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世界、日本メルトダウン(1018)-『トランプの政策顧問で対中強硬派と言われるピーター・ナヴァロ氏の「米中もし戦わば」(副題「戦争の地政学」を読む」●「米中戦争が起きる確率は「非常に高い」*「中華思想」のエスノセントイズム(自民族優先主義)、日中パーセプションギャップ(認識ギャップ)、コミュニケーションギャップ、歴史認識ギャップから対立がエスカレート、戦争が始まる」

   

世界、日本メルトダウン(1018

 

トランプの政策顧問で対中強硬派と言われるピーター・ナヴァロ氏の「米中もし戦わば」(副題「戦争の地政学」全412ページ(解説とソースノートを含む)、文芸春秋社刊)がベストセラーとなっている。トランプ政権で米の世界戦略、経済、外交戦略、対中政策はどうなるのか注目される中での、翻訳なので早速取り寄せて目を通しているが、

マスコミ、新聞はステレオタイプに「親日派」「対中強硬派」「狂犬」とワンフレーズのレッテルをはるが、一見して膨大な資料をあたり、多数の関係者にも取材し、イケル・ピルズベリー「China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」」と同様に、何通りにもシュレーションして、一般にもわかりやすく書いている。

週刊ダイヤモンド(2017年01月28日号)は「地政学の古典 で養う劇的世界の読み方、解き方」では

「500年の歴史で既存の覇権国と新たに台頭してきた国が対峙したケースは16回あり、うち12回で戦争に至ったという。確率は実に75%。米中戦争は歴史的必然なのか。」

「米中戦争が起きる確率は「非常に高い」時限爆弾は4つある」として、このピーター・ナヴァロ氏の著書『米中もし戦わば』から引用、掲載している。

私は百五十年前の明治維新からの日中関係、日清戦争への経緯について、調べているが、この本は大変参考になる。

以下で、そのポイントを幾つか紹介し、「近くで遠い大国中国」「中華思想」のエスノセントイズム(自民族・自文化優先主義)、日中パーセプションギャップ(認識ギャップ)、コミュニケーションギャップ、日中歴史認識ギャップのを考えてみたい。

https://www.amazon.co.jp/product-reviews/B01NBASROF/ref=cm_cr_getr_d_paging_btm_2?ie=UTF8&reviewerType=all_reviews&showViewpoints=1&sortBy=recent&pageNumber=2

以上の同書の「」優れたブックレビュウを引用させていただいたことをお断りします。感謝。  

本書では、まず歴史的な経緯から中国の行動が示される。

 ①中国は1949年の建国後、1950年に世界史上最大の帝国主義的な武力による侵略で、中国国土の30%に匹敵するチベット及び新疆ウイグル自治区の併合を行った。

 ②1950年朝鮮戦争に参戦し国連軍を不意打ちし、1962年、インドに侵攻し、カシミール地方のアクサインを占領し、ソビエトにも侵攻を行った。1974年、南ベトナムから西沙諸島を略奪し、1979年にはベトナムに侵攻した。

1988年には南沙諸島の領有権を主張し、ベトナム兵60名以上を殺戮して南沙諸島の6島を支配下においた。1994年にはフィリピンからミスチーフ礁を略奪しており、中国共産党が政権獲得以来60年以上に渡り一貫して武力侵略と暴力行為を繰り返してきた。

 ④以上のように有害な現状変更の意図をもった暴力的な国家であり公然と条約を破る行為を続け、2000年以降、更に拍車をかけてアジアで拡張主義的な行動をエスカレートしており、アジアの緊張が高まっている。

 ⑤中国の軍事的な意図は、国土及び国際通商路の防衛という正当な願望と、領土、領空、領海、海上路の限りない拡大である。しかし、中国には領土要求で譲歩したり、破棄したりする可能性は存在しない。

