『リーダーシップの日本近現代史』(262)/ 『明治陸軍の空前絶後の名将・川上操六参謀総長④『徳富蘇峰による人物評「細かいことに気のつく人は、大きいことには気がつかぬが、川上大将はよく大方針(日清戦争の勝利、日露戦争の準備)を定め、有能な人物を適材適所に用いて縦横無尽に活躍させて<坂の上の雲>を達成したリーダーパワーは傑出していた』
・
明治陸軍の空前絶後の名将・川上操六論④・
しかしそのタイプの人は必ずしも堂々たるものではなく、時としては普通以下の小男もたまたま見受くることがある。例えば野津元帥の如きがそれである。中井桜洲山人(なかいおうしゆうさんじん)の如きもまたそれである。大浦兼武子、伊瀬知好成(いぜちよしなり)男の如きもそれである。川上大将もいずれかといえばそのタイプであった。
当時の内閣は、和戦いずれとも決せず、川上参謀次長は、内閣を引摺らて、是非とも戦争まで持って行こうというつもりであったらしく、そのためわれらにも少からざる良き種を供給した。従って川上大将によって、予は当時の参謀本部の有用なる人物に紹介せられた。土屋光春、福島安正、東条英教などというような人々も、その機会に知ったのであった。そのはか、他日は大将になった連中が、大尉や、中尉でいた者もすくなくなかったが、それらの人々とも、いつの間にか友人となった。
川上大将は頗る思い遣りの深き男であった。故上遠野富之助君は、東京で新聞記者をしているうちに、しばしば川上大将を訪うて、種をとっていた。しかるに君は実業家となって名古屋に赴いた。明治二十七年九月十三日、天皇陛下が大本営を広島に移し給う時に、名古屋に御1泊遊ばされ、当時名古屋の官民は、いずれもこれを奉迎した。しかるに川上大将は、その奉迎の人々の中から、上遠野君を見出し、わざわざその近くに立寄って、挨拶をなし、久闊の情を述べた。
これがために上遠野君が如何にその面目を名古屋人士の間に施したか。あるいはこれによって君が名古屋に於ける位置は、一層高くなったということができなければ、若干確実になったことは、間違いあるまい。かかる例はいくらもある。彼は実にかゆいところに手が届く男であった。
また当時、国民新聞記者として、久保田米倦(べいせん)画伯が、朝鮮に赴き、平襲陥落の後、広島に来るや、川上大将の紹介によって、愈々大本営に赴き、御前揮竜をなすことができた。而してそれができた後には、大将はわざわざ米債画伯を招き、さらに祝宴を挙げた。かくの如く、苛も1芸1能ある者は、悉く彼より認識せられたが、特に彼に感心すべきは、1芸1能なき老までも、苛も彼に近付く者は決してこれを粗末にしなかった。
とにかく何人も彼の下につくものは、喜んでその仕事をなし、自ら労して、その労を忘れしむるほどであった。彼はまた薩摩人としては珍しく、金銭に淡泊であった。され彼は日清戦争は、恐らくはなんらの貯蓄などというものはなかったであろう。日清戦役に大功を奏し、一躍金鵄勲章二級を賜い、子爵を授けられ、少からざる恩寵を悉くし、ようやく一人前の将官らしき生活ができたが、それでも死する時は余財豊もなかったということだ。
関連記事
-
-
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』< 日本メルトダウン(1060)>★『週刊ニューズウィーク日本版 』特集『2050 日本の未来予想図』★『『日本を待ち受ける2つの未来』<中国の機嫌をうかがう衛星国か、平等な世界における中堅国になるか>』★『先進国陥落は間近!戦後幻想の終焉(デービッド・アトキンソン)』★『座して死を待つ<自死>の国/日本の惨状!終焉のベルはなる』
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 日本メルトダウン(1060) …
-
-
『オンライン/ベンチャービジネス講座』★『日本一の戦略的経営者・出光佐三(95歳)の国難・長寿逆転突破力①「順境で悲観し,逆境で楽観せよ」★『金・資本・知識・学問・会社、組織の奴隷になるな!』★『私は目が見えなかったために本など読まず、自分の頭で考え抜いた』
戦略的経営者・出光佐三(95歳)の国難・長寿逆転突破力   …
-
-
『F国際ビジネスマンの『世界漫遊・ヨーロッパ・カメラ・ウオッチ(16』★『オーストリア・ウイーンぶらり散歩⑥』(2016/5) 『世界遺産/シェーンブルン宮殿』その広大な庭園に驚く(上)」★『6才のモーツアルトが女帝の前で演奏し、アントワネットと遊んだと言う逸話がある』
2021/11/26 『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(173) …
-
-
新刊発行・ビジアル版『明治・大正・昭和 近代日本の1000人―維新から終戦までエピソードで読む人間ドラマ』世界文化社 2800円 2010年8月刊
新刊・ビジアル版『明治・大正・昭和 近代日本の1000人―維新から終戦までエピソ …
-
-
世界/日本リーダーパワー史(966)ー『トランプ大統領弾劾問題と米中テクノナショナリズムの対立(上)』★『トランプとロシアとマフィアの三角関係』★『政治ショウ化した弾劾裁判のむつかしさ』
世界/日本リーダーパワー史(966) トランプ大統領弾劾問題と米中テクノナショナ …
-
-
原子力市民委員会『原発ゼロ社会への道―市民がつくる脱原子力政策大綱』発表記者<-4月12日(土)日比谷図書文化館 スタジオプラス
原子力市民委員会 『原発ゼロ社会への道――市民が …
-
-
『中国紙『申報』など外紙からみた『日中韓150年戦争史』㊺ 「日清戦争の勃発はロシアの脅威から」(英『タイムズ』)
『中国紙『申報』など外紙からみた『日中韓150年 戦争史』日中韓の …
-
-
片野勧の衝撃レポート(68) 戦後70年-原発と国家<1957~60>封印された核の真実 「戦後も大政翼賛会は生きていた,「逆コース」へ方向転換(上)
片野勧の衝撃レポート(68) 戦後70年-原発と国家<1957~60> 封印され …
-
-
リモートワーク/鎌倉カヤック釣りバカ日記(2020/5/27/730)–魚クンが遊びに来ないときは、まき餌をしながら浮雲と波のデザインを楽しむ、そのうち「ドーン」とさかなクンが遊びに来るよ』★『逗子マリーナ沖で大カワハギ(28センチ)、大サバを連発、6月のベストシーズンへ』
リモートワーク/鎌倉カヤック釣りバカ日記(2020/5/27/730)̵ …
-
-
日本リーダーパワー史(132)空前絶後の名将・川上操六(21)長崎事件の発端は何か
日本リーダーパワー史(132) 空前絶後の名将・川上操六(21)長崎事件の発端は …
