日本リーダーパワー史⑫ 東條英機が総理大臣になった理由と経過とは・・日米開戦へ
前坂俊之
(静岡県立大学名誉教授)
後継首相に指名された開戦論者・東條は一転、御前会議の白紙撤回、開戦回避を画すが、和平への道はあえなく閉ざされ、日本は開戦への道を転がっていく。真珠湾攻撃の前日、戦争準備を終えた東條は、一人寝床で涙にくれていた。

十月十四日、定例閣議の直前、近衛は再度念押ししたが、東條は「撤兵は絶対にしない」と答え、「人間、たまには清水の舞台から目をつむって飛び降りることも必要だ」と優柔不断な態度に終始する近衛を皮肉った。
こうして開戦内閣は誕生したのである。
天皇も、いざここまで来て戦いを避けると、世論が憤激して陸軍強硬派が暴発してクーデターを起こして国内は内戦になるのではないか、との危機感に沈黙する。天皇も、政府も、海軍、外交当局者も開戦回避を願いながら断固として、命がけで阻止する勇気を持たず、大勢に順応して、様子見を決め込んで現実に追従し、ここまでくればやむを得ない、と状況に押し流されていく総無責任体制になったのである。
十一月二十七日、「ハル・ノート」によって米国の強硬姿勢が示された。
開戦に百パーセント固まった瞬間でである。
透徹した世界観、長期ビジョンは全くなく、目先の事務能力にたけただけ。カミソリ、能吏、軍人官僚の典型といわれた東條は、これこそ日本型の秀才官僚、能吏の典型的な人物だが、その結果のゆきつく先の敗北という暗い予感に恐れおののいたのである。
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