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速報(57)『日本のメルトダウン』(小出裕章情報3本)『5号機も6号機も安心できない」「とてつもなく困難な状況」

   

速報(57)『日本のメルトダウン』
(小出裕章情報3本)『5号機も6号機も安心できない」
「1号機の循環注水冷却は不可能」「とてつもなく困難な状況」が延々と続く』
             
番組案内
2011年5月30日【月】
計画的避難の期限迫る… ある畜産農家の苦悩
福島県飯舘村は、福島第一原発事故の影響で、村の全域が「計画的避難区域」に指定されています。政府はすべての村民に対し、5月下旬をメドに避難するよう求めていて、村によると、村民およそ6500人のうち4400人が、すでに村外に避難しました。一方で、しばらくは村にとどまることを決めた住民も… そのうちの1人、村で10代続く畜産農家の男性に電話をつなぎ、今の思いなどをうかがいます。
また、きょうも京大原子炉実験所の小出裕章さんに、福島原発事故の問題について解説してもらいます。

録音
【福島原発】5/30/月★「ただちに影響は出ない」と言う言い方 1/2

【福島原発】5/30/月★「ただちに影響は出ない」と言う言い方 2/2

要約
・(飯舘村で積算放射線量が20ミリを超えた。これはどういう値か?)日本の普通の人は年間1ミリと決まっている。ごく特殊な職業についている私のような人は20ミリまで我慢するというのが日本の法律。福島事故がおこり、普通の人も年間1ミリでは済まない状況。そこで日本の国は普通の人も20ミリまで我慢させると言い出している。飯舘村のような猛烈な汚染地域の人は、それすら超える被曝をしているということ。
・(チェルノブイリと比較すると?)チェルノブイリ事故で40万人が避難した強制避難地域を上回る汚染だ。
・( 二ヶ月半でこの積算数値。この地域で生活は無理か?)家に戻りたいという人がいるのは理解できるし、そういう人がいるのであれば支援しなければいけない。が、あまりにひどい汚染であり、被曝を避けるために避難するしかないと思う。
・(いま出来ることはあるか?)土壌をはぎとるのは有効。学校の校庭を削ることは出来る。が、酪農や農業にとって土をはぎとることは生きる手段を奪うこと。実質的には出来ない。被曝覚悟で住み続けるか、移住するかどちらかの選択しか無い。
 
・(東電作業員二人が数百ミリシーベルトの放射線を浴びた恐れがあると発表があった。どういう数字か?)普通は年間1ミリという決まり。私のような特殊な人でも年間20ミリ。福島の事故を収束させるためには20ミリの基準は守れないということで、この作業に限っては250ミリまで許すと特別に決めた。これ自体が途方もない基準だが、それを超えるほどの被曝だ。
 
・(癌発症のリスクは100ミリを超えると少し高まると言っているが?)違う。100ミリを超えると確実に高まることは既に証明されているということ。それ以下の被曝だと疫学的には証明できないが、100ミリ以下でも癌が出ると考えるべきというのが現在までの学問の知識を総合して考えたときの到達点。10ミリでも1ミリでも癌は増えると考えないといけない。
・(ただちに健康に影響はないと東電は言うが?)事態が過酷だということは3月11日の時点で気づいており、すべての作業員にマスクをさせるべきだった。又はさせていなかったのであれば、すぐに内部被曝を調べるべきだった。すぐには影響が出ないというのは当たり前のこと。心配なのは何年、何十年かして癌の発生率が増えること。枝野さんは直ちに影響はないというが、被曝というのはそういうものではない。
 
・(内部被曝のほうが外部被曝より多い可能性が高いというが、内部はすぐには分からない?)内部の評価は難しい。今日の発表はホールボディカウンターで計測した結果。あとは、身体の中に取り込んだ放射能からどれだけ被曝するかを計算するしかない。外部被曝はすぐに測定できるが、内部被曝は測定自体に時間がかかるし、計算で評価しないといけない。
 
・(内部を測定するのはどんなことで時間がかかる?)外部は身体の外に測定器をつけておけば分かる。取り込んでしまった放射能を測るには、全身測定器という特殊な測定器を使って身体から飛び出してくる放射線を測定する。かなり手間ひまがかかる。
・(全身用測定機はどこにでもあるわけではない?)ない。特殊な目的に限って使う装置であり、数が間に合わない為にここまで来たのだろう。
 
・(厚労省が復旧作業の作業員の被曝線量の上限を撤廃することを決めたというが?)報道で混乱がある。放射線業務従事者は5年間で100ミリという基準。1年に限れば50ミリまでという基準。5年で100ミリはこの状況では守れないから250ミリにするとなった。だから厚労省は既に変えている。それを更に緩めるのではないかと私は危惧していた。
 
・(ある程度の歯止めさえなくそうということ?)そうだ。
・(それはどういうリスクを引き起こす?)作業員が癌で死ぬ可能性がどんどん増えてしまう。
・(厚労省は本来それを食い止めるところであるはずだが?)そんなことを言っていられないほどひどい現場になっている。事故の進行がひどいものになるということを、東電と国ははっきりと言わないといけない。
 
・(5号機は停止していたから安心と思っていたが、安心できない?)もちろん。4号機も停止していたが、ポンプが停止したために燃料プールで水素爆発が起こった。5号機も6号機も同じことだ。
 
・(こういうことはよくある?)よくある。ポンプ停止は年がら年中ある。
・(よくあることだから公表が半日遅れた?)特別なことではなく、ありうること。次々とそういうことが起こっている。
 
