★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」-「日英同盟の影響」⑧ 1902(明治35)年2月20日『タイムズ』『ロシアが支配した満州』/『米国は満州の公平な門戸開放を要求』★2月25日『タイムズ』ー『三国干渉を『臥薪嘗胆』して、敵愾心を抑えたのは日本の政治家と国民の賢明な愛国心だった。』/『日本が侵略的だとか,そうなろうとしているとか想像する理由は少しもない』
2016/12/01
★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」-
「日英同盟の影響は」⑧
1902(明治35)年2月24日 1902年2月20日『タイムズ』
『ロシアが支配した満州』ー『米国は満州の公平な市場参入を要求』
サンクト・ベテルプルグ 2月18日
ロシアの新聞は英日協約の論評に引き続き最大限の慎重さを見せている。ごくまれな例外を除いては,ペテルプルグの各紙は,外国,特にドイツの新聞の見解を再録するにとどめている。
これまでに現れたロシアの批判で最も重要なものは,2日前の取引所報知紙の批判だ。同紙は,この同盟自体への論評に続き,ランズダウン卿とクランボーン卿の趣旨説明の演説を批判しており,英議会で満州問題に言及されたことに大いに不満とし,同問題の存在自体をイギリス国民が忘れるよう勧告している。
取引所報知紙によれば,満州の将来は,東清鉄道建設の開始とともに明白になったのであり,ロシア政府が去年,中国側がロシアの政治的・商業的利益を守る旨の保障を与えるまで.ロシア軍は満州にとどまると発した際,決定済みとなったという。
同紙は英日同盟とロシアの満州における立場との間に,少しでも関連があると想像するのは「誤解」だとし.それはロシアだけの問題で,同質が中国との協定により解決するだろうし,ランズダウン卿と林男爵が調印した条約になんら影響されるものではないと述べている。
ワシントン 2月19日
今月1日、へイ氏はロシアおよび中国政府に対し,満州における立場に関し,国務省から以下の通告を行った。
「中国が協約により外国の法人ないし会社に対し.鉱山採掘鉄道敷設そのほか満州の工業開発の一切について,排他的権利や特典を与えることには,合衆国政府は最も重大な関心を抱かざるを得ない。それは独占を構成して,中国と諸外国が結んだ諸条約の規定の明白な違反となり.アメリカ市民の権利の重大な侵害となる。
それは同市民の正当な通商権を制限し,これを差別,妨害,その他の危険にさらすものであり,一方においては.同地方における中国の主権を恒久的に阻害する可能性が強く.また同国が国際的義務を果たす能力に重大な妨害となる。
さらに,中国がこうした譲歩を与えるならば,他の列強も.同様ないし同等の広範なる利権を中国のその他の地方において要求することになるのは間違いなく,その結果,中国内において,すべての国に,通商.航海,商業に関し絶対的に平等な待遇を与えるという政策が完全に破綻することが不可避となろう。
半面,1国が,その国籍の企業のために,こうした排他的な特典を得ることは,合衆国政府が唱え,中国に通商利益を持つすべての締約国が認めている門戸開放政策を順守すると,ロシア外務省がくり返し本政府に行ってきた保障と矛盾する。
これらの理由から,合衆国政府は,今,以前と同様,全世界に対し,万国に平等な権利と利益を与えるという基礎に立った中国とすべての国との,全面的かつ公正な関係の恩恵を確保せんとの誠意ある願望に鼓舞されて,以上のことを中国とロシアの政府が真剣に考慮するよう具申するとともに,両国政府がその重要性をしかるべく勘案し,合衆国の正当かつ当然の不安を取り除くだろうと確信するものである」
1902年2月25日『タイムズ』
『日英同盟の成立』
①三国干渉を『臥薪嘗胆』して、敵愾心を抑えたのは日本の政治家と国民の賢明な愛国心だった。
②日英同盟の交渉を始めたのは伊藤博文首相で,大勢の有能な外交官の中から特に林董男爵を起用したのが成功した。
➂ロシアの圧政が原因で満州自体の治安が悪化し、匪賊(馬賊)のテロの抵抗が増えており,ドイツが
直隷支配でも同じ失敗をしている。
④満州で営業している大勢の日本の商人が純粋に民間人かと,ロシアが疑っている。だが日本が侵略的だとか,
またはそうなろうとしているとか想像する理由は少しもないと,われわれは信じる。
英日同盟が日本の全階層の人々にとり.われわれにとってと同様,歓迎すべきなのは当然であり,また.同国の実業家が特に満足しているのも当然のことだ。
わが東京通信員によれば,彼らが同盟締結の全国的な祝賀の音頭をとっており,その準備が日本の主な町々で進められている。彼らが特に満足の意を表しているにはもっともな根拠がある。
平和こそ,すべての国の実業界が特に重視する第1関心事であり.日本の実業界も世界中のほとんどの識者と同様. 新同盟が平和の保障となると信じている。
その認識が満足の意をことさらに強めている事情が日本の現在の商工業にはある。同国の経済的進歩は驚くほど急速だったが.それは思慮と情報を備えた日本人自身が危険と認めるほど,余裕の乏しい資本に基づいて達成されてきたのだ。
潜在的な経済危機にそれほど遠くない状態が日本ではここしばらく続いており,決して終わっていない。
戦争になれば信用混乱は避けられず,最終的に有利な決着がついたとしても,才腕と創意で育て上げ,将来に大きな収益が有望視されている通商繁栄のデリケートな構造を重大な危険にさらすことになろう。
