「Z世代のための日本宰相論」★「桂太郎首相の日露戦争、外交論の研究②」★『孫文の秘書通訳・戴李陶の『日本論』(1928年)を読む』★『桂太郎と孫文は秘密会談で、日清外交、日英同盟、日露協商ついて本音で協議した②』
今後の日本に「日英同盟」は不要、イギリスにとっても不要である。
いまや太平洋における英島国は、完全に敵対関係にある。今後の日本の活路、および東方民族の活路は、ただ一つ、英露の連携を分断し、対独連繋を強化すること、これだけである。日英同盟にかえるに日独同盟をもってし、対露作戦にかえるに対英作戦をもってして、是が非でもイギリスの覇権を打ち倒さねばならない。かくてこそ東方は安泰となり、日本も生命を保つことができる。
日本の生命のみではない。ダーダネルス海峡(トルコ西端、エーゲ海とマルマラ海を結ぶ)から太平洋までの全東方民族の運命が、この計画の成否にかかっている。
今日の世界の大問題といえば、トルコ、インド、中国、この三つである。この三国はいずれも、イギリスの武力と経済力の制圧下にある。しかし、武力の圧迫さえとり除けば、経済力の圧迫のほうは問題でない。

かりに日清戦争のとき、中国がもっと強かったならば、絶対に日露戦争は起こらなかったろう。もし中国が強かったとすれば、日・中・露の戦争となるか、中・露の戦争となって、日本だけが犠牲を引き受けずにすんだはずだ。これは断言してもよい。
この二回の戦争では、日本は人民の生死を賭け、国家の存亡を賭けて戦ったのである。これを侵略と呼ぶのは当らない。中国が弱いばかりに、ヨーロッパの侵略を甘受し、日本までが存亡の危機に追い込まれるのは、まことに残念である。
このように考えて、自分は先年モスクワを訪問した。この訪露について世間では、日露同盟を締結するのではないかと臆測していたが、自分としては、ロシアとの友好は結構であっても、同盟ができるわけはないし、また何の役にも立たない。じつは自分が計画したのは、日独同盟である。このことは他人にまかせるわけにいかない。
またドイツに行ったのでは人目をひく恐れがある。そのためドイツ政府と打ち合わせて、モスクワで画策することにした。ところが折から先帝の病篤く、モスクワに着いたとたんに、しきりに電報で帰国を促された。かくてこの計画は今日まで棚上げになっている。
まことに痛恨事である。しかし自分は、政権の座にある間に、いつかはなしとげたいと思っている。これは自分の最大の秘密であり、また日本にとっても最大の秘密である。万一、この計画が少しでも洩れたとなると、日本に非常に不利な立場に追いこまれる。日独同盟ができる以前に、イギリスが全力をあげて日本に対抗すれば、日本はとても太刀討ちはできない。
さきほど対日政策についての先生のお考えをうかがい、ご忠告を受けたが、まさにわが意を得たりである。これまで国内では自分の政策を理解してくれる同志にめぐり会えなかった。今日、先生の話をうかがって天にも昇る思いである。中国に孫先生あるかぎり、後顧のうれいはない、今後は、われわれ両人の相互信頼によって、この目的を達成するのみである。すなわち中国、日本、トルコ、ドイツ、オーストリアの間に同盟を結んで、インド問題を解決したいと思う。
インド問題さえ解決されれば、全世界の有色人種はいっせいに息をふきかえす。この事業がなしとげられれば、日本はもはや移民地や貿易国の心配はなくなるから、中国侵略などという拙策は絶対にとらないだろう。大陸に関して絶対的保障を獲得して、アメリカ、オーストラリアにおける発展に全力をつくすことこそ、日本民族発展の正道である。
大陸の発展は中国が責任を負うべきだ。日中両国が提携すれば、東半球の平和が保持できる。中国、日本、トルコ、ドイツ、オーストリアの五国が提携すれば、全世界の平和が保持できる。この成否は、ひとえにわれわれ両人の努力いかんにかかっている。
今日、中国は逆境にあり、国力は不足し、先生の雄飛も困難である。さきほど蓑世凱援助云々の話がでたが、私の見るところ、蓑は結局、民国にとって忠実な政治家ではなく、やがては民国の敵、また先生の敵となる存在である。しかしながら、いまただちに事を構えるのは百害あって一利ない。
