前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『Z世代のための米大統領選挙連続講座⑧』★『米大統領選挙・激戦州でハリス氏僅差でトランプ氏上回る」★『トランプ氏の終身大統領の野望!?』

   

ブルームバーグ(7月31日)によると、ハリス副大統領が激戦7州の有権者支持率で共和党候補のトランプ前大統領のリードを消し去ったことが、ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルトの世論調査で分かった。
それによると、ハリス氏の支持率は激戦7州全体で見て48%と、トランプ氏の47%を上回った。統計上の大接戦となっている。撤退前のバイデン大統領はトランプ氏に2ポイントの差をつけられていた。
ハリス氏は若年層や黒人、ヒスパニック系の有権者の熱狂の波に乗った形で、アリゾナ、ネバダ両州でトランプ氏のリードを覆し、ミシガン州ではバイデン氏がトランプ氏に対して持っていたリードを2倍余りに広げた。
激戦7州の有権者の3分の1余りは、ハリス氏とトランプ氏との対決になったので、投票する可能性が高まり、黒人とヒスパニック系の有権者ではそれぞれ49%、44%に増えた。激戦州では民主党の支持層が勢い付き、投票率が伸びる可能性が示された。

●「ドリル、ベイビー、ドリル!」 (石油を掘って掘って掘りまくれ! )

一方、トランプ前米大統領は7月18日、米中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーで演説し「電気自動車(EV)普及の義務を(大統領就任)初日に終了する」「「ドリル、ベイビー、ドリル!」 (石油を掘って掘って掘りまくれ! )」と怒号、バイデン政権が進める地球温暖化対策の見直しを表明した。共和党政策方針の「速やかに達成する20の約束」の中には、「インフレを終わらせ、米国に再び手頃な価格をもたらす」、「米国を世界有数のエネルギー生産国にする」「米国を製造大国にする」、「電気自動車(EV)の義務化を中止する」などが含まれており、持続可能な開発目標(SDGs)、SDCGの反対や、アメリカ 環境保護庁の規制撤廃も盛り込んでいる。

トランプ氏の終身大統領の野望!?

さらに、トランプ氏は7月26日フロリダ州で開催された宗教団体関連のイベントで「キリスト教徒の皆さん、今回だけ投票してほしい。(終身大統領になる?)4年後にはもう投票する必要はなくなる、われわれがうまく修正し、あなた方はもう投票しなくて済むようになる?」と発言した。
ブルームバーグ(7月30日配信)の【コラム】トランプ氏「終身大統領」発言に偽りなし-オブライエン記者」にはこの謎の発言の真意を次のように解説している。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-29/SHDY5PT1UM0W00

トランプ氏は「2018年、中国の習近平国家主席について「今や終身国家主席だ。素晴らしいことだ。われわれもいつかやってみる必要があるかもしれない」と発言。「2019年には「少なくとも10年か14年間」大統領であり続けるとの夢も口にした」
「全米ライフル協会(NRA)のイベントでは、「いつまで大統領を続けるべきかとの質問を受けると、「FDR(ルーズベルト元大統領)は4期16年務めた。われわれは3期と考えられるのだろうか、それとも2期か」とトランプ氏が話すと、聴衆からは「3期、3期!」との声が上がった。」という。
以上の事実をもとにオブライエン記者は「トランプ氏がここ数年、2期務めた後も政権を握りたいと繰り返し発言している。11月の選挙で共和党が上下両院議会を掌握し、最終的に少なくとも38州の支持を得れば、憲法をいじり、大統領の任期を2期に制限している憲法修正第22条を廃止することもあり得る。トランプ氏は根本的に無法者であり、権威主義者なのだ」と警告している。
一方、バイデン米大統領は7月24日、大統領執務室から国民に向けて演説で、トランプ氏の「終身大統領」願望にくぎを刺して、国民に選択のアピールをしている。
選挙戦からの撤退について「新しい世代に引き継ぐことが前進する最善の方法だと決断した。ハリス副大統領は(検事の)経験があり、米国のすばらしいリーダーだ。
「米国の偉大なところは、王や独裁者(プーチン大統領、習近平終身国家主席ら)が統治しないことだ。国民こそが統治しており、米国の歴史、権力、理念もあなたたち国民の手の中にある」と投票を訴えた。」
この発言は「トランプ氏の「終身大統領」(王、独裁者)野望を想定し、くぎを刺して国民に賢明な選択を促したものではないかと思う。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『5年前の記事を再録して、時代のスピード変化と分析ミスをチェックする』-『2018年「日本の死」を避ける道はあるのか④』ー『日露戦争と違って出口戦略がなかった太平洋戦争の大敗北』★『今も同じ-出口戦略なし財政再建/日銀マイナス金利の失敗政策』

