た問題点を元に一時帰宅を行います。
そして小出先生のお話、速報のベントの問題、緊急措置が難航し、格納容器が破損し、著しい公衆被爆がある可能性について、「当たり前」ということで、ベントが難航したら格納容器が破損する、ベントは必要ないと、原発ができたときにはなかったのです(1号機は71年稼動)。悲惨な事故は起こらないと、ベントを取り付けない設計でしたが、ベントが取り付けられたのは2000年(スリーマイルをはるかに超えて)です。
破局的な事故の可能性を小出先生は予測していたのに、日本政府はベントを後から取り付けた、それを動かさないといけない事態で、ステーションブラックアウト(全署停電)したら格納容器は壊れると、小出先生はもちろん、推進側の一部も覚悟していたのに、認めなかったのです。著しい公衆被爆、もしそうなっていたら、急性死者を含めた傷害の可能性あり、建屋が吹き飛んでも、格納容器は何とか持ち、急性の死者は何とか出なかったのです。
本来は、公衆を逃がさないといけない(作業員だけでなく、周りの住民)のに、情報を示すとパニックになるので、情報を公開しなかったのです。ベントができて格納容器が持ったので良かったものの、ショッキングなのです。
細野補佐官が、今まで明らかにしていなかった、放射性物質の飛散を計算するSPEEDYのシミュレーションの結果、5000枚!をこれから公開するのですが、パソコンで見てもそんなにない(3/11の夜からの値のみ)のですが、SPEEDYは時々刻々の風量、雨のデータであり、1時間遅れで出る、だから1000くらいのデータしかない、SPEEDYの計算結果、入力パラメータ、付随するデータを入れて5000枚であり、これからどうなるかを観ないといけないので、過去のデータは意味がないのです。
細野氏のデータを小出先生見ていないのですが、予測なので、今から出すとはふざけないでくれ、天気予報を後日見るのと同じ、細野氏はパニックを恐れたと言っていますが、パニックを防ぐのはすべての情報を出すべきなのに、日本はそうなっていないのです。
去年も、外部電源のトラブルがあったと東電は認めましたが、政府が隠しているものを出して、言い訳作りにしているようなので、ひとたび事故になればこんなことがあったと、繰り返してきた、その延長なのです。
一時帰宅、水、トイレが制限されるのですが、汚染地に水はなく、持ち込むしかない、井戸を使ってはいけない、そこにある水を飲んではいけない、トイレに入っている時間はない、どうしてもやりたいことをやって帰れないのです。
リスナーの質問、フランスのアレバの情報で、汚染水1トンに2億円、放射能除去の技術は水の技術で、フランスでなければできないことはない、原発の中に水処理施設あり、福島にもあるのですが、膨大なので間に合わない、アレバが処理施設を作るというものの、日本の技術でもできるが、汚染水が多すぎて間に合わない、タンカーに積んで、柏崎で処理したらいいと言っているのに、動いていないのです。1トン2億円はばかげている、7万トンなら日本倒産です(計算したら14兆円!)。
今回、ベントをやったら公衆被爆するという話、私も唖然としました。貴重なお話でした、明日もお知らせいたします。
たね蒔きジャーナル、続いて、国際ジャーナリスト、小西克哉さんのお話で、海外が原発事故をどう見ているかをお話いただきました(小西さん、2度目の登場です)。
その前にビンラディン殺害のニュース、アメリカでは、膨大なメディアを見ていると、基本的には慶事(めでたいこと)、何千人犠牲になった、それが日本のメディアと違うことなのである、この10年間で、オバマ最大の成果であり、日本では他国に入り殺害することが国際法で許されるかと言っているものの、アメリカではそういう話は今は出てこないのです。これが、日本との違いなのです。裁判で真実を明らかにしろと言う声は出ていないのです(フセインの生け捕りで梃子摺ったので)。
ビンラディンが降伏しなかったので殺したことを疑問視する声は皆無、殉教者にしないことを選ぶ、しかし、ビンラディンのあとを継ぎテロする懸念もあるのですが、ビンラディンを殺したことを良かったと言うのです。これで、オバマの再選は堅くなったのです。
ビンラディン追跡を何年もやっていたことを賞賛する声は、政府のプロパガンダより、軍に力を入れるより、インテリジェンス(CIA)のエージェントを使ったやり方が功を奏した、パキスタンが知っていた、パキスタンはアメリカから金をもらってやっていたパキスタンの、今の政権がアメリカに恩を売るためにビンラディンの情報を売ったのでは、ということでした。
福島大1原発事故の海外メディアの論調、膨大な報道があり、住民の避難、菅総理のリーダーシップなしなのですが、タイムが、世界に影響力のある100人、桜井市長と、菅野医師、こういうジャーナルの特徴で、一人の人間にフォーカスを与えて英雄視するまで持ち上げる、菅野医師、オバマ大統領より扱いが大きい、日本のジャーナリズムと違い、一人に焦点を当てて、勇気を与えるものなのです。
石巻新聞、ワシントンの博物館が展示したい、しかし、日本の博物館よりワシントンが先駆けたのは、日本人として恥ずかしい、ジャーナリズムの本質、スピードに劣っているのです。資材もないのに壁新聞を手書きでやっている、避難所に張る、マスコミと対極にある、こういうものを、アメリカのジャーナリズムには視点がある、朝日新聞がこのことを国際面で示しているのは、矛盾しているというコメントがありました。世界に発信しないといけないのです。
日米「トモダチ」作戦の協力、成果が上がったのですが、メディア的な評価は、あまり報じていない、あれはアメリカで報道させるのではなく、日本のメディアに報道してもらうためのものであり、アメリカは戦後から原発の手を入れてきた、核アレルギーに原子力平和利用をさせてきたのに、戦争のための核ではなく、ということで、鉄腕アトムを読んだ(アメリカではアストロボーイ)、日本で原子力=平和としてきたので、アメリカでは人事ではない、日本がちゃんとしてくれないとアメリカも困るのです。
アメリカにも同じGEの原発があるが、そのことを日本のメディアが言わない、アメリカでは設計者の話も出ている、内部通達もあり、議論がオープン、小佐古補佐官の辞任も、専門家の放射能の意見を合意できない面をアメリカは論じている(辞任の背景もアメリカでは報じている、便宜性と、子供の被爆のバランスを取るものの、怖い数字を出すとパニックになるという視点で、賛否両論アメリカは出すものの、日本はオープンにしない)のです。情報公開、日本の隠しているもの(メディアも騒いでSPEEDYもやっと出した、アメリカ、ドイツではあり得ない)を出す、海外の方が情報が出るとのことです。
このたね蒔きジャーナル、新聞、テレビでは得られない情報満載です。水野さんも、メディアはしっかりしないといけない、日本国憲法では、国民の知る権利は明文化されていないと、平野さんの指摘がありました。知る権利のこと、この事故で大きくなり、メディアはこのことで国民の付託を受けているという自戒もありました。毎日放送ラジオ、水野晶子さん以下のスタッフの皆様に敬意を表したいです。(以上引用)
瓢漫亭通信(池田知隆ブログ)
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