「オンライン決定的瞬間講座・日本興亡史」⑬」★『国会議員63年間のギネス政治家・尾崎行雄(96歳)の「昭和国難・長寿逆連突破力』★「日本盛衰の原理はー売り家と唐様で書く三代目」で不敬罪で82歳で起訴される』
第5章―国会議員63年間のギネス政治家・尾崎行雄(96歳)
ますます、グローバリズムの大波に翻弄されている日本で、今一番必要とされるのは、国際的に通用する政治家であろう。1890年(明治23)7月、日本での第1回衆院選挙から連続当選25回、1953年(昭和28)までの63年間にわたって議員生活をおくってきた尾崎行雄(咢堂)はその生涯を民主政治と世界平和の実現にささげた世界で最も長い国会議員としてギネス政治家に認定された。「人生百年時代」を前にわが国のシンボル的政治家として注目を集めています。
尾崎行雄(咢堂)は1858年(安政5)12月、相模国津久井県(現・神奈川県相模原市)に生まれた。板垣退助、後藤象二郎らが「民選議院設立建白書」を提出した1874年(明治7)に、尾崎は慶應義塾に入学、福沢諭吉に学び一年半で退学し自由民権運動に身を投じた。福沢の紹介で新聞社主筆となり、1882(明治15)年、大隈重信を総裁とする「立憲改進党」の結成に、犬養毅らと共に参加して各地を遊説し雄弁家として一躍名前をあげた。
1884年(明治17)年秋、25歳で、報知新聞特派員として清国(中国)にわたり、上海に約2ヵ月間滞在して取材にあたったのです。
尾崎の「征清論」(日中開戦論)と福沢の「脱亜論」の共通性
当時、日中間は朝鮮をめぐり対立が深まっていました。1882年(明治15)7月、朝鮮宮廷内のクーデターで日本公使館が焼き討ちされた壬午事変(日本人犠牲者数十人)が発生、朝鮮の宗主国清国の袁世凱軍が出動し鎮圧した。明治17年には親日派の朝鮮独立党がクーデター「甲申事変」を起こしたが、これまた袁世凱がわずか3日間で鎮圧し、日中間の対立はピークに達した。清国視察から帰国した尾崎は報知新聞に「征清論」(日中開戦論)を掲げたのです。
「中国の実体は無力、無秩序にもかからず、中国人は尊大自負(中華思想)で、一方の日本人は過度な中国崇拝に陥っている。両国の認識ギャップを埋めるためには一戦を交えよ」と主張した。しかし、この征清論は当時、一笑にふされ、熱心に唱えた尾崎はクレイジー扱いされた。
この10年後の1894年(明治18)3月16日に福沢諭吉が「時事新報」の社説に「脱亜論」(中国・朝鮮の悪友と交際を謝絶す」を展開した。
「日本のみがアジアで唯一、文明開化している。清国と朝鮮はかたくなに古来の習慣に固執しており、明治維新のような変革ができなければ数年のうちに亡国するであろう。日本は西洋の文明国と行動をともにし、アジア東方の悪友(中国、朝鮮)とは交際を謝絶するつもりなり」といった内容です。
さらに、この十年後の1894年(明治27)7月に日清戦争が起ると、日本軍は大勝し、福沢の弟子たる尾崎のインテリジェンス(見透し、洞察力)が正しかったことが証明された。尾崎は1901年(明治34)11月号「中央公論」にも「支那滅亡論(清国に政治的能力なし)」、「なぜ税関役人はすべて外国人か日本人なのか?」を掲載しています。(尾崎咢堂全集第4巻に収録1955年刊)
この中で、「愛国心、戦闘力、政治能力の三つが国家発展の基であるが、清国にはその何れもないので滅亡への途をたどらざるを得ない」と結論した。その後の中国の植民地化への転落をみると、まさしく尾崎、福沢の予言通りで、両者のインテリジェンスの高さに改めて驚きます。
歴史は繰り返すといわれる。辛亥革命から100年目となった2010年に尖閣諸島の領有権をめぐって日中間が激突、南シナ海全体の争いにエスカレートし、いまや米中貿易関税テクノ5G戦争にまで発展しているが、習近平国家主席の唱える『中国の夢』『一帯一路』なるものは古来からの強権主義、中華思想(「華夷秩序」、エストセントイズム(自民族優先主義)の繰り返しなのです。
