前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

トランプ政権の「大学、学問の自由への介入、政府助成金カット」「米国での頭脳流出が進行、米国の国際競争力低下へ」(上)

   

ロイター通信(5月01日)によると、 トランプ米大統領は4月30日、多様性・公平性・包括性(DEI)などを巡り自身の要請を拒否している米名門ハーバード大学への補助金を打ち切る可能性を示唆した。

ことの発端は米国では昨年からイスラエルがガザ地区を攻撃して以来、大学では対イスラエルの抗議行動が活発化。ユダヤ人学生へのハラスメント行為も増え、大学当局は対応に迫られていた。
トランプ政権は人種差別を禁止した公民権法に反する疑いがあるとして、リベラル派の大学に照準を当て、大学のキャンパス内でのユダヤ人学生に対する攻撃や差別、ハラスメントの実態調査に乗り出した。
トランプ大統領はかねてからハーバード大学を筆頭にした米エリート大学を目の敵にしており、昨年の米大統領選挙期間中、トランプ氏はこれらの大学をやり玉に挙げ、「気の狂ったマルクス主義者の巣窟」と罵倒していた。

さらに大学のユダヤ人ハラスメントの禁止と同時に、カリキュラムで「DEI(多様性、平等性、内包性)」を教えたり、入試や採用、昇進に適用することも禁止、さらに保守系の教授をさお要するように圧力をかけた。これに応じない場合、連邦政府からの助成金を打ち切り、非課税の免税措置を取り消す可能性にも言及していた。
ハーバード大はこの要求を拒否すると、4月11日、トランプ政権は報復として22億ドル(約3000億円)の助成金と6000万ドル相当の契約金の支払い凍結を決めた。さらに10億ドル相当の助成中止を検討しているという。同大学は「助成金の凍結は政府の権限逸脱で大学の自由を侵害する」として、取り消しを求める訴えを連邦地裁に起こした。
政府の助成金カットはコーネル大学では10億ドル、ノースウエスタン大学では約8億ドル、コロンビア大学は4億ドルに上っている。政府の圧力に最初に屈したのはコロンビア大学で、政府要請をほぼすべて受け入れた。

ハーバード大学のガーバー暫定学長は「資金が停止されると、命を救う研究が中断され、重要な科学的な研究が危機にさらされる。イノベーションのリーダーとしての米国の地位を維持する能力を損なう」と非難している。
米ハーバード大学の元学長であるラリー・サマーズ元財務長官は、同大学への攻撃を強めるトランプ大統領を強く非難。助成金の支払い凍結は「法的な根拠を完全に欠いている。こうした動きは「暴政」につながりかねない。政権に異を唱える機関を抑え込もうとする、広範かつ抜本的な取り組みの一環だ」と語った。

トランプ政権は、高等教育機関の研究資金や学問研究の独立性を脅かしている。

米国北東部にあるハーバード大学やプリンストン大学など米国の名門私立大学8校など計10校はトランプ政権の横暴に共同で対応する機関を設立して対抗している。
しかし、各大学でも政府助成金カットによる影響が出ている。ハーバード大学は4月10日、アラン・ガーバー学長が新規採用の凍結を指示した。一部の学部では選考が進んでいた教職員の採用が中止となり、授業スケジュールが組み直しとなった。
ジョンズ・ホプキンス大学は4月13日、大学が運営する非営利団体などを通じた公衆衛生分野での対外援助活動を大幅に縮小し、関連職員2000人を削減すると発表した。
日経(4月29日)によると、「4月22日には米大学の業界団体AAC&Uと100校以上の大学の学長が、米政権に抗議する署名入りの共同声明を発表。「キャンパスで学び、生活し、働く人々の生活への政府の不当な介入」が「米高等教育を危険にさらしている」と抗議した。
トランプ政権対大学連合の対立は法廷闘争に持ち込まれ対立がエスカレートしている。

つづく

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

百歳学入門(109)医師・塩谷信男(105歳)の超健康力―「正心調息法」で誰でも100歳まで生きられる

百歳学入門(109) 医師・塩谷信男(105歳)の超健康力―「正心調息法」で誰で …

日本リーダーパワー史(662) 戦後の大宰相『吉田茂の思い出』を田中角栄が語る。吉田の再軍備拒否のリーダーシップ 「憲法九条があるかぎり軍隊は持たない」 「メシを食うことにも大変な日本が軍隊を持てるわけがない」(動画あり)

日本リーダーパワー史(662) <来年は明治維新から150年。吉田茂没後5 …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(62)●『厄介な福島原発4号機の燃料プール」●「脱原発依存のウネリ高まる」

 池田龍夫のマスコミ時評(62)   ◎『厄介な福島原発4号 …

no image
  日本メルトダウン(998)―『 早くも暗雲、トランプ政権に尽くす人はいないのか 「エリート」たちにそっぽを向かれたトランプ次期大統領 』●『偽ニュース攻撃で自滅する米マスコミ』( 12/1, 田中 宇)★『  ネットに広がる「フェイク・ニュース」― 嘘と真実の見分け方とは』◎『中国、金の輸入と人民元の流出を制限 外貨準備高がピークから約25%減少、資本流出に警戒感強める当局 (英FT紙』●『「大きな黒い頭の鼠」が巣食っていた東京都―「大山鳴動して鼠一匹」は間違っている』●『日本はどうする?IoTの“根幹”を欧米2社が制圧–IoTビジネスの序盤戦はすでに決着済みの様相』

  日本メルトダウン(998) 早くも暗雲、トランプ政権に尽くす人はいないのか …

no image
『オンライン講座/日本近代化の父・福沢先生の研究』★『日本の近代化は福沢諭吉の思想の上に築かれた。日本現代史を知るには福沢先生までさかのぼらねばならない』★『私の書いた福沢先生に関する、論考、雑文一覧 =検索結果 239 件(2020/3/20日現在)を一挙公開します」

  2020/03/20  『リーダーシ …

no image
日本メルトダウン脱出は可能か(597)「経済の珍病には大胆な治療法必要」(英FT紙)◎「日本の総選挙:同レース、同馬」(英エコノミスト誌)

       日本メルトダウン …

no image
終戦70年・日本敗戦史(117)日本開国の父・福沢諭吉の『脱亜論』の真相、儒教鎖国中華思想に惰眠を貪る清国との戦争を唱える④

 終戦70年・日本敗戦史(117)                        …

no image
知的巨人たちの百歳学(182)/記事再録/作家・野上弥生子(99)-『今日は昨日、明日は今日よりより善く生き、最後の瞬間まで努力する』★『『いっぺん満足のゆくものを書いて威張ってみたいのよ』』

    2015/09/25/百歳学入門(22) …

『オンライン現代史講座/2・26事件の原因の1つは東北凶作による女性の身売りが激増』③『アメリカ発の世界恐慌(1929年)→昭和恐慌→農業恐慌→東北凶作ー欠食児童、女性の身売り問題→国家改造/超国家主義/昭和維新→5・15事件(1932)→2・26事件(1936)、日中戦争、太平洋戦争への道へと転落した』

昭和七年(1932) 悲惨、娘身売りの残酷物語ー売られ行く娘たち  凶作地の惨状 …

「Z世代のための日本リーダーパワー史研究』★『「電力の鬼」松永安左エ門(95歳)の75歳からの長寿逆転突破力①』★『昭和戦後の日本が敗戦によるどん底から奇跡の復活を遂げたのは松永安左エ門(95歳)が電力増産の基盤(水力発電ダム)と9電力体制を万難を排して実現したことで高度経済成長が実現した』①

   2021/10/05「オンライン・日本史決定的瞬間講座 …