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世界/日本リーダーパワー史(963)ー2019年は『地政学的不況』の深刻化で「世界的不況」に突入するのか』②『米中貿易戦争は軍事衝突に発展する可能性はないのか?・』

      2019/01/15

 世界/日本リーダーパワー史(963)

  • 米中貿易戦争は軍事衝突に発展する可能性はないのか?・・

前坂 俊之(ジャーナリスト)

 

トランプ大統領は昨年12月31日、アジア諸国との安全保障や経済面の包括的な協力強化を盛り込んだ「アジア再保証推進法」に署名した。台湾への防衛装備品の売却推進やインド太平洋地域での定期的な航行の自由作戦を盛り込み、中国をけん制した。これは3月1日期限の米中貿易協議を見据え、政権と議会が一体となり、中国に圧力をかけたもの。特に、中国が台湾統一を強調しており、今後、中国の脅威がさらに高まるとみて、防衛装備品の定期的な売却や米政府高官の台湾訪問の推進も盛り込んだ。

これに猛反発した中国の習近平国家主席は3日後の今年1月2日、初の台湾政策演説を行い、台湾側に経済協力を呼びかける一方、統一に向けて「武力使用は放棄しない」と言明し、米国による介入をけん制した、米中貿易戦争と並行して台湾海峡を挟んだ軍事緊張が高まっていることは間違いないね。

その点に関して、米国の外交専門家のカイトリン・タルマージ米ジョージタウン大学准教授(政治学)は「専門家の多くは、米中核戦争はあり得ないと考え、想定外のシナリオとみているが、そう思い込むのは考えもの。台湾をめぐる軍事対立が核戦争へとつながっていくリスクは、予想以上に高い。」(『米中核戦争は絵空事ではないーなぜエスカレーションリスクが高いのか』(「フォーリン・アフェアーズ」2018年12月号)に興味深い論文を書いている。

それによると、最大の問題点は、中国が通常戦力と核戦力を渾然一体として配備しているためで、通常戦力だけを限定的に叩くのが難しいことにある。

つまり、中国の通常戦力を叩く米軍の軍事行動は、相手の核戦力も脅かしてしまう。通常兵器だけでなく、混在した核兵器も攻撃されたので、中国側はまだ使える状態の核兵器で米空軍基地に対して先制使用する恐れがある、というもの。

このリスクを低下させるには、米中は軍部問の公式のホットラインがあるが、さらにいろんなチャンネルを増やし、米中で踏み込んだ対話を試みれば、有事に際してエスカレーションを食い止め交渉できるような関係を構築することができるというものです。

 

これに付随して言及すれば、今回の日韓のレーダー照射問題はエスカレートして、両国間で動画を公開して、「やった」「やらない」「証拠を出せ」「でたらめだ」と対立がますます深まっている。

こうしたケースのエスカレーションが引き金になって偶発戦争が起きるのです。タルマージ准教授の指摘しているリスクを軽減するためにこそ、平常での両国のいろんなチャンネル、パイプが必要なのです

。これが日韓、日朝関係の歴史認識のねじれによって、「(西欧との話なせばわかる大人の関係」ではなく「中国、韓国の話してもわからない関係」から成熟できず、コミュニケーションギャップ、感情対立(パーセプションギャップ)が延々と続いている。

 

今回、自衛隊で証拠としてビデオ動画を最初に公開したのは一歩前進です。裁判では物的証拠が決め手となるように、証拠の「見える化」ビデオ動画を公開して論争すれば、水掛け論、感情論から合理的な証拠に基づいての論争になる。北朝鮮の核開発の証拠は「偵察衛星による写真」の撮影、検証で行っているように、科学的、理づめにやるべきで、プロパガンダかどうかは動画を見ればわかる。

 

 それでは問題の3月1日期限の米中関税協議はどうなるか?

 対中国政策のシナリオライターはピーター・ナヴァロ大統領補佐官です。彼は「中国は世界貿易の最大のペテン師で、米国にとって最大の貿易赤字国。国家主導の中国の産業政策に全面的な転換を促す」と主張するトランプ政権きっての対中強硬派です。そのナバロ氏は2018年12月20日のAPECの時点で「3ゕ月以内の合意は険しいが安易な妥協をしない」とインタビューで語っている。3月1日までに米国側を納得させる中国の改革策が出なければ、米国は2千億㌦(約22兆円)分の関税を.10%から25%に引き上げる、わけです。

そのピーター・ナヴァロ氏は

①2001年に米国によって加盟した世界貿易機関(WTO)のルールを守っていない。

②15年に中国が表明した南シナ海の軍事化や知的財産の侵害を否定する約束も破った。

➂15年、オハマ大統領(当時)との首脳会談で産業スパイやサイバー攻撃をしないと取り決めが、これまた破ったなど、「中国は約東を破ってきた長い歴史がある」

④「中国製造2025」は知的財産権の侵害、窃盗、サイバー攻撃やスパイ活動などの53項目の不公正慣行を挙げ「ほぼ全てがWTO違反だ」と非難して、ファーウェイ製品など一部の中国製通信機器を排除しに踏み切ったのです。

 

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