前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

世界史の中の『日露戦争』⑮米国「ニューヨーク・タイムズ」の『日露戦争―日本軍の侵攻』<開戦10日目>

   

  

  世界史の中の『日露戦争』⑮

英国『タイムズ』米国「ニューヨーク・タイムズ」
は「日露戦争をどう報道したか」⑮ 

 

『日露戦争―日本軍の侵攻<開戦10日目>—

<インテリジェンスの教科書としての日露戦争>―

ニューヨーク・タイムズ1904(明治37)年18

 

今日伝えられた日本軍の動きは,1つのことをはっきりと意味しており,それはつまり,日本参謀本部の意見によれば、ロシアが海では手ごわい敵でなくなったということだ。

戦争の勃発前に公平な軍事専門家が予見し予言した通り,日本は制海権を確立しない限り,朝鮮にも満州にも侵攻する手を打つことはできなかった。日本の揚陸をロシアが阻害したり,日本軍が陸上で敗退した場合に再乗船を困難,危険にすることはないと確認せずして,日本がアジア大陸に上噂を敢行したなら,無謀と言うほかはなかったろう。

 

海戦を総決算すれば,これで日本の戦略責任者は,海を支配し,自国のために開き,ロシアには閉ざしておけると確信するに至ったということだ。

 この事実は言うまでもなく,きわめて重要で.日本軍は今やロシア軍よりも自国の基地にはるかに近く,すべての補給物資をロシアよりも容易に「本国」から得ることができる。ロシアは旅順の拠点およびはるか内陸にすでに蓄えたと思われるものに頼らざるを得ず,または,すでに酷使されている長距離の鉄道を使わなければならない。

 

ロシアが満州でどれはと軍需物資を蓄積しているか,われわれは正確に知らず大体の見当もつかない。いずれにせよその実際の数量は書類上のものより少ないと信ずべき理由がある。日本が自国のために海を開き,ロシアには閉ざしておくのがいかに有利かは,どれほど大きく評価しようと過大評価にはならないだろう。

             

 アレクセーェフ提督は,遼東半島の突端の岬の,攻撃を受けやすい自分の拠点から引き下がった方がよかろうと考えているだろうし,これまでにその兆候もある。岬とその後の地峡は3方を日本の軍艦に完全に支配されており,それに彼が対抗しようがないことは,あまりにも明白だ。

 

もしアレクセーエフ提督が旅順と遼東半島から撤退して,奉天,ひいてはハルビンへと引き下がり,そこで彼を撃退しようとする日本軍に反抗すれば,同提督の立場は大いに容易になり,日本はずっと困難となろう。その場合はロシア軍の困難はそっくり、さらにそれ以上が日本側に転嫁され,後者は進撃するにつれ海からの補給線が延び・地形は険しく.冬は厳しく,鉄道もないまま輸送手段は自分で持ち込んだものか、現地調達かに頼らざるを得なくなる。

 

実のところ,そこでロシアの司令官は「不落」の立場になると言えよう。それでも彼がその方法をとる公算は全然ない。

まず・旅順と半島から撤退するなら,旅順要塞と大連の大開発を,破嵐撤去できないものすべてとともに放棄して.日本の手に渡さなければならなくなる。ロシアの軍艦も放棄せねばならなくなり,これらの軍艦は港内で日本の攻撃を受けても防御できず,外海へ打って出れば壊滅は必至だ。

 

以上が、物質的損害と,それに必然的に伴う精神的打撃だ。だが日本がいったん中国から取ったのを・ロシアが武力と詐欺によって取り上げたと日本が思っている半島を日本が取り返すならば,日本にとって精神的大勝利となる半面,それだけロシアにとっては屈辱となろう。

 

それだけでなく,ロシアが遼東半島を放棄すれば,朝鮮の運命を支配したり、または少なくともその相談にあずかって当然と主張することができなくなるのも不可避だ。したがぅて,海で負けた以上,遼東半島から奥へと後退するのが,戦略的にはロシアにとってきわめて有利とはいいながら,こうした後退は戦争の放棄にきわめて近いものとなろう。それを予想することはまだとてもできない。

 - 現代史研究 , , , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『Z世代のための独ベルツによる「日中韓」500年史講座②』★「ヨーロッパ第一のアジア研究者ベルツによる500年の三国志と<日清・日露戦争はなぜ起こったのか>の理由②』

  「逗子なぎさ橋通信、24/06/13/am720] クイズ『坂の上 …

no image
日本リーダーパワー史(736) 明治維新150年『明治極秘史』②『日露戦争の勝因は!―空前絶後の名将・川上操六参謀総長 のインテリェンスー田中義一(後の首相)をロシアに 派遣,徹底調査を命じ、田中は名前を変えてダンスを習い、隊付となって上流貴族と親友となって秘密情報を入手、ロシア革命のレーニンにも接触した。②

  日本リーダーパワー史(736) 明治維新から150年、『明治極秘史 …

no image
日本リーダーパワー史(530)安倍首相は18日「消費増税の先送り」、 「無責任解散」を発表する、その結果は如何に。

     日本リーダーパワー史(530) …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(165)』『武田、30歳から社長候補育成 世界同一基準で 』●『この国は、もう子どもを育てる気がないのか 日本は「想像力が欠落した国」になっていた』●『コラム:第3次世界大戦、すでに始まっている可能性』●『コラム:ロシア機の異常接近、プーチン氏がやめさせるべき理由』

『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(165)』   武 …

no image
『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』ー「2020年4月,米欧から遅れること1ヵ月.日本は「平時から非常時へ」,「知られざる敵との第3次世界大戦に参戦した。第2次世界大戦(太平洋戦争)の愚かな戦争ではなく、「ITデジタルスマート戦争」にする必要がある』

 コロナパニックと緊急事態法発令へ          前坂俊之(ジャー …

no image
『国難の研究』日露戦争開戦の外交交渉の経過と政府の対応②日露切迫 と田村卒去と児玉源太郎の参謀本部次長補職

―国難の研究― 日露戦争開戦の外交交渉の経過と政府の対応②   &nb …

no image
「英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など 外国紙は「日韓併合への道』をどう報道したか⑥ 「英タイムズ」<明治40年7月19日付>「朝鮮・ハーグ密使事件』

 「英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など 外国紙が報道した「日韓併合への道 …

「Z世代のためのウクライナ戦争講座」★「ウクライナ戦争は120年前の日露戦争と全く同じというニュース⑦」★『『開戦2週間前の『ロシア・ノーヴォエ・プレーミャ』の報道」-『英米に支援された日本とわが国の戦争が迫っている。日本はその過剰な人口を移住させるために朝鮮を必要としている。英米は商品を売るために満州と朝鮮の門戸開放を必要としている』

    2017/01/13 &nbsp …

no image
日本リーダーパワー史(217)<『外国新聞』が報道した「日本海海戦勝利」④ライバルとしての日本人の登場!?

日本リーダーパワー史(217)   <『外国新聞』が報道した「日本海海 …

no image
日本最強の参謀は誰か-「杉山茂丸」の研究③伊藤博文の政友会創設にポンと大金をだし、金融王・モルガンを煙に巻く

 日本リーダーパワー史(477)     …