日本リーダーパワー史(98)『幽翁』伊庭貞剛・大住友精神を作ったその禅による経営哲学(リーダーシップ)
以後、住友銀行、住友倉庫、住友伸銅場、鋳鋼場など工業化を断行、住友財閥の基礎を固めた。老人ばっこの弊害をいさめ、58歳で総理事をしりぞき、あとは悠々自適の生活を送った。
伊庭は新居浜におもむき、まず四畳半の草堂を築いてこれに起臥し、少しも騒ぐ様子はなかった。毎日、散歩をし、山に登っては降り、草堂に帰ってはしきりに謡曲をうなった。山を散歩するのと、謡曲をうなる以外は何もしなかった。手ぐすねひいて伊庭を待ち構えていた労働者や会社側は何たるのんきさかと呆れ返ってしまった。
伊庭は何を言われようと毎日の日課はかえず、山を散歩し、坑夫や人足に会うと「やあ、今日は」「御苦労」とあいさつをく。返した。そのうち不思議なことに人心は鎮静し、大紛争もいつの間にかおさまった。
離散した人心を一つにまとめるには、伊庭の人格を自然とみんなにわからせる以外になかった。気長く根気よくそれを続けたのである。
① しきたりとか、先例に従えといって、部下のやる気に水を差すな。
「目をつぶって判を押せないような書顆なら、はじめからつくらせぬがよい。また、そんな書類しかつくれぬ部下なら、初めから使わぬがよい。本当に、重役が生命がけで判を押さねばならぬのは、在職中にたった二度か、三度あるくらいのものである。五度あれば多すぎる。それ以外は、目をつぶって判を押して差しっかえない」
これは部下を信頼せよという教えでもある。また、部下を水準以上に鍛えて、黙っておいてもよい状態に、日頃から教育しておけ、という教えにも通じる。
伊庭のこうした哲学によって、逆に部下は皆が知恵を絞って良案の上に良案の書類をつくり出した、という。
関連記事
-
-
「Z世代のための約120年前に生成AI(人工頭脳)などはるかに超えた『世界の知の極限値』『博覧強記』『奇想天外』『抱腹絶倒』の南方熊楠先生の書斎訪問記(酒井潔著)はめちゃ面白いよ①』南方熊楠の方法論を学ぼう』
2015/04/30/ 「最高に面白い人物史①記事再録 …
-
-
日本リーダーパワー史(340) 「此の一戦」の海軍大佐・水野広徳の『日本海海戦』勝因論③東郷の参謀長・島村速雄、加藤友三郎
日本リーダーパワー史(340) ● 政治家、企業家、リーダ …
-
-
「オンライン外交力講座」日本リーダーパワー史(396)『中国が恫喝・侵略と言い張る台湾出兵外交を絶賛した「ニューヨーク・タイムズ」 (1874(明治7年)12月6日付)」★「日中韓150年対立・戦争史をしっかり踏まえて外交力を再構築せよ⑤
2013/07/20 …
-
-
百歳学入門(150)『 日本最長寿の名僧・天海大僧正(107)の長命の秘訣は『時折ご下風(オナラ)遊ばさるべし』●昭和爆笑屁学入門『『元祖〝ライオン宰相〃浜口雄幸・・国運をかけたONARA一発『ぶー,ブ,ブーブゥー』『屁なりとて、徒(あだ)なるものとおもうなよ、ブツという字は仏なりけり(仙崖和尚)
百歳学入門(150) 長命はー① 粗食②正直③日湯④陀羅尼⑤時折ご下風遊ばさ …
-
-
明治150年歴史の再検証『世界史を変えた北清事変④』★『連合国を救援するために日本が最大の部隊を派遣、参謀本部の福島安正情報部長が「各国指揮官会議」を仕切って勝利した』
明治150年歴史の再検証『世界史を変えた北清事変④』- 連合軍の足並みの乱 …
-
-
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < チャイナ・メルトダウン(1056)>『中国政府を批判し有罪となり、服役中にノーベル平和賞を受賞した人権活動家の劉暁波氏が7月13日、肝臓がんのため中国・瀋陽の病院で亡くなった。』★『日清戦争の原因の1つとなった「金玉均暗殺事件」はこの中国の人権弾圧、テロ国家の体質から生まれた、同じケースである』
『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < チャイナ・メルトダウン(1056) …
-
-
日本リーダーパワー史(676) 『日本国憲法公布70年』『吉田茂と憲法誕生秘話 ➁『東西冷戦の産物として1ヵ月で作成された現憲法』『マッカーサーは2/3日に憲法草案作成を命令、2/13日、日本側にGHQ案を提示、3/4日朝 から30時間かけての日米翻訳会議で日本語の憲法案が完成、3/6日の臨時閣議で最終草案要綱は了承,発表された。
日本リーダーパワー史(676) 『日本国憲法公布70年』 『吉田茂と憲法誕生秘 …
-
-
『倉敷美観地区動画3本付ー『100年前に利益至上資本主義を超克し、21世紀の公益資本主義を先取りしたメッセの巨人・大原孫三郎に学ぶ②』★『大内兵衛は「大原孫三郎は学問の偉大なパトロン』と大評価』★『江戸時代、明治の街並み蔵が残る』岡山県倉敷市の「美観地区」の動画』
2019/01/02 世界/日本リーダーパワー史(96 …
-
-
明治裏面史②―『明治の黒幕』三浦梧楼とは何者かー『外国新聞による人物評『ジャパン・ウィークリー・メイル』
明治裏面史②――『明治の黒幕』三浦梧楼 とは何者かー『外国新聞による人物評『ジャ …
-
-
日中北朝鮮150年戦争史(2)『金玉均暗殺事件が日清戦争の発火点の1つ』清国、朝鮮共謀で金玉均を上海に誘い出して暗殺、金の遺体 を清国軍艦で送り届けて、遺体をバラバラにして晒した。これに憤激した日本政府と対立がエスカレートした②
日中北朝鮮150年戦争史(2) 『金玉均暗殺事件が日清戦争の発火 …
