『Z世代のための生き方死に方講座』★『生死一如ー 鈴木大拙師(96歳)の老生学』★『今日から明日へ、今年から来年へと、将来に希望をかけることが私の九十三歳の健康法だ』●『特別に健康のことを考えて暮らすわけではないが、過去のことは考えんな。いつも未来のことを考えておる。あれをしなくてはならぬ、これをしなくてはならぬとな』
2024/08/06

百歳学入門(171)-「生死一如・鈴木大拙師(96歳)を偲んで」記事再録
1960年(昭和35)6月、鈴木大拙は90歳で聖路加国際病院に一週間入院の人間ドックに入った。
当時の鈴木大拙は北鎌倉の東慶寺境内の松ケ同文庫で研究と執筆に没頭していたが、睡眠時間は午後十一時から朝五時までの約6時間、午後に1時間の昼寝をすると本人が記している。(日野原重明「鈴木大拙先生を偲んで」より)
人間ドックの報告書では、病状は動脈硬化性高血圧、白内障、難聴で治療を要するものは高血圧症だけだった。
90歳を超えても、ますます旺盛な執筆量となった大拙師は原稿は横になって英文で横書きし、ウォータマンの万年筆だけがインキの出がよいといって、その万年筆を常用していた。ギリシャの哲学者がコーチ(安楽椅子)に横になって哲学を論議したことから、横になると脳の循環がよくなると考え、このスタイルで執筆していた。
これも聖路加国際病院での話。
病院内で患者と医師との会があった際、たまたま居合わせた93歳の大拙師に司会者がその健康法について質問した。
大拙師はにこやかな表情で「私はただ明日のことを考えるだけだ。私は来年はアメリカで万国宗教大会があるから、それに是非出席したい。そのために、私の健康は大丈夫だろうかと思って、聖路加病院へお世話になったのです。
人間は過去のことにこだわらないで、過ぎ去ったことは忘れ去ってゆく。在るのは今日から未来へということだ。いつも未来を考えている人間が即健康を保ち得るわけだ。
もちろん、忘れがたいことも随分あるだろうが、敢えて、今日から明日へ、来年また来年と、将来に希望をかけることが私の九十三歳の健康法だ」と答えた。
鈴木大拙に20年間師事した武蔵野女子大学教授の志村武氏によると、晩年の大拙師はこう話していた。
「特別に健康のことを考えて暮らすわけではないが、わしは過去のことは考えんな。いつも未来のことを考えておる。あれをしなくてはならぬ、これをしなくてはならぬとな」
「年をとると、どうも考えがブツプツ切れてしまうわい。それをつなげるのがたいへんだ。しかも、せいぜい二時間ぐらいしか思考が続かんし、とても疲れる。プツプツ切れたままで、何とかするようにせにゃならん」
仕事への意欲が先生の生命を支えていた。百歳近くの老人になれば、まずたいていは耄碌してしまう。老齢からくる障害と戦いながら、鈴木大拙は死の前日まで前進をやめなかった。
関連記事
-
-
日本リーダーパワー史(346)●『TPP,中韓との外交交渉にも三浦梧楼の外交力に学べ②』自主外交のこれが要諦』
日本リーダーパワー史(346) 歴史的外交テクニック ●『TPP,中韓との外交交 …
-
-
最高に面白い人物史➄人気記事再録★「日本最強の参謀・戦略家は日露戦争勝利の立役者―児玉源太郎伝(8回連載)』
日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(62) 『世界史の中の『日露戦争』ー <まと …
-
-
日本リーダーパワー史(717)(まとめ/イチロー伝説)「神となったイチロー」●『イチローは「1人ビートルズ」か「国宝」?」★「イチローは現代の「宮本武蔵」なり「鍛錬を怠るな<鍛とは千日(3年)、錬とは一万日(30年)の稽古なり>
日本リーダーパワー史(717) イチローはなぜキューバで「神」なのか マ軍 …
-
-
3/11フクシマ原発事故から3年―フィンランドの 「オンカロ」(高レベル放射性廃棄物最終処分場)部長ら3人の動画会見
日本のメルトダウン(527) 3/11フク …
-
-
高杉晋吾レポート(21)ルポ ダム難民⑤超集中豪雨の時代のダム災害ー<和歌山県新宮、田辺本宮、古座川、白浜など>
高杉晋吾レポート(21) ルポ ダム難民 ⑤ 超集中豪雨の時代のダ …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(248)/『1894年(明治26)単騎シベリア横断をした福島安正大佐のインテリジェンス』「シベリアには英仏独のスパイが50年前から活動、日露戦争では英、仏、独のいずれかを味方とし援助を受けるべし』
2016/02/26日本リーダーパワー史(674)/『戦略思考の欠落 …
-
-
『 地球の未来/世界の明日はどうなるー『2018年、米朝戦争はあるのか➀』★『昨年11月末、北朝鮮「核武力完成」を宣言 ICBM「火星15」発射成功と』★『国連安保理、北朝鮮への石油精製品輸出90%を削減、追加制裁決議を採択』★『北朝鮮、平昌五輪へ選手団を派遣す
『 地球の未来/世界の明日はどうなるー 『2018年、米朝戦争はあるのか』➀★ …
-
-
近現代史の重要復習問題/記事再録/日本リーダーパワー史(293)ー『凶刃に倒れた日本最強の宰相・原敬の清貧の生活、非業の死、遺書、日記』★『原敬暗殺の真相はー「お前は「腹を切れ」といわれたのを、「原を切れ」と勘違いした凶行だった」』
2012/08/12 /日本リーダーパワー史 …
-
-
日本メルトダウン脱出法(847)『今春闘で賃金抑制なら日本の成長はない』『バフェット氏:大統領選候補者の暗い米経済見通し、「完全な間違い」』●『米専門誌が選ぶ「最高の車」、日本の5メーカーがトップ10入り』●『第2次大戦前夜にそっくり!ー米国離れが加速する世界情勢』
日本メルトダウン脱出法(847) 今春闘で賃金抑制なら日本の成長 …
-
-
日本風狂人列伝(32)日本奇人100選③、熊谷守一、宮崎 滔天、黒岩涙香、和田垣謙三、三田平凡寺、青柳有美、坂本紅蓮洞・・・・
日本風狂人列伝(32) 日本奇人100選③、熊谷守一、宮崎 滔天、黒岩 涙香、 …