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『Z世代のための次期トランプ米大統領講座㉒』★『ウクライナ戦争から3年目―トランプ大統領の停戦和平は実現するのか?』★『これまでの死者数はウクライナ40万、ロシアは約60万人(トランプ氏発言)』

   

24年12月11日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによる全面侵攻が始まって以来、約4万3000人のウクライナ兵が死亡した犠牲者数を初めて 明らかにした。昨年2月に発表した死者数は3万1000人だったので、昨年中に約40%増えたことになる。また、ロシア側の兵士の死者数は19万8000人、負傷者数は55万人となっていると発表した。
ウクライナとロシアは共に、相手側の損失の推定値を定期的に公表しているが、自国の損失については詳細を明らかにすることを避けていた。
ゼレンスキー大統領が今回、自国の犠牲者を発表したきっかけはトランプ次期米大統領がSNSに、「ウクライナが「ばかげたことに」40万人の兵士を失い、ロシア側では約60万人が死亡または負傷した。あまりにも多くの命が「無駄に浪費された」と非難したためだ。
トランプ氏は「この戦争を就任後24時間で終わらせる」と豪語しているため、停戦和平のメッセージを発信したものとみられる。

1月2日 ゼレンスキー大統領はウクライナで放送されたインタビューで、トランプ氏について「彼はこの戦争で決断を下すことができる。ロシアによる侵攻の終結に向けて決定的な役割を果たせ、我々を助けることができる」と歓迎した。トランプ氏との会談は大統領就任式後に行うことを予定している。
一方、ロシアは2014年にクリミア半島を併合し、その8年後にウクライナへの全面侵攻を開始し、同国の南部と東部を占領。現在、ウクライナ領の約5分の1をロシアの占領下においている。
12月7日、パリでマクロン仏大統領とトランプ氏、ゼレンスキー大統領の3者会談がおこなわれた。その会談で、ゼレンスキー大統領は「いかなる和平合意も自国の安全保障に対する効果的な国際的保証に支えられる必要がある」と強調した。ロシアも「停戦交渉に応じる用意がある」と歓迎したが、その条件として①現在占領中のロシア領地を認めること②北大西洋条約機構(NATO)加盟をあきらめること③さらに多くの領土を譲ることをしないーなどを要求した。ウクライナはこれを拒否している。

ロシアのウクライナ侵略から今年2月で、丸3年目を迎えるが、いまだ戦争終結は見えていない。1月20日のトランプ次期米大統領の就任式後に、「和平交渉は即座に実現するのか」「長引くのか」も見通せない。

●ウクライナ戦争特使にキース・ケロッグ退役陸軍中将を起用

昨年11月27日、 トランプ氏はウクライナ戦争の終結に向けた特使のポストに、キース・ケロッグ退役陸軍中将を起用した。
ケロッグ氏はトランプ前米政権でペンス副大統領の補佐官(国家安全保障問題担当)を務めた経歴があり、トランプ氏に近い保守系シンクタンクの「アメリカ・ファースト政策研究所」に属し、24年4月に独自の和平案を公表している。
そのの戦争終結計画案には、①戦線を現在の場所で凍結した上で、ウクライナとロシアを交渉のテーブルに着かせること。②また、ウクライナが和平交渉入りした場合にのみ米国からさらに兵器が供与される③ロシアに対しては交渉を拒否すればウクライナへの支援が強化されるーと警告する。
この計画では、少なくともかなりの期間、ウクライナ東部の一部地域の支配権をロシアに与えることになるため、ウクライナの同意を得られる可能性は低いとみられる。

●ウクライナの陣取り合戦

 1月20日に発足するトランプ次期政権の早期停戦計画に対してゼレンスキー大統領はその交渉材料として制圧地域(ロシア西部クルスク州)の保持強化を目指している。同大統領は1月6日、同州での5カ月間の越境攻撃でロシア側の兵士死者数は約1万5000人、負傷者は2万3000人に上ると発表した。 ただし、この数字を裏付ける証拠は示さなかった。
また、同大統領は5日、米国のポッドキャストのインタビューで、同州に配置された1万人超の北朝鮮兵のうち、約3800人が死傷し、増援が送られる可能性がある」とも述べた。

ウクライナ、ロシア両国とも停戦交渉に有利な材料の根拠を示さない真偽不明のプロパガンダニュース、フェイクニュースを発信している。

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