2013年6月12日 2018年「日本の死」を避ける道は あるか–日 …

no image
 日本メルトダウン( 988)-トランプ次期米大統領の波紋 『スティグリッツ氏警告「トランプは危険人物」―「米国経済がトラブルに陥るリスクは高い」』●『トランプ政権の威力をあなどってはいけないー「よいトランプ、悪いトランプ」を考える』●『トランプの経済政策で懸念される円安と金利上昇』★『トランプ、強硬保守とソフト路線の「バランス戦略」は成功するのか』★『トランプ氏が英国独立党党首ファラージを駐米大使に指名?──漂流する米英「特別関係」』●『トランプ氏の首席戦略官、早くも解任求める政治広告―スティーブ・バノン氏、2018年中間選挙向けTV広告の標的に』

 日本メルトダウン( 988)—トランプ次期米大統領の波紋  スティ …

no image
速報(150)『9/16福島原発<半年後の真実>⑥終ー小倉志郎、後藤政志氏に聞く。最後に新聞、メディアへの評価を聞く』

速報(150)『日本のメルトダウン』   『9/16福島原発<半年後の …

no image
『最強のリーダーシップの日本近現代史』(235)/ 歴代宰相で最強のリーダーシップは1945年終戦を決断実行した鈴木貫太郎ー山本勝之進の講話『 兵を興すは易く、兵を引くのは難しい。』★『プロジェクトも興すのは易く、成功させるのは難い』●『アベクロミクスも先延ばしを続ければ、 ハードランニング、亡国しかない』

       2016/10/31&nb …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(164)記事再録/『袁世凱の政治軍事顧問の坂西利八郎(在中国25年)が 「日中戦争への原因」と語る10回連載』●『万事おおようで、おおざっぱな中国、ロシア人に対して、 日本人は重箱の隅を小さいようじでほじくる 細か過ぎる国民性が嫌われて、対立がエスカレーとし戦争に発展した』

       2016/09/13日中韓 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(95)記事再録/『戦うジャーナリスト列伝・菊竹六鼓(淳)』★『日本ジャーナリズムの光、リベラリストであり、ヒューマニストであった稀有の記者』★『明治末期から一貫した公娼廃止論、試験全廃論など、今から見ても非常に進歩的、先駆的な言論の数々』

    2018/06/27 の記事再録 書評『記 …

no image
日本リーダーパワー史(303)原発事故1年半「原発を一切捨てる覚悟があるか」⑩百年先を見た石橋湛山の大評論を読む①

日本リーダーパワー史(303)   福島原発事故1年半―「原発を一切捨 …

no image
日本天才奇人伝⑤近代の巨人・日中友好の創始者・岸田吟香伝②荒尾精ら情報部員を支援、中国各地で情報収集

日本天才奇人伝⑤       近代の巨人・日中友好の創始者・岸田吟香伝② <陸軍 …

no image
速報(190)●『もんじゅの維持費が異常に高い理由と、世界の高速増殖炉の失敗の歴史 小出裕章(MBS)』

速報(190)『日本のメルトダウン』 ●『もんじゅの維持費が異常に高い理由と、世 …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ウオッチ⑱』『米NYタイムズ、162年目の大改革』 ◎『スマホは人間をばかにする?』 

  『F国際ビジネスマンのワールド・ウオッチ⑱』   &nb …