日本リーダーパワー史(57)「算数さえできない大バカ者・・」と陸軍をきびしく批判した山本五十六海軍次官③
2015/11/12
日本リーダーパワー史(57)
「算数さえできない大バカ者・・」と陸軍を批判した
山本五十六③―歴史インテリジェンスを磨けー
前坂 俊之(ジャーナリスト)
次は同盟通信・小山武夫記者の「山本五十六の思い出」(政治OB会報、平成6年1月号)の証言である。今の政治部の若手の記者たちにいいたいね。80年前の戦時下で敗戦に刻一刻近づいている(国難)と、今は全く類似するというレジャビュ(既視感)をもって、歴史感覚、歴史インテリジェンスを培って、国の政策と政治家のリーダーシップを見極める報道を望みますよ。ジャーナリストの報道に日本の運命がゆだねられていることも確かです。
ところが、日本のメディアの政治報道はゴシップ報道、政局報道ばかりに偏っていて、グローバルかつ歴史的な洞察力をもって論評がほとんどないのが残念です。日本政治を論じ、政治家の力量をトータル論じられる政治記者も残念ながら見当たらない。
日本の政治の悲劇は2世3世の政治屋チルドレンのホームルーム(国会)の悲劇であると同時に、マスコミの無能、新聞記者の低レベルとが共震した複合国家倒産となりつつあり、その悲劇、喜劇が毎日演じられているのでは・・・・。
小山記者証言は・・・
私が中国大陸から戻った昭和十四年という年は、第二次世界大戦勃発の年、そしてわが国自体が国の命運をかけた日米交渉開始の年でもあり、内外の情勢は緊迫の度を高め、このためわずか一年の間に、平沼棋一郎、阿部信行両内閣が相次いで倒れた。
政経部に復帰して再び首相官邸記者会を足場に、夜討ち朝駆けの生活が始まり、重臣方面の動向をフォローした。当時の国家的な課題は、陸軍のゴリ押し的な日独伊軍事同盟締結の可否をめぐる困難な処理問題と、近衛内閣から継承した汪兆銘一派との関係調整の問題であった。
前者の日独伊軍事同盟問題は、近衛内閣での五相会議(首相のほか有田八郎外相、板垣征四郎陸相、米内光政海相、石渡荘太郎蔵相) で、前後七十数回開かれたにもかかわらず未決のままだったし、汪兆銘派との工作も秘密裏に行われていて、いずれも厳重な報道禁止となっていた。
しかもこの年、旧ソ満国境でノモンハン事件が突発、この局地戦は関東軍の大敗に終わったが、こうした危局を背景にして、政府は国家総動員法や国民精神総動員といった締めつけを強め、国民生活は日とともに暗たんの度を加えるに至った。
私はこの平沼内閣では、書記官長の田辺治通、同太田耕造両氏のほか海軍次官山本五十六中将の三者と、内大臣秘書官長松平康昌侯、それと時折り近衛公をまじえた各氏を、夜昼の別なく訪問して情報の収集に当たった。報道禁止事項の綴じ込みは三センチほどに厚くなっていたが、ニュースにならないからといって仕事をサボるわけに参らない。というわけで午前さま″生活に終始した。そうした中で、今もって忘れられないことのは、山本次官との会談である。それほど印象は強烈であった。
陸軍のバカども……山本海軍次官の卓見
海軍次官官舎は麻布の霊現坂の上(現在ホテルオークラの敷地内)にあり、山本次官が夜この官舎に帰って来るのはいつも十二時と決まっていた。そこで私たちは大体その五分前をメドに官舎へ行き、次官の帰りを待つ。そこへ凡帳面な性格から決まったように時間通り帰って来て「やあ待たせたなあ、ご苦労」と必ず声をかけ、棚の中のウイスキーや外国たばこに目をやって「君たちは遠慮なくやり給え」と、心を開いてすすめてくれた。
この次官会見では海軍省詰めの黒潮会の記者諸君、それも仕事熱心な者とよくかち合ったが、私と中外商業新報杜(現・日経)の荻原伯永氏(元・日経広告社社長)との出会いはこの夜討ちの機会においてであった。同氏とはその後南京時代から現在まで格別親しいつきあいが続いている。
山本五十六という海軍軍人については、数多くの評伝が世に出ているが、私たちが次官官舎で直接接触した印象は、豪放、磊落、頭脳緻密、鋭利な判断力の持ち主であり、眼光が澄んでいて鋭く、そして率直で如何にも頼もしく感じた。ザックバランにものを言い、何物をも恐れない人柄、そういう性格のすべてがストレートに映るので、この会見はいつも楽しみにしていたものである。
今でも鮮明に記憶にあるのは、十四年七月ころ、日独伊三国軍事同盟の締結問題が海軍の反対でこじれ、米内海相をねらった右翼分子による暗殺計画が発覚した直後のこと、山本次官は
「陸軍のバカどもにも困ったものだ。南も討て、北も討つべしなんて騒ぎ立てるが、いったいだれが戦うのか。海軍は広い太平洋で戦わねばならん。が、五・五・三の比率でやって来た海軍力でアメリカを向こうに回して戦う場合、三で五をどうして破るか。しかも対米戦となれば英の五が当然アメリカ側に加わる。つまり一〇対三の戦いだ。戦いの帰趨は明白ではないか。こんな簡単な算術の問題が奴らには分からんのだから困りものよ……」
と、歯に衣を着せず激しい口調で吐き捨てたものである。この言葉は、太平洋戦争の本質にも触れるものとして、半世紀経過した現在でも風化せずに、私の脳裏に焼きついている。
平沼内閣がヒトラー・ドイツの対ソ不可侵条約締結という予期せぬ事態に直面して、「欧州情勢は複雑怪奇」という捨て台詞を残して十四年八月末総辞職した時、山本海軍次官は米内海相と共に現職を離れ、連合艦隊司令長官に転出した。
