前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『オンライン講座/日本興亡史の研究 ⑪』★『児玉源太郎の電光石火の解決力⑦』★『日英同盟によって軍艦購入から日本へ運航まで、英国は日本を助けて、ロシアを妨害してくれたことが日露戦争勝利の要因の1つ』●『児玉、山本権兵衛の『インテリジェンス』と『最強のリーダーシップ』の証明でもあった』

      2022/10/25

 

  

“Online Lecture/Research on the History of the Rise and Fall of Japan 11” ★ “Gentaro Kodama’s Lightning-Fast Solutions ⑦” ★ “By the Anglo-Japanese Alliance, from purchasing warships to shipping them to Japan, Britain helped Japan and interfered with Russia. This was one of the factors in the victory of the Russo-Japanese War.” ● “It was also proof of Kodama and Gonbei Yamamoto’s ‘intelligence’ and ‘strongest leadership.'”

日本リーダーパワー史(820)記事再録『日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス㉟

 前坂俊之(ジャーナリスト)

この山本海軍大臣の「早期開戦反対論」の厚い壁を児玉はどうやって崩していったのか。その裏には児玉次長の知謀をつくした勝利の戦略と説得工作があった。

もともと、薩摩の権兵衛と長州の源太郎と言えば喧嘩が強い、さっぱりした気性の豪傑同士であり、ケンカ早かったが、仲直りも早いと有名だった。陸海軍を代表して、才気喚発の両者は、喧々諤々の激しく論争したライバル同士でもあった。

1903年(明治36)10月に参謀本部次長に自ら降下し、日露戦争を指導する責任者となった児玉は山本権兵衛の説得するために、「絶対に権兵衛と呼び捨てにしないこと」を心に決めた。

 開戦準備を推進するためには、陸海軍は協力一致して決して喧嘩をしてはならない。海軍を怒らせることは禁物で、自ら率先して、口を慎み部下たちにも模範を示すことを決意して、説得工作に知恵を絞った。

山本海相に対しては1ヵ月前に井口省吾・参謀本部総務部長が訪ねて、陸軍の情報判断を説明し、『このまま推移すると韓国はロシアに専られてしまう』と訴えると「韓国がロシアに奪われても構わん。オレの心配しているのは日本がロシアに奪われることだ」と陸軍案に反対する態度を固執した。陸軍の前に立ちはだかった難物中の難物だった。

それが、両者の会談が一時間もたたないうちに、海軍大臣室のドアが開かれ、山本と児玉が大声で笑いながら、「イヤー、今日は愉快じゃ、愉快じゃ」と出てきたので、待機していた参謀部員はびっくり仰天、児玉次長のその早業に舌を巻いたのである。

児玉次長が出したとおもわれる妥協案は3点であった。

➀大本営条令の改正である。これは山本海相が長年主張して、児玉も陸相時代に断固反対していた改正案だが、日露開戦の危機迫る状況で、従来の方針を180度転換してこれを認めて、従来の陸主海従の制度を陸海軍並列主義として、完全に陸海軍を対等とした、のである。

児玉は「山本海相が開戦準備に同意し、かつ陸海軍協調の線に努力してもらうことができれば、この際は潔く海軍案を採用し、すべては日露戦争の勝利のために陸海軍一体となって全力をあげたい。将来の陸海軍の関係は日露戦勝を獲得してから、ゆっくりと考えた方がよい。」と山本に提案、説得したのである。

②同盟国イギリスの斡旋で、イタリアなどで建造中であった重巡洋艦二隻(後の日進、春日)の調達予算取得が難行中だったのを、児玉は陸軍予算で直ちに購入することに決定した。ロシア側も同様にこれら建造中の軍艦を購入する情勢にだったので先手を打って日本海軍が取得するのに成功した。

当時、海軍は日露戦争に備えて「六六艦隊」といわれる戦艦六隻、重巡洋艦六隻を主力艦とする艦隊編成に全力を尽していた。しかし、資金力に勝るロシアもその後は急ピッチで極東艦隊を増強し、六六艦隊を完全に凌駕して。海軍は頭を悩ませていた。

海軍情報員の至急電で、アルゼンチン国発注の大型装甲巡洋艦二隻がイタリヤのベネチア港で近く竣工の予定で、譲渡価格は一千六百万円である、ロシアも同様の購入の交渉中なので、日本が買う決心があるならば即刻回答せよとの、極秘情報が入った。

 海軍省が資金の即時払いを大蔵省に要求したが、現在ロンドンで金策中の外貨資金は約二千万円が集まっただけで、陸軍省からの京釜鉄道(京城-釜山間)建設予算もあるので、全部出すわけにいかないという返事だった。

 そこで山本海相は児玉次長に要請したところ、即座に了承してロシアに一歩先んじて軍艦購入を決定した。明治36年暮れもおしつまった12月28日のことである。開戦わずか40日前のお宝購入である。この2隻が日露戦争では大活躍したのだから、山本、児玉の最強コンビのホームランである。

