『Z世代のための次期トランプ米大統領講座㉑』★『トランプ氏は「世界の国家安全保障と自由のため」に、グリーンランドの所有と管理が絶対に必要』★『パナマ運河の支配権を取り戻す、と主張』
『トランプ氏のディール外交・経済政策エスカレート』
トランプ次期大統領の前回と同じ攻撃的な外交・経済ディール(取引)がエスカレートしてきた。24年12月中旬、カナダをアメリカの51番目の州にすると冗談(本気?)を言ったり、パナマ運河の支配権を取り戻すと脅迫したり、グリーンランドを購入すると発言したり、言いたい放題の放言が相次いだ。
これは、前回の大統領時代に使用した戦術で、メキシコに対して関税の脅威や国境線の壁建設、そこに「武装兵士」の配備をちらつかせた結果、メキシコ側が米国との国境地帯の取り締まりを強化させて、移民流入が減少したという実績がある。しかし、あまりの高圧的なの外交、関税交渉に反発して、成功しなかった点も多かった。
グリーンランドはかつてデンマークの植民地で、現在はデンマーク本土やフェロー諸島と対等の立場でデンマーク王国を構成しており、独自の自治政府が置かれている。米国はグリーンランドにピツフィク宇宙軍基地を所有。同地域は希少な鉱物資源を含む豊富な天然資源を有する。
世界の大国が北極圏での影響力を拡大しようとする中、貿易のための戦略的な要所に位置している。特にロシアは、他国よりも特に、この地域に戦略的な機会があるとみている。
このため、トランプ氏は「世界の国家安全保障と自由のために、アメリカにはグリーンランドの所有と管理が絶対に必要だ」と発言した。
トランプ氏がこう述べた後に、デンマークは一早く、グリーンランドの防衛費を大幅に増額することを発表した。トロルス・ルン・ポールセン国防相は、グリーンランドの防衛予算を約120億~150億クローネ(約2600億~3300億円)にすると発表した。今回発表した防衛パッケージにより、新たな検査船2隻や新たな長距離ドローン(無人機)2機の購入、犬ぞり隊2組の追加導入が可能になるという。ディール鳥引く成功例である。
一方、トランプ氏は12月22日、中米パナマがパナマ運河を利用する米国の船舶に「ばかげていて非常に不公平な」料金を課していると発言。パナマ運河が「好ましくない者の手に渡る」ことを望んでいないと述べた。
特に中国はこの運河に大きな利害関係があり、米国に次ぐパナマ運河の第2の利用国で、パナマに大規模な経済投資を行っている。
2017年、パナマは台湾との外交関係を断ち切り、台湾を中国の一部と認めた。これは中国政府にとって大きな勝利となった。ところで、米中対立がエスカレートする中で、パナマ運河は米国の太平洋貿易にとって死活問題で、中国との軍事衝突が発生した場合には、米国の船舶やその他の資産を移動させるために必要になると危惧してきた。
このため、米国の安全保障の観点からトランプ発言になったものとみられる。高圧的発言により「運河当局が米国の貨物に対する料金を引き下げるのを期待したディール取引なのではないか」ともみられている。
パナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領は、「運河とその周辺地域が自国に属しており、今後もそうである」との声明を発表している。
●中国の対抗措置もエスカレート
中国商務省は、1月3日、米国の防衛関連企業や団体28について、軍民両用に活用できる物資などの輸出禁止措置を発表した。中国は、米国が半導体などの輸出規制を強めたのに反発、対抗姿勢を示した形だ。軍民両用に活用できる物資などの輸出先として禁止対象なったのは、防衛関連企業「ロッキード・マーチン」などの28の企業や団体。中国政府は12月、軍事転用が可能な軍民両用の物資などの輸出管理を強化する条例を施行した。
この条例は「国家の安全と利益を守るための」のもの。また、中国商務省は、輸出禁止の措置をしたうちの10の企業や団体は、台湾への武器売却に関わったとして中国との貿易を禁止、制裁を発表したもの。


関連記事
-
-
『クイズ『坂の上の雲』>明治陸軍の空前絶後の名将とは・・・児玉源太郎ではない参謀総長・川上操六②
『クイズ『坂の上の雲』>明治陸軍の空前絶後の名将とは・・児玉源太郎ではない参謀総 …
-
-
日本リーダーパワー史(503)勝海舟の外交突破力を見習え⑤『三国干渉』くらい朝飯前だよ』②
日本リーダーパワー史(503)   …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(35)記事再録/『憲法第9条と昭和天皇』ー<憲法9条(戦争・戦力放棄)の最初の発案者は一体誰なのか>「マッカーサーによって押し付けられたものだ」、「GHQだ」「いや,幣原喜重郎首相だ」「昭和天皇によるもの」―と最初の発案者をめぐっても長年論争が続き、決着はいまだついていない。
2006年8月15日/『憲法第9条と昭和天皇』 …
-
-
日本リーダーパワー史(262)<本物のリーダー、偉人とは>大津波を私財を投じた大堤防で防いだ濱口悟陵
日本リーダーパワー史(262) <本物のリーダー、偉人とは~、この …
-
-
『オンライン動画/岩切徹(評論家)が斬る1970-80年の戦後芸能史講座①』★『美輪明宏こそ稀人、本物のアーティスト』★『「若大将』の加山雄三の苦労』★『落語界の天才・立川談志のイケメン』★『「007は二度死ぬ」でボンドガールとなった浜美枝』★『民間版の皇室アルバムの 吉永小百合の人気』→『以上は写真家・佐々木恵子氏の撮影』
この一連の写真は40年以上、週刊誌、雑誌で半世紀以上活躍中の佐々木恵子カメラマン …
-
-
11月15日●尼崎武庫公民館市民大学での講演レジメ『日米戦争の敗北を予言した反軍大佐・水野広徳』(前坂俊之)
2012年11月15日 尼崎武庫公民館市民大学 前坂 俊之 …
-
-
終戦70年・日本敗戦史(84)陸軍反逆児・田中隆吉の証言④『惨憺たるミッドウェーの敗北ー愚弄された一億の民』
終戦70年・日本敗戦史(84) 敗戦直後の1946年に「敗因を衝くー軍閥専横 …
-
-
巨人ベンチャー列伝ー石橋正二郎(ブリジストン創業者)の名言/至言/確言百選②●『知と行は同じ。学と労とも同じ。人は何を成すによって偉いのではない。いかに成したかによって価値あるものなのだ』●『新しき考えに対し、実行不能を唱えるのは卑怯者の慣用手段である』
巨人ベンチャー列伝ー石橋正二郎(ブリジストン)の名言、至言、確言百 …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(138)』VW不正事件、「事実・背景・今後」を「時間軸」で整理」◎「経営者の資質は、業績貢献よりも、人格識見と倫理感の秀でた人材が相応しい、という鉄則を想起」
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(138)』 経営者の資 …
-
-
日本メルトダウン(996)ー『プーチン大統領12/15来日』●『安倍総理の「歴史に名を残したい!という功名心、前のめり姿勢がロシア側に見透かされている』(江田憲司)★『対露経済協力に前のめりになる安倍首相の突出が目立った。 安倍首相が対露経済協力相を新設し、世耕弘成経済産業相に兼務させたことも異例だ』
日本メルトダウン(996) 北方領土交渉。ロシアの腹芸にだまされた?・・・ …