この繁栄構造を築き上げ,その万全に私財がかかっている人々が,これまでその上に垂れこめてきた主たる危険をはっきりと減ずるできごとを祝うのは当然だろう。
三国干渉のトラウマ
日本は1895年とそれ以降の事件を忘れていない。ロシアは同盟国とともに,強力な1国が遼東半島を所有するのは極東の平和を危うくするという口実で,日本が戦い取った同半島を返還させた後,自ら占領したが.その行為に当然触発された感情を抑えたのは,日本の政治家と国民の賢明な愛国心だった。
だがその感情は消えず,若年層や短気な分子の中に不穏な状態として残り,1
度「不測の事態」が起これば,手に負えなくなったかもしれなかった。
イギリスとの同盟はこの危険をほぼ消滅点にまで低下させ,日本国民に新たな自信と安定感を与えるものだ。
同盟のおかげで,日本国民は列強連合(ロシア、ドイツ、フランス)による1895年のつらい経験を二度と再び味わわずに済む。これからは.極東の問題解決にあたり,日本の発言がしかるべき重みを持つことが保障される。
ヨーロッパ大陸で,これと若干似た状況下に,ある同盟が締結され,鎮静的な効果をあげるのを,各国が満足をもって見守ったことがある。
フランスが世界で孤立していた際,その孤立感が一般的な平和に絶えざる脅威となっていたが,同国に同盟国ができてからは,かたくなな嫉妬深い態度を捨て,力の自覚から来る落ち着いた穏健外交を行った。
本紙通信員によれば,伊藤博文侯爵の帰国大歓迎会が準備されている。国民が彼を対英同盟の真の起草者と見ているのは正しい。
確かに,彼は実際の協約締結に直接参加しなかった。彼は今、公職に就いておらず.当然ながら,交渉を最終段階では後任者と,敏腕な駐英公使(林董)にゆだねていた。
だが,首相として9か月前にこの交渉を始めたのは彼であり,大勢の有能な外交官の中から特に林董男爵を,対英協力政策推進に最適の人物として起用したのも彼だった。
結果はその人遠の正しさを十分に証明した。林男爵は見事な根気,分別,機転をもって仕事を成し遂げた。なかんずく,英日同盟の利点と可能性に最初に気づいたのが伊藤侯爵だった。
彼が首相だった1895年,ドイツは卑屈にもロシアの誘いに従い,また旧敵のフランスともども,同国に加担して,日本を中国から追い出した。
ローズベリ卿は賢明にもイギリスがそのたくらみに加担するのを拒絶したが,伊藤侯爵はその拒絶の意義を機敏に理解した。
そのときから,彼はイギリスとの了解こそ日本の政策の基礎となると見た。
ローズベリ卿の後任者らが,卿の踏み入った道を進んだのも立派だった。両国の了解は着実に発展し,中国内の騒乱を機に成熟した。
その結果,ランズダウン卿の送達文によれば,極東における両国の政策に「相違がない」ことが証明された。
残されたのは,両国が拘束力のある協定によって,その政策を維持するのに必要な措置をとることを誓約し,それにより,他の諸国に英日両国の真意を誤解させるような疑念や不審を解消することだけだった。
これは英日両国政府により達成された。
だが日本政府が退陣を免れたのは,肝心なときに伊藤侯爵がロンドンから電報を打って.助け船を出したからだ。彼は内閣を襲った危機を回避し,内閣の財政案を自らの覚がつぶそうとしていたのを,容認するように導いた。
彼が最近ヨ一口ッパ主要国の首都を歴訪したのは,協約締結と全然無関係でなかったのも明白だ。その歴訪が締結につながったゎけでなく,それは原則的にはずっと以前に決定済みだった。だが,皇帝の信頼が特に厚い伊藤侯爵が,ヨーロッパ視察の結果として,締結反対を報告していたら.日本皇帝が裁可を与えなかったことは間違いない。
日本国民が直感から,伊藤侯爵を,対英同盟の基礎を築き.またその実現を熱心に見守った人物として顕彰しようとしているのは,まことにもっともだ。
彼は偉業の達成にあたり有能かつ忠実な部下を持ったが.建築家は彼であり,建物の完成の功績の大半は彼のものだ。
本紙北京通信員は牛荘を休暇で訪れたところ,そこで満州の現状に関し,多くの情報を集めた。彼は.イギリスの資本で建設され万里長城の北へ延びる鉄道が劣悪な状態にあると報じているが,これを見ても,ロシアが遅滞なく約束を守って,同線を法律上の所有者に返すことがいかに望ましいかが分かる。
同通信員によれば,満州自体の情勢も決してよくないと言われているそうだ。匪賊が増えており,これはフォン・ヴァルデルゼー伯爵が中国が自国内の治安を維持するのを許さないという失態を犯したのを,ロシアがくり返していることの必然的な結果だ。
ロシアが満州で治安維持ができないのは,ドイツが直隷でできないのと同じで,ペテルプルグからの報道から推察されるように,匪賊はロシア軍の作戦行動の口実となっている。
この慢性的な動乱状態に終止符を打っことは,当然すべての当事国のためになる。
ランズダウン卿は去年,ロシアと中国が満州に関し結んだ取決めを,口やかましく,もったいぶって,あげつらうつもりはないと断言し,わが国が望むのは,自国の条約上の諸権利の尊重と.ロシアがその優越的な地位を利用して,わが国およびわが国につながる諸国に害を及ぼさないことだけだと述べた。
われわれは日本もこうした宣言をくり返し,確認する用意が十分にあると思うが,満州で営業している大勢の日本の商人が純粋に民間人かと,ロシアが疑っているのは,根拠がないわけでもないかもしれない。
だが日本が侵略的だとか,またはそうなろうとしているとか想像する理由は少しもないと,われわれは信じる。
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