ちなみに、イタリアからこの2隻の軍艦を日本にえい航するのは並大抵のことではなかった。日英同盟による英国海軍の全面的なサポートによってこの虎の子の軍艦が無事に日本に到着したのである。

軍艦二隻は、その後スエズ運河を航行して日本へ運ばれたが、英国海軍は、ロシア海軍が大砲を据えて発射して戦えるようにしていない日本の購入した軍艦一隻の後をつけて要撃(待ち伏せして撃沈する)をねらっているらしいとの情報をつかんで航行の護衛をしてくれた。

 また、各港では日本軍艦には石炭の補給を英国が手伝って早く出港できるように支援し、ロシア軍艦には石炭補給をストップさせて、日本を助けてくれたのである。

日英同盟によって軍艦購入から日本へ運行するまで、いかにイギリスが日本を助けて、ロシアに対抗措置をとってくれたかーこれが日露戦争にかろうじて、日本が勝てた要因の1

 - 人物研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(88)記事再録/★ 『拝金亡者が世界中にうじゃうじゃいて地球の有限な資源を食い尽し、地球環境は瀕死の重傷だ。今回のスーパー台風19号の重大被害もこの影響だ』★『9月23日、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンペリさん(16)が「人々は困窮し、生態系は壊れて、私たちは絶滅を前にしているのに、あなたがたはお金と永続的経済成長という『おとぎ話』をよくも語っているわね!若者は絶対に許さない』と国連に一堂に介した各国の首脳たちをチコちゃんにかわってをしかりつけた。会場に突然、現らわれたトランプ大統領を刺すような強烈な視線でにらみつけた。。彼女にこそノーベル地球賞を与えるべきだったね』★『 今回も百年先を見ていた 社会貢献の偉大な父・大原孫三郎の業績を振り返る②」                                       つづく

2012年7月16日 /日本リーダーパワー史(281)記事再録   < …

no image
『リーダーシップの日本近現代史(17)記事再録/ガラパゴス日本『死に至る病』―国家統治/無責任欠陥体制『大本営』『大本営・政府連絡会議』『最高戦争指導会議』 『御前会議』の内幕

   2017/08/16日本敗戦史(46) &n …

no image
日本リーダーパワー史(717)(まとめ/イチロー伝説)「神となったイチロー」●『イチローは「1人ビートルズ」か「国宝」?」★「イチローは現代の「宮本武蔵」なり「鍛錬を怠るな<鍛とは千日(3年)、錬とは一万日(30年)の稽古なり>

 日本リーダーパワー史(717)   イチローはなぜキューバで「神」なのか マ軍 …

『オンライン現代史講座/『日本が世界に先駆けて『奴隷解放』に取り組んで勝利したマリア・ルス号事件(明治5年7月)を指揮した」『150年前の日本と中国―副島種臣外務卿のインテリジェンス』

      2019/04/08日本リーダーパワー …

no image
「日中韓150年戦争史』★『日清戦争の原因となった東学党の乱の実態と朝鮮事情について〔明治26年6月4日 時事新報〕

東学党の乱の実態と朝鮮事情、〔明治26年6月4日 時事新報〕    . 朝鮮の東 …

★「本日は発売(2023年6月9日)「文芸春秋7月号」<100年の恋の物語のベストワンラブストーリーは・・>山本五十六提督の悲恋のラブレター』★『1941年12月8日、日米開戦、真珠湾攻撃の日、山本五十六が1日千秋の思いで待っていたのは愛人・河合千代子からのラブレターであった』

2010/06/30/日本リーダーパワー史(60) 真珠湾攻撃と山本五十六『提督 …

no image
日本リーダーパワー史(575)明治維新革命児・高杉晋作の「平生はむろん、死地に入り難局に処しても、困ったという一言だけは断じていうなかれ」①

 日本リーダーパワー史(575) 明治維新に火をつけたのは吉田松陰であり、230 …

no image
知的巨人の百歳学(163)/ー人気記事再録/『笑う門には福来る、ジョークを飛ばせば長生きするよ』★『昭和の大宰相・吉田茂のジョーク集』 ③ 吉田首相は五次にわたる内閣で、実数79人、延べ114人の大臣を『粗製乱造』した。その『吉田ワンマン学校」で、「果たしてステーツマン(真の政治家、国士)を何人つくったのか?」

2016/02/10/日本リーダーパワー史(663) 『昭和の大宰相・吉田茂のジ …

no image
日本リーダーパワー史(377)日露戦争で自ら地位を2階級投げ打って全軍指揮したスーパートップリーダー・児玉源太郎

 日本リーダーパワー史(377)   空前絶後の名将・川上操 …

no image
天才経営者列伝①本田宗一郎の名言、烈言、金言ピカイチ『成功は失敗の回数に比例する』★『得手に帆を上けよ』

               2009、08,15 天才経営者列伝①本田宗一郎の …