前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『オンライン講座・日本リーダーパワー史(1230)』-桂太郎の研究①『陸軍参謀本部を作った男』★『日露戦争を勝利に導いた戦時宰相』

   

・薩長藩閥の歴史

<以下は「航空とスキーの先駆者・人間長岡外史」(戸田大八郎文、長岡外史顕彰会発行 1976年刊)など参照>

明治政府は薩長土肥によって創設されたが、薩長はやがて土佐と肥前の勢力を駆逐して、それぞれ自分たちの勢力を固める。山県有朋を頂点とする陸軍の首脳部は、長閥、学閥、兵科閥、門閥、それに政略結婚みたいな閏閥までつくり上げて勢力を伸ばし、ことごとに排他的である。

 それまでの日本の陸軍は、徳川幕府の末期から明治初年に至るまで、フランスから多数の御傭を招聴していた。

日本の陸軍がフランス式からドイツ式軍制に改革した動機は、一八七〇年(明治三年)から翌七一年にかけての普仏戦争で、フランスが敗れたためだ。

その改革の主役を演じたのが桂太郎だ。桂は児玉源太郎、寺内正毅、山口素臣とともに大阪兵学寮に在官していた。かれは「病気」だと届けて学寮を退学し、横浜太田村の語学所でフランス人から仏語を学ぶ。

そして明治3年、私費でヨーロッパに渡った。二四歳の時である。

 桂は弘化(こうか)4年11月28日生。萩藩(山口県萩市)の大組馬祖役、一二五石とりの与一右衛門の二男。かれは維新前に官軍として末戊辰戦争に従軍。奥羽同盟軍の平定作戦に闘い、明治2年、明治政府から永世禄二五〇石をもらった。この永世禄二五〇石というのを売って旅費と学費をつくった。明治のこのころ、二〇代の青年がヨーロッパ留学ができる金を得られたのも幸運だが、早くから海外に眼をつけていたことがこのチャンスを掴みえたのであろう。

 ロンドンに着いたとき、パリへの旅は戦争で閉されていた。かれはフランスを断念し、直ぐベルリンに行きドイツで勉強する決断をする。これが日本陸軍のドイツ化のきっかけとなる。私費だから転換するのも早い。桂と同行した大山巌、板垣退助、品川弥二郎の三人は官費出張だから目的のフランスへ行く外ないが、かれらは敗戦のフランスを視ただけであった。

 桂は前後三回ドイツに渡ってドイツ軍制、兵制を徹底的に研究した。「迅速にドイツ式の軍制に改むべし」と桂は主張した。だが日本ではドイツ語の通訳がいない。東京大学医学部に、司馬凌海という人と、ほかに遠藤憤司という人がいた。大山巌、西郷従道、谷干城、三浦梧楼、鳥尾小弥太ら陸軍の幹部はフランス依存であり、山県さえも 「我輩もドイツ式の軍制に改めるのが必要だと気付いている。じゃがドイツに教わるには必要なドイツ語に精通している者を得ることが困難じゃからねー」といっていた。 

 桂のドイツ化に賛成者は意外にも軍人でない政治家にいた。参議の伊藤博文である。伊藤が「憲法及制度観察、研究ノ為」 ヨーロッパに差し遣わされたとき、かれはドイツに傾注した。日本の憲法はドイツ憲法を参酌して制定する、というのが伊藤の結論である。

 桂は明治11年7月に帰朝し「軍制をドイツ流に改組すべし」と上層部の考慮をうながしたが、それが決定するまで年月がさらに必要であった。

つづく

 

★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日本側が伝えた日英同盟の分析」⑤『機密日露戦史』谷寿夫著より』日露協商か、または日英同盟か』★『桂太郎首相の意見は、ロシアは満州の占領のみで最終とするものではない。満洲が手に入れば韓国にもその手を伸ばす、結局、日本が手を出す余地がなくなるまで、その侵略はやまないであろう』

https://www.maesaka-toshiyuki.com/person/21680.html

 

 

 - 健康長寿

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
「5年ぶりリバイバル公開」/「鎌倉海遊び、あの懐かしき夏の日/鎌倉カヤック釣りバカ日記(6/4)『キスなし、カワハギ爆釣,青い、静かな海で最高に ハッピーな瞬間だよ』

鎌倉カヤック釣りバカ日記(6/4)『キスなし、カワハギ爆釣,青い、静かな海で最高 …

百歳学入門(149)『百里を行くものは、九十里を半ばにす』 ●『心は常に楽しむべし、苦しむべからず、身はつねに労すべし、 やすめ過すべからず』貝原益軒) 』●『老いておこたれば、則ち名なし』●『功のなるは、成るの日に、成るにあらず』●『 咋日の非を悔ゆるものこれあり、今日の過を改むるものすくなし」(佐藤一斎 )

 百歳学入門(149) 『百里を行くものは 九十里を半ばにす』戦国策 …

『Z世代のための米大統領選挙連続講座①』★『バイデン大統領(81歳)対トランプ前大統領(78歳)の「老害・怨念デスマッチ」

材木座通信24/07/09pm600影絵の富士山とウインドウサーイン 2024/ …

『100歳以上の高齢者 全国で9万9000人余 で55年連続で過去最多』★『日本は世界一の百歳長寿者大国で、2位の米国の約2倍、3位の中国の3倍。ヨーロッパ各国の6倍』

「敬老の日」を前に厚生労働省12日までのまとめでは、全国の100歳以上の高齢者は …

人気リクエスト再録『百歳学入門』(233) -『昭和の傑僧、山本玄峰(95歳)の一喝!➀」★『法に深切、人に親切、自身には辛節であれ』★『「正法(しょうほう)興るとき国栄え、正法廃るとき国滅ぶ」「葬儀は絶対に行なわざること」(遺書)

    2012/06/01  記事再録 百歳学入 …

『オンライン講座/日本歴代最高の戦略家は誰か>「日清・日露戦争の勝利の方程式を解いた川上操六(陸軍参謀総長、日本インテリジェンスの父)ですよ(1回→46回一挙大公開①

★日本リーダーパワー史(579)◎(再録)<日本歴代最高の戦略家>「日清・ …

百歳学入門(27)お笑い・ジョークこそ長寿の秘訣・内田百閒の『一笑一若、一怒一老』は超おもろいよ

百歳学入門(27) お笑い・ジョークこそ長寿の秘訣・内田百閒の 『一笑一若、一怒 …

『Z世代のための百歳学入門』★『玄米食提唱の東大教授・二木謙三(93歳)の健康長寿10訓』★『1日玄米、菜食、1食のみ。食はねば、人間長生きする』★『身体と精神の健康は第一に欲を制するにあり、食べなければ頭がより働く』

2012/11/05 百歳学入門(54)記事再録再編集 玄米食提唱の東大教授・二 …

no image
記事再録/知的巨人たちの百歳学(141)-民俗学者・渋沢秀雄(90 歳)の「健康長寿10訓」『一怒一老、一笑一若』『少肉多菜 少塩多酢 少糖多果 少食多齟 少衣多浴 少車多歩 少煩多眠 少念多笑 少言多行 少欲多施』です。

知的巨人たちの往生術から学ぶ③ 前坂 俊之     朝日の[ …

no image
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争カウントダウン』㉛『開戦32日前の「英タイムズ」の報道―『日英同盟から英国は日本が抹殺されるのを座視しない』●『『極東の支配がロシアに奪われるなら、日英同盟から英国は 日本が抹殺されたり,永久に二流国の地位に下げられる のを座視しない』』

  『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争カウントダウン』㉛ …