先生のお考えのとおり、しばらく中国の幹線鉄道網の整備に全力をあげるのが、もっとも肝要である。幹線鉄道網の完成は、自分も全力をあげて先生を援助しよう。現在の世界で、イギリスに対抗し、これを倒せる者は、自分と先生とドイツ皇帝、この三人をおいてほかにない。」
②上記の対話は、政治道徳の立場から、中山先生も私も終始秘密を守ってきた。
桂太郎が他界し、欧州戦争が勃発して、日本がドイツに宣戦するに及んで、はじめて先生はこのことをごく親しい同志にもらした。いま、この桂太郎のことばを、欧州大戦前後の情勢に照らし合わせてみるに、もし桂太郎が生きていれば、東方の局面は必ずや今日と様相を異にしていたにちがいない。
③2025年1月ー日本も中国も無能力の凡庸政治家ばかり(110年たった日中も全く同じ)
いまの日本は、政府の大臣であれ政党の領袖であれ、すべての政治担当者が、その日ぐらしの無気力、無意志、無計画の凡庸政客ばかりである。政権の獲得と保持だけに日夜、汲々としており、日本民族の将来も、世界の将来も、かれらの念頭にないのだ。このように政治の人材の払底している日本は、衰退の一途をたどるだろう。
ひるがえって中国はといえば、これまた政治にたずさわる人間が、ろくすっぽ本も読まないか、たとい読んだとしても、読んだ一句をすぐスローガンにして吐き出してしまう連中ばかりだ。政治とは、民族の生死存亡にかかわる大事業である。こんなことで果してどうなるか、なげかわしい現状ではないか。

関連記事
-
-
『1949(昭和24)年とはどんな時代だったのか』
2007,10,01 1949(昭和24 …
-
-
日本リーダーパワー史(80) 日本の最強の経済リーダーベスト10・本田宗一郎の名語録
日本リーダーパワー史(80) 日本の最強の経済リーダーベスト10・本田宗一郎の名 …
-
-
トランプ政権の「大学、学問の自由への介入、政府助成金カット」「米国での頭脳流出が進行、米国の国際競争力低下へ」(上)
ロイター通信(5月01日)によると、 トランプ米大統領は4月30日、多様性・公平 …
-
-
『鎌倉釣りバカ人生30年/回想動画記』⑨『百歳・生涯現役・超人カヌーイストへの修行の道-鎌倉海で「海上禅」の寒中修業中・ブルブル!。ハクション!、おお寒いわの巻』★『鎌倉海で自然・無を楽しむ』★『海上禅の極意は7ヵ条』
2011/12/18 <鎌倉釣りバカ、カヤッ …
-
-
世界最先端技術『見える化』チャンネルー大前研一の特別講義「狭い日本はクオリティ型農業で勝負せよ」●『 AI革命で日本株は復活する(藤田勉) 日本戦略総研社長』●『世界的にまだ新しい手法「コ・クリエイション」の5つの原則』●『日産の可変圧縮比エンジンは100年に1度の大発明!? そのすごさを理解する』
大前研一の特別講義「狭い日本はクオリティ型農業で勝負せよ」 http://jbp …
-
-
速報(475)「3本の矢と5つの輪:インフレ目指す安倍首相の冒険」●「政府、韓国の水産物輸入禁止でWTO提訴を検討」
速報(475)『日本のメルトダウン』 ●【 …
-
-
知的巨人たちの百歳学(177)記事再録/『創造力こそが長寿となる』★『葛飾北斎(89歳)「過去千年で最も偉大な功績の世界の100人」の1人に選ばれた』(米雑誌ライフ、1999年特集号)➀
葛飾北斎(89歳)「過去千年で最も偉大な功績の世界の100人」の1人 「ジャパ …
-
-
『ガラパゴス国家・日本終戦史➃ 」再録ー(リーダーシップの欠如で2度あることは3度ある。日本人の 精神的な構造欠陥!」
1年間連載開始―『ガラパゴス国家・日本終戦史の 歴史類似性の研 …
-
-
速報(269)『Mideast Din Drowns Out Palestinians中東の喧騒はパレスチナ人の声をかき消す』『ニューヨークタイムズ3/7)
速報(269)『日本のメルトダウン』 ★『Mideast Din …