2011年5月30日(月)、ZAKZAKの記事で小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)のコメントが紹介されました。転載させていただきます。(小出先生部分太字)
=====
 東京電力福島第1原発事故ではこれまで問題がなかった5号機で冷却用ポンプが故障し、原子炉の温度が急上昇した。相次ぐ予想外のトラブルにより、6~9カ月での収束を目指した工程表の見直しは必至。「年内の収束は不可能」(東電幹部)との声も出てきた。予定通りに進まぬ作業は“制御不能”の印象を強くし、国民の不安は増大するばかりだ。
 東電によると、5号機で原子炉や燃料貯蔵プールを冷却するためのポンプが28日夜に停止しているのが見つかった。発見された同日午後9時ごろには原子炉内の温度は約68度、プールは約41度だったが、29日正午にはそれぞれ約94度、約46度まで上昇していた。その後、予備のポンプが起動して冷却が再開された。
 第1原発では1~3号機でメルトダウン(炉心溶融)が起き、原子炉圧力容器の破損も明らかになった。ある東電幹部は「1~3号機の収束作業は同時進行できていない。1基ごとに同様の遅れが生じると9カ月という期限もギリギリ」と、年内の収束はほぼ不可能との見解。そもそも、「9カ月という期限はあくまで努力目標だ」(別の幹部)との声もある。
 小出裕章・京都大原子炉実験所助教(原子核工学)は、年内収束を目指す工程表にはもともと無理があったとみている。
 「東電は収束の合理的な見通しを示していない。政治側から言われて、無理やりロードマップを書いたのではないか。現在進めている循環注水冷却もメルトダウンした1号機では格納容器自体がすでに大きく損傷していると考えられ、不可能だ。あきらめて原子炉建屋周辺を含めた全体をセメントなどで覆い、汚染を広げないようにするしかない」
 5、6号機ではこれまで、地下水の流入で非常用発電機などが浸水しかかったほかは問題もなく、冷温停止状態を保ってきた。ところがここへきて起こった5号機の冷却停止トラブル。27日には第2原発の1号機で照明用の分電盤を焼く火災もあった。こうした第1原発1~4号機以外で発生する事態は作業進行の妨げとなるばかりか、「工程表通りに進まず、コントロール不能との印象を広めている」(原子力関係者)。見切り発車のスケジュール提示により、国民の不安はふくらみ続ける。
=====
2011年5月27日(金)夜、FM79.7京都三条ラジオカフェ(環境市民、NPO京都コミュニティ放送)の原発災害特別番組に小出裕章氏が電話出演されました。
録音
1-2【福島原発】 小出裕章氏・細川弘明氏にきく
FM797原発災害特別番組 2011/05/27OA
http://www.ustream.tv/recorded/14987194
【FM797原発災害特別番組】
~原子炉と放射能汚染の状況~京都大学原子炉実験所 助教 小出裕章先生、京都精華大学 教授 細川弘明先生に聴く。
http://797podcast2.seesaa.net/article/205017494.html


要約
・(メルトダウンとは何かについて再度説明を)原子炉には三種類ある。ひとつは燃料のウランが存在する炉心。それを入れている巨大で頑丈な圧力鍋のような圧力容器。更にその外には放射能を閉じ込める最後の砦である原子炉格納容器。メルトダウンとは、ウランの燃料が溶けて(メルト)下に向けて落下する(ダウン)ことを示す。ウランが溶けるということは2800度を超えて熱くなっているということで、放射能が大量に出る。それが起きたと東電が発表するようになった。
・(1号機ではウランが格納容器の外にまで落ちているということでいいか?)最後の防壁である格納容器が既に壊れて放射能が外に出ている可能性が高い。
 
・(放射能が外にもろに出てしまっている?)外に出る出方もいろいろある。最も恐れていたのは爆発的な現象により大気中に放射性物質がばらまかれること。現状では燃料が格納容器を溶かして地下にめりこんでいっている。つまり最も恐れていた事態とは少し違う形で環境に漏れている。今後長期間に渡ってそれが続くということ。
・(出されている情報が正しいかどうか分からない状態で先生に説明をお願いするのは申し訳ない面もあるが、頑張っていきたい)私も分かる範囲で答える。
 
・(2と3号機のメルトダウンは1号機とは違う?)分からない。1も2も3も炉心の半分まで水があると東電はつい最近まで言っていた。1号機は炉心の水位計を調整した結果、水がないことが分かった。2号機と3号機も水位計を調整すればこれも水がないということが判明するだろうと東電は言っている。本当かどうか分からないが。分からないということは、状況が困難ということを示している。
 
・(3号機は汚染水が漏れていることが判明したため、移送もしないとなっているが?)原子炉内は限られた空間であり、あふれた水の一部は海に漏れているだろう。早急になんとかしないといけないが二ヶ月間手をこまねいて見ているだけという状態。
・(冷却水の循環の仕組みは無理?)構築すべきと思ってきたが、すでに1号機では炉心が溶けていて、格納容器にも穴があいていれば循環式の仕組みはできない。
 
・(2号機と3号機は?)1号機と同じことである可能性はある。が、循環式の回路をつくる努力は続けるべきと思う。破局を避けるためには冷やすことが大切。続けるしかない。
 
・( 出てきている数字、放射性物質から、2と3号機に破損があるかどうかは分かる?)それは分かる。必ず破損している。2号機は圧力抑制室(サプレッションチェンバー)で爆発があり穴があいている。3号機も圧力が上がらないことから穴が開いていることは明らか。
・(もし穴があいていないとしても、2号機3号機も1号機と同じことになる可能性がある?)ある。格納容器の下の地面にめりこんでいくならまだいい。格納容器自体が破損して空気中に放射能が撒き散らされることは避けないといけない。とにかく炉心を溶かさない努力が重要。
 
・(冷やす作業を続けるためには汚染水を処理しないといけない?)そうだが、冷やすために水を入れるほど汚染水が増えるという悪循環。とてつもなく困難な状況。
 

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