 ⑥2001年、米国大統領史上最大の間違った選択をビル・クリントンが犯し、中国のWTO加盟を認めたことで、米国の生産拠点は一斉に中国に移転し始めた。その結果7万もの工場が閉鎖に追い込まれ、失業者は最終的に2500万人以上になり、米国の貿易赤字は年間3000億ドル以上に膨れ上がり、米国の対中赤字は何兆ドルにも達している。

  ⓻このビル・クリントン、オバマの対中融和政策により、中国の経済成長は発展し、日本を抜いて世界第2位の経済大国にのし上がったが、中国の民主化にはつながらず、共産党1党独裁支配のPS2,5に見られる最悪の公害汚染国家と

 『中国の大気汚染による死者は1日4000人-バークリ ー・アース』

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2015-08-14/-4000-

中国がひた隠しにするPM2.5による死者の数

http://ameblo.jp/hagure1945/entry-12119860558.html

して、国民の健康被害は無視して、経済成長と軍事力の増強に必死となっている。

 ⑧中国の軍事能力は、通常兵器(機雷、ミサイル、空母戦闘群、戦闘機)だけでなく、破壊力の大きい軍事技術の対艦弾道ミサイル(空母キラー)や対人工衛星兵器、航空管制や銀行ネットワーク等の民間施設を麻痺させる能力を持つコンピュータ・マルウェアを駆使して『サイバー攻撃』『サイバー犯罪』『ハッカー部隊』を組織して、世界中で情報戦争を仕掛けている。

これらは、外国製品の分解によるリバースエンジニアリング、大学やハッカー専門学校での大量の教育による10万人以上のサイバー戦士によるシステマチックなハッキングにより盗み取った機密情報や、ドイツやフランスが民間利用という名目で売り渡した「軍民両用」技術等をパクッて、獲得し、それを特許申請して、急速に兵器、技術開発を進めている。

更に「孫子の兵法」以来の古典的な中国流のスパイ、謀略、陰謀、戦術、戦略論でネット流にアップグレードした「3種類の戦い方=三戦」を実践している。


 ➀三戦とは「心理戦」(外交圧力、風評、嘘、嫌がらせを使って不快感を表明し、覇権を主張し、威嚇するとともに、経済圧力(例えば、レアアース輸出を規制したり、観光旅行を禁止する)を効果的に利用する)、

 ②「メディア戦」(国内外のメディアによる世論誘導で、騙されやすいメディア視聴者に中国側のストーリーを受け入れさせること(例えば、尖閣諸島で緊張が高まればどのような問題も日本の右翼のせいにする。具体的には、中国の影響の強い米国のYahoo掲示板が効果的に活用され、日本の右傾化と軍事的な野心を批判する意見が毎日、数百万書き込まれ、米国世論には日本の戦争開始の野心が真剣に心配され、オバマと安倍総理の会談が何度も延期された)

「法律戦」(現行の法的枠組みの中で国際秩序のルールを中国の都合のいいように曲げる、あるいは書き換えたり、インチキ地図や曖昧な歴史に基づいて領有権を正当化する)である。

④この「心理戦」、「メディア戦」、「法律戦」は互いに結びついて非常に高い相乗効果をもたらしており、新しいタイプの宣戦布告なしの歴然たる戦争であり、ペンタゴンやアジア各国の防衛省は三戦に直接対抗する戦略の構築が求められている。

 ⑤冷戦中に核爆弾が一つも落ちなかった大きな理由の一つは米ソが対話に前向きで、最高レベルでは米国大統領とソ連書記長がホットラインでつながっており、前線や公海でも両国の海軍司令官が定期的に艦橋へ連絡を取り合っていたことがある。これに対して中国と米国の間には「エスカレーション遮断器」は全く存在せず中国は国際法も含め条約を公然と破る国家である。

 ⑥中国共産党の目標は中国の存続ではなく、共産党支配の存続であり、ナショナリズムに火をつけ、国内問題から目を逸らさせることを行っており、このことが戦争を引き起こす可能性を著しく高めている。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

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