前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(85)◎『福島原発被害者を泣かせる」政府のズサンな対応(7/6)』

   

  池田龍夫のマスコミ時評(85)

 

◎『福島原発被害者を泣かせる」政府のズサンな対応(7/6)

 

ジャーナリスト 池田龍夫

 

 参院選挙は74日公示、21日の投票へ向け舌戦が始まった。安倍晋三首相(自民党総裁)は4日朝福島市へ飛び、「福島の再生なくして日本の再生はない」と第一声を挙げた。

 

福島第1原発事故から24カ月あまり。この常套句を聞かされた福島県民の多くは「フザケルな、復興は遅々として進まず、156万人もの住民が帰郷できない現状を、全く認識していない発言だ」と、腹を立てているに違いない。

 

「自民党は原発の安全神話に寄りかかり、政策を推進したことを深刻に反省しなければならない」と陳謝したものの、原発再稼働には触れず、セールスマンのように〝原発輸出〟精を出す姿勢は矛盾だらけだ。

 

      除染を地元自治体に押しつける傲慢さ

 

 政府は623日、福島県田村市での非公開説明会で、「空気中の放射線量を毎時0・23シーベルト(年1㍉シーベルト)以下に達成できなくても一人ひとりが線量計をつけ、実際に浴びる『個人線量』が年1㍉を超えないよう自己管理しながら自宅で暮らす提案をしていたことが分かった」と、朝日新聞6月29日付朝刊が大きく報じていた。

 

環境省は「説明会での同省の発言を否定しているが、録音記録を入手しており、住民の証言もあるので、信憑性は高い。除染は端政府・東電の責任で行うと言っていた約束を反故にするもので、許し難い

 

復興予算の流用が1兆円とは……

 

 政府は201112年度に約17兆円の復興予算を付けたが、昨年秋に被災地以外への流用が2兆円ほど判明し、今年度から被災地でしか使えないようにした。

 

ところが、自治体などが管理する23基金に配られた11570億円が『抜け道』になって流用されていたことが分かった。これも朝日新聞73日付朝刊が報じたもので、「流用された基金の9割近い1142億円分が5月末までに使われたり、自治体がすでに関連予算を決めてしまったりして返還が難しくなっていた。

 

復興庁や財務省は残りの1412億円のうち412億円は『被災地に絞って使える』として1917億円分の返還を自治体などに求めることにした。

 

……そもそも復興庁は各省庁からの寄せ集めで作られ、予算作りの権限も財務省に握られたままで、『復興の司令塔』の機能を果たし切れていない」と指摘。その悪例として、「鹿児島県いちき串木野市で今月1日、男性らが水田で、ジャンボタニシの駆除作業を行っていた。

 

稲を食べる害虫で、同市は復興予算で進める『震災等緊急雇用事業費』を流用しており、7月までの5ヶ月間で約700万円も使っていた。さらに被災地の人の雇用対策ではなく、地元の人を雇っての作業だった。

既に1兆円規模の予算が被災地以外で使われ、返還請求で戻ってきた額はたった1000億円という」と記していた。

 

被災地のための復興予算ムダ遣いを見逃していた復興庁の責任は大きい。

 

(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。

 - IT・マスコミ論 , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
(世界はおもしろい)『空中大散歩』『ネットでキスの伝達』『海上竜巻の大動画』

(世界はおもしろい)『空中大散歩』『ネットでキスの伝達』『海上竜巻の大動画』 & …

no image
野口恒のインターネット江戸学講義(14)>身分制度から外れた境界・周縁・無縁の世界に生きた「漂白の民」(下)

  日本再生への独創的視点<インターネット江戸学講義(14)> &nb …

『 Z世代のためのス-ローライフの研究』★『元祖ス-ローライフの達人・仙人画家の熊谷守一(97歳)のゆっくり、ゆっくり、ゆっくり』★『小学校の時、先生はいつも「偉くなれ、偉くなれ」というので、「みんなが、偉くなったら、偉い人ばかりで困るのではないか」と内心思った』

 2023/11/12の「」百歳学入門」の記事再録 <写真は5月29日 …

『日本の運命を分けた<三国干渉>にどう対応したか、戦略的外交の研究講座⑫』『1894(明治27)年12月9日 『ニューヨーク・タイムズ』の仰天ニュース/日清戦争の未来図―「日本に世界を征服してもらえば中国もヨーロッパも悪政下に苦しむ一般民衆には福音となるだろう」.

  『「申報」や外紙からみた「日中韓150年戦争史」日中韓の …

『オンライン講座<イラク戦争から1年>『戦争報道を検証する』★戦争報道命題①「戦争報道はジャーナリズムのオリンピックであり、各国メディアの力量が問われる。★⓶『戦争は謀略、ウソの発表、プロパガンダによって引き起こされる』★『➂戦争の最初の犠牲者は真実(メディア)である。メディアは戦争を美化せよ。戦争美談が捏造される』

  2003年12月5日<イラク戦争から1年>―『戦争報道を検証する』 …

『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(22)』★『世界漫遊・街並みぶらり散歩』★『ハンガリー/ブタペスト点描』★『世界遺産としてのブタペストの街はリスボン、パリ、プラハ、ワルシャワの美質を集約した深い憂愁さが漂う』

  2017/08/26  『F国際ビジネスマンのワールド・ …

no image
「21世紀のデジタル産業革命/3Dプリンターの現状と未来ー(日本のモノづくり、製造業、職人芸は生き残れるのか)

    ●<日本の最先端技術「見える化」チャンネル(6/25 …

no image
日本メルトダウン(948)『鈴木敏文氏が語る、GMSの衰退に歯止めがかからない理由』●『 ユニー、ファミマとの統合で大量閉店の衝撃–スーパー、コンビニ以外にも大ナタ』●『MRJ、5度目の納期遅延なら致命傷になる理由』●『日銀有力OB2人が語る金融緩和「限界論」と総括検証の行方』●『世界で闘う「日本の女性」55 リスト全公開!』●『総合SNSが焦る、「スナップチャット」の猛威–フェイスブック陣営に迫る、お化けSNS』

  日本メルトダウン(948) 鈴木敏文氏が語る、GMSの衰退に歯止めがかからな …

『Z世代のための日本戦争学入門⑤』★『日米戦争の敗北を予言した反軍大佐/水野広徳』★『 日記で時局批判、ヒトラーの本質を見抜く』★『ついに執筆禁止、疎開、71歳で死亡』★『世にこびず、人におもねらず、我は、わが正しと思う道を歩まん』

水野は軍部独走の危険性を一早く指摘し、シビリアンコントロールの重要性を訴えていた …

no image
『AI,人工知能の最前線がよくわかる授業③』-『第2回AI・人工知能EXPO(4/5、東京ビッグサイト)ー『ITOUCYU×SATの衛星ビッグデータ×AIによる革新的な情報活用』★『HITACHIの「IoTデータモテリングサービス~センサデータの活用を支援する人工知能~」』★『FKAIRのチャットボット エナ、エナジーエージェント 、発電予測パーソナルAI「藤崎エナ」のプレゼン』

日本の最先端技術『見える化』チャンネル ITOUCYU×SATの『衛星ビッグデー …