そしていよいよ風雲急を告げる十六年、第三次近衛内閣の総理を暮夜ひそかに訪ねて、歴史に残る重要な申し入れをしたこと、さらに十八年四月十八日、ソロモン群島上空で米軍機の待ち伏せ攻撃に会い、ジャングルの中に墜落して戦死したこと。元帥に列せられて国葬の礼を受けたことなど、いずれも良く知られているところだ。要するに、前記の放言の延長 謝線上に日本の命運が展開し、その犠牲になったというべきだろう。
山本元帥の戦死は、軍の最高機密に属する暗号電報をすべて米側に解読されていたためと、その凡帳面な性格から、前線視察のスケジュールがいわば寸分の狂いもなく進められた結果、まんまと米軍側の術中にはまったためである。そして戦局は、その死があたかも弔鐘のように、日増しに不利に傾き、十七年のミッドウェー海戦の大敗に続き、ガダルカナル、アッツ両島失陥など、暗いニュースばかりとなった。
現在との問題とも同じ、国家財政の破たん
国家財政の破綻をどう食い止めるのか、そのための消費税の引き上げの論議は一刻も猶予ができない。それは昭和10年代の米ウオール街の株価大暴落のあとに、世界はブロック経済化して、戦争の道を転がり落ちて行った歴史を勉強する必要がある。
山本は陸軍や政治家を「簡単な算術の問題も分からん大バカ者・・」と歯に衣きせず批判した。この言葉は、膨れ上がるがばかりで1000兆円に達する国債残務高、ギリシャをの2倍になる先進国最悪の借金高ーをいかに破裂しないように、しかも経済を成長軌道に乗せていくか、政治家の数学能力の問題、問題解決能力(ソリューション)にかかっている。
山本の言うように、数学、算数さえできなかった陸軍や政治家どもと全く同じように、
この20年、同じテスト問題で落第点を取り続けてきた政治家、行政担当者がその責任も全くとらずに、のうのうと今も、問題先送り、先延ばし、借金も先延ばしで膨らむ一方ナなのを横目に、Wサッカーに興じているのは、戦争中に外国での戦場で多くの犠牲者(日本人ばかりでなく中国、韓国そのた戦場になった現地で犠牲になった人たち)の姿が遠くはなれて目に見えなかっただけのことである。
日本本土空襲がはじまり、空から爆弾が降ってくると、さすが戦争の深刻な敗戦近しという厳然たる事実にいやがおうでも気がついて聞くるが、当時の政府も新聞、メディアも真実を覆い隠して、国民も歯を食いしばって『欲しがりません、勝つまでは』などとけなげに堪えていたのです。
そして、ある日1945年8月18日、天皇の放送のいよって日本敗北をはじめてしったという悲喜劇です。まるで、上からしたまで国民全体に先を見る目がなかったということです。
いま、日本は果たして大丈夫なのか。
国がつぶれるこことなどあり得ない。戦争などしていないのだから、どうともないではないかと言うかもしれません。バカな連中は。
しかし、今は武力による戦争ではなくて経済的な大戦争は太平洋戦争の時代よりも何百倍もし烈になっているのです。その中で、日本が最も借金をたくさんかかえた最悪の借金大国(200パーセント)になっていることは、すでに数字的には挽回不可能なターニングポイントを超えたということです。
ガダルカナル、硫黄島、サイパンがすでに玉砕し、敗北は決定的になったのに、いまだに一矢報いてから交渉した方が有利でになるなど負け惜しみをいって、沖縄は全滅して、原爆を投下されてやっと無条件降伏したこのときの軍のリーダーたちの愚をおかしてはなりません。国債での外国人の占有比率は少ない、日本人が国債の大部分を所有しているので大丈夫などと、バカなことを言っちゃいけない。
ヘッジファンドが日本国債をターゲットにアタックしてけくればあの日本空襲と、わずかな金利上昇で日本炎上はまちがいないのでは・・。当時、軍は米軍による空襲に対して、町内会で隣組なる防諜組織をつくってバケツの水を手渡して消火に当たる「バケツリレー」で、空襲の火災の消火に当たる、また、米兵に対しては1人1殺で女子供まで『竹やりで殺す」(鉄砲、弾丸など不足していたので)、原爆など高性能爆弾にたいしては白衣をきておれば反射して何とか防げるなどというーまるで信じられない400年に以上前の封建時代の戦国時代の感覚で戦っていたのです。まるでおバカさんでした。
わずか60年前のことです。マッカーサーは戦争を起こした日本人について「西欧人が大人とすれば、日本人はまだ12歳の少年のような精神構造」と米議会で証言しました。日本人は幼稚であり、全体主義的であり、西欧的な個人の自由、人権、平等が認められてない未開な人間である、という優越的な視線です。確かにこの指摘は当たっています。戦後の民主的な改革はこの線に沿ってやられたのですから。
あれから、60年、日本人は真の大人に成長したのでしょうか、自分の頭で考え、自分の足でたち、公的なものも分かちあって独立した国として、世界の中での役割を果たす行動をしているでしょうか。福沢諭吉の「一身独立して、1国独立す。決してこの逆ではない」の言葉が身にしみます。いまの最悪の国債借金問題、増税論議では大本営発表の虚実をしっかり見極めるインテリジェンスが不可欠です。
戦前と同じ大本営発表、Wカップの本田選手のような決定力など全く望むべきもない無能無為無策のバカーリーダーたちの小田原評定、
それを同じくたれ流すだけのテレビメディア、新聞メディアの報道責任がきびしく今問われています。 (つづく)
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