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「英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など 外国紙は「日韓併合への道』をどう報道したか⑩ 「ノース・チャイナ・ヘラルド」(明治40年7月26日付>『朝鮮の現状』

      2015/09/02

     「英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など

外国紙が報道した「日韓併合への道』の真実⑩

 「ノース・チャイナ・ヘラルド」

(1907(明治40)年7月26日付>

         『朝鮮の現状』

「ジュピターがある者を滅ぼそうとするとき,まずその者を狂気に陥れる」。これはおそらく,李熙皇帝の退位と皇太子の即位でその頂点を迎えた朝鮮の最近の事態の進展の最も慈悲深い説明だろう。

過去数か月のできごとは,まだあまりにも間近過ぎて適正な角度からそれを眺める余裕はないが,われわれは少なくともいくつかの突出した特徴を知っている。表面的には平穏な一時期の後,この不幸な国は,内閣が「国外での陰謀」で統監に非難され,皇帝に罷免されたというニュースによって,新たな政治的熱狂の中に投げ込まれている。

新たな内閣の任命は,新閣僚たちの死を企てる組織的な試みの合図になる。彼らはあまりにも伊藤侯爵の意志にへつらい過ぎると見なされるのだ。こうした陰謀や計画の1っ1つが,日本のこの国に対する支配を強化するさらなる原因を日本に与えることが注目されるだろうが,新内閣がこうした陰謀や計画に対処できるようになる前に.朝鮮代表団のハーグ到着が告げられる。

現在のところ,この使節の起源についてはほとんど知られていないが,日本人が朝鮮皇帝自身ほどはこの旅行について知らなかったとは想優しがたい。しかしながら,その存在についての秘密はよく保たれ.その状態は,使節がハーグで嘆願書を提出しようとして,議長からその検討を拒否されるまで続いた。

この不運な動きを外国人の教唆のせいにしようとする試みがなされたこともあるが,もし朝鮮が現在の時点で西洋人の助言に頼ろうとしているのなら,この派遣使節の促進者による貢献よりもっとよい貢献が得られるよう望まれる。

使節派遣は1905年11月の条約に対する違反になるので,ドイツ外務省の半官機関紙の表現を借りれば,これは「朝鮮を完全に日本の処置にゆだね」てしまった。皇帝の退位は.日本側からのなんらの特定の要求なしに軍施されたものだが.その意に添うものと考えることができるだろう。

本紙の東京電が言うように,新皇帝が精神薄弱というのが本当なら,朝鮮の元首の大権はいっそう削減され,一部の人間に罪のために,これまで国民が皇帝に抱いてきた崇拝の念が失われることにより,朝鮮は一層の苦難を被るだろう。

朝鮮は今や日本の処置にゆだねられたと見なしてもいいだろうが,日本当局はいまだに事態を掌握していないもようだ。ソウルからの最新情報は,朝鮮の首都が無政府状態にあることを示しており,日本軍が秩序を強制できるようになる前に,それが他地域に波及する可能性が高い。

一方,朝鮮人部隊が反徒に合流したと言われており,市街戦によってすでに多数の死傷者が出ている。首相邸が放火されたという事実は.現在のところ暴徒の仇討ちの対象となる可能性のあるすべての箇所を護衛するのに不十分なことを示しており,イギリスとアメリカの海兵隊がそれぞれの領事館を護衛するために上陸するという予防措置が必要になっている。

ソウルの民衆のこのようにたる断固たる暴動は,朝鮮の国家評議会から伊藤侯爵にあてて出された書簡によって説明できるかもしれない。彼らはその書簡の中で,もし日本が皇帝を公平に処遇すれば新体制を支持することを約束するが,皇帝を侮辱するようなことがあれば.国民は彼に殉ずる覚悟でいると宣言している。

日本人に対する朝鮮人の伝統的反感を考えれば,この時期に国民の決起を促すのは造作ないことだろうし,日本人が皇帝を誘拐しようとしていたとのうわさを広めるほど無分別な者たちがすでに多数存在するのも間違いないだろう。

この不幸な君主自身に関する限り,これまでの事態の成行きに満足してもおかしくないだろう。彼が名目的に君臨していた43年の在位期間の中で,平和で純粋に満ち足りた時期はほとんどなかったし,最後の15年間は苦悩と自分自身に迫る恐怖に満ちていた。

しかし,彼の将来の幸福のために1つ必要なことは,彼を陰謀への誘惑から遠ざけることであり,長年暮らしてきた環境のせいで,陰謀がどうやら彼の性格の一部になってしまっているようだからだ。

日本は,朝鮮全土の治安を回復し,新体制を発足させ,皇帝の権限を規制して日本の保護統治をもっと厳格に規定したとしても,それは日本の朝鮮における使命の初歩の段階に過ぎないだろう。

われわれは,ソウルからの最近の電報の中でも名前のあがっていたH・B・ハルパート氏が言うように,一国家の消滅をまのあたりにしているとは思いたくない。

日本が1592年の秀吉の侵略の時代から,1895年にソウル駐在日本公使が王妃暗殺に荷担したときまで,朝鮮人の好意や敬意をかちとれるような何か特別の傾向を見せたことがなかったのは事実であり,また,最近の戦争以降もやはりそうであり,日本は最も好ましからざる階層の日本人が朝鮮に群がるのを許し,彼らの朝鮮に対する態度は日本政府の最上の善意を必ず妨げるようなものだった。

これまで指摘されてきたように,日本は帝国として成功した実績を持つ他の諸国とは異なり,動議的にも,宗教的にも動機が欠如していることに苦しんでおり,そのため,日本の海外における「使命」は,帝国であることを純粋に政治的に正当化することだけにならざるを得ない。

したがって,日本の異民族支配は,日本がこれまでの世界に知られていなかったような帝国としてのある補助的な能力を開発しない限り,政治的圧政の形態でしか恒久的要素として存在し得ない恐れがある。

まず不可欠なものは,劣等な異民族を理解する能力だ。たとえ,日本の支配階級がこの能力を持っていることを主張するとしても,全体としての国民にそれが全く欠けているのは明白だ。

したがって,朝鮮においては,日本の事業の成功のための賢明な措置は,低階層の日本人移民全員の即刻排除と,官民を問わず,他の日本人の横暴で心ない行為に対して全階層の朝鮮人を十分に保護する揺るぎない決意ということになるだろう。

 - 現代史研究

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