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さて、尾崎のその後をたどると
後藤象二郎らと藩閥政治打倒で戦っている最中の1882年(明治20)の保安条例により東京退去を命じられます。以前から欧米先進国を見聞したいと考えていた尾崎はこれ幸いとばかり米国・英国を約2年間にわたって外遊した。1889年(同27)2月、大日本帝国憲法発布時の国会開設と恩赦により保安条例による退去命令が解除されると同年12月に尾崎は帰国した。
尾崎は犬養毅とともに衆議院選挙で初当選、以来、60有余年の明治、大正、昭和の三世代にわたって自由民権の確立、封建思想の打破、藩閥政治打倒をかかげて常に民衆の側に立って、権力の弾圧にも屈せず、戦ってきた筋金入りの民権政治家です。
日本敗戦後の1946年(昭和21)8月24日、新憲法が上程された第九十臨時議会で、最古参の議員として「明治維新はなぜ起きたか、明治の指導者は知識が豊富だったのか」と題して20分にわたり演説しています。
尾崎(当時88歳)は古ぼけた手提げの皮カバンと聴音器と虫眼鏡を持って演壇に立ち、御座なりな祝辞などは1言も述べず、簡単に憲法改正に賛意を表してから、痛烈な皮肉と軽いユーモアを交えながら議員の耳に痛い忠告を連発した。
「当時(明治から昭和の終戦まで)の日本には民主主義などという思想は少しもない。うかつにこれをいえば直ち牢屋に入れられた時代であった。藩閥全盛の総理大臣、行政府の首脳は、門閥か、薩長藩閥か、軍閥か、あるいは官僚閥の外は、これまで50回近く首相がは替わったが、民選議員で総理大臣になったのは犬養毅君より外はない」
「明治維新を実現した指導者たちは皆現在の諸君(昭和21年の国会議員)と比べれば知識、経験いづれも欠けている若い青年であります。西郷・大久保などはやや年がいっていましたが、40、50代の者はなく、大抵20代、30代で、彼等の知識、識見などというものは諸君に比べて決して優っておっものではない。維新が実現できたのは識見が高いのではない、知識が多いのではない、抱負があったからであります。国家を背負って自ら高く任じておったからである」
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憲法で国が救われるならば、世界に滅亡する国はありませぬ。
「良い憲法さえ作れば国が良くなるなどという軽卒な考えは非常な間違いである。憲法で国が救われるならば、世界に滅亡する国はありませぬ。良い憲法を作ることはまことに容易なことである。しかしこれを行うことは非常にむづかしい。
元来、民主主義というものは、申すまでもなく官尊民卑の弊習が骨随いまでしみ込んでいるところのわが国、国民においてはよほど、行いにくい事柄であります。良いことを言うことは誰にでもできますが、これを実際に行うことは非常に困難である・・」さらに続くが、これは現憲法の施行時の雰囲気を知るには絶好のスピーチであり、私のHPその尾崎のスピーチ全文を掲載しているので読んでいただきければありたいと思います。
http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/33650.html
さて、話をまたもどします。尾崎は1906年(明治39)には、尾崎三良(さぶろう)とイギリス女性との間に生まれたテオドラ夫人と再婚した。尾崎は英国や米国での海外生活、外遊経験が長く、西欧諸国の政治、社会史への造詣を深め国際的な視野のある政治家に成長していきました。
尾崎がその本領を発揮したのは、大正期のいわゆる大正護憲運動で、「彼らは口を開けば忠君愛国をとなえるが、常に玉座の陰にかくれて政敵を狙撃する」と火を吐くような桂太郎内閣弾劾演説を行い、藩閥政治の象徴だった同内閣を総辞職に追い込んだ。以後、犬養と並んで「憲政の二柱」と讃えられ、以後の大正デモクラシーの一翼を担っていったのです。
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