速報(56)(お勧め記事)『原子力の死の灰の恐怖、その太鼓の音は専門家には響かない』(ニューヨーク・タイムズ・5月2日)
速報(56)『日本のメルトダウン』
●(お勧め記事)『原子力の死の灰の恐怖、その太鼓の音は専門家
には響かない』(ニューヨーク・タイムズの記事(5月2日)
前坂俊之(ジャーナリスト)
●『Drumbeat of Nuclear Fallout Fear Doesn’t
Resound With Experts』(ニューヨーク・タイムズ)
By WILLIAM J. BROAD Published: May 2, 2011
<コメント>
『いつものNYT、W.J.Broad記者が、今回は福一放射能の問題を扱ったものです。
専門家の意見も総合し、珍しく、大きな放射線事故にはならないという 基調で纏めています。相変わらず、歴史的視点、大局的着眼は勉強になります。
歴史上での累積核実験、累積投棄との比較、 自然放射線、医療放射線との比較の中で、今回の福一の規模を位置付けています。専門家が重大視する規模ではほとんど無いと。
低線量の長期的な影響の評価の問題は残ると言外には言っています。
*私の疑問は、福一は本当にチェルノブイリの1/10、一千万キュリーの放出で済んでいるのか?*大半が陸でなく、海に流されたとされるが、何キュリーが海に出たのか?
上記の数字関連を正確に追い詰める必要があります。
専門家の意見も総合し、珍しく、大きな放射線事故にはならないという 基調で纏めています。相変わらず、歴史的視点、大局的着眼は勉強になります。
歴史上での累積核実験、累積投棄との比較、 自然放射線、医療放射線との比較の中で、今回の福一の規模を位置付けています。専門家が重大視する規模ではほとんど無いと。
低線量の長期的な影響の評価の問題は残ると言外には言っています。
*私の疑問は、福一は本当にチェルノブイリの1/10、一千万キュリーの放出で済んでいるのか?*大半が陸でなく、海に流されたとされるが、何キュリーが海に出たのか?
上記の数字関連を正確に追い詰める必要があります。
最近の公式発表のいい加減さが本当に心配です』
(原子力の死の灰の恐怖、その太鼓の音は専門家には響かない)
2011/5/2 NYT by WILLIAM J.BROAD
Drumbeat of Nuclear Fallout Fear Doesn’t Resound With Experts
2011/5/2 NYT by WILLIAM J.BROAD
Drumbeat of Nuclear Fallout Fear Doesn’t Resound With Experts
日本の原子力大災害は、地球の周りに放射線と恐怖の波を送り、沢山の人に、放射能検知器や甲状腺癌を防ぐためのヨウ化カリウムなど、を買いに走らせたが直ぐ売り切れてしまった。
この恐怖は、是認出来ない、許せないものだ、と専門家は云う。福島第一原発近隣の日本の人々は、放射能の漏洩の行く末を心配する理由がある、と科学者たちは云う、そして特に原子炉担当の作業者は病気に悩むかもしれない。
しかし日本の外では、この放射能の増加では、過去そして現在の、数多くの他の放射性物質に比較すると、僅かなものだと云う。
人間は多くの自然界の物質を含め、原子力以外の物質から出る大量の放射線により被爆しているし、日本発の放射能の痕跡も、大きな構図で考えると、見失われてしまう、と専門家は云う。
この見方は、放射能被爆がコンスタントにあり、有意義であると云う人口と環境を示唆している。例えば、この地球の周りの人々は冷戦時代の大気中で、何百という核実験から出た放射能降下物にさらされて来た。
今日、医療患者は、何百万のX線やCTスキャンからの一定量の放射線に晒されることを、選択している。
世界中の海洋でも、何千もの放射性廃棄物の入った腐食ドラムは、福島第一原発から放出された相対的には少量の放射能汚染水よりも、遥かに大きな危険を投げかけている。
そして岩石からの自然の放射能、宇宙線、環境のその他の様相等の方が、壊れてしまった日本の原子炉から今も増え続けているものも含めて、人口の放射性物質よりも遥かに多い、大部分を占めている。
人口への放射線被曝と云う面での関与としては僅かなものだ、 とFrank N. von Hippel, 原子力物理学者は云う。彼はクリントン政権のアドバイザーで、今はプリンストン大学で教えている。しかし、放射線の恐怖は異なる、兎に角、核物質は統計上のリスクに刻印された関係にある。
3/11に日本の災害が始まったあと、ブログでは放射線の危険に蓋をする政府の陰謀を警告していた。また、公益部門のグループでは、警告を発していた。
核兵器の廃絶を主張するグループ、「グローバル・サバイバルの為の医師達」の幹部指導者、Dr.Dale Dewarは云う、この事故は未来の世代が、背後の放射能がより一層高いレベルを伴う世界に住む事になる、ことを意味すると。
貴方の髪の毛は抜けないでしょう、しかし直ぐに危険が及ばないと云うことが、原子力産業が、長期に亘る影響から上手く逃げてしまう安易な道になっている、と彼女はVancouver Sunのインタビューに応えた。
Washingtonでさえ神経過敏になった。大震災が勃発した4日後の3/15 、軍医総監のRegina M. Benjaminは云う、アメリカ人がヨード経口薬を仕入れることは決してオーバーアクションではないと。それは予防策である、とTVのインタビューに答えていた。
オバマ大統領が、アメリカ人は防衛手段をとる必要はないと言った後、2日後にかれの事務所は前言を撤回した。
ほとんどの人々はリスクを理解する手掛かりを持たない、とニューメキシコ大学、放射線医学の教授で国連の放射能アセスメントに関するパネルのアメリカ代表、Dr.Fred A.Mettler Jrはインタビューで云う。彼等は放射線源の大きさの等級を知らない、従ってリスクを、如何に遠近法でバランスよく考えるかを知らない。
専門用語は役に立たない。放射線は暗いセットの中で計測される。その機械は、放射線の強度や、そのセットが放射能自体を表現するか、人間の肉体と放射線の相互作用を表すのか、に依って使い方が変わる。放射線源は放射線のキュリーかべクレルを発すると云われるが、生物への影響は、シーベルトかレム(roentgen equivalent man)で計測される。
混沌として或いは不完全な情報であると思われる場合には、人々は核のリスクの理解を、扇情的なレポートや衝動の一時的な混合に求めるかもしれない。
リスクは主に感情として存在する、とオレゴン大学の核心理学のパイオニア、Paul Slovicは云う。イメージに依ってしばしば誘発された急激な感情的な反応がそれだ。特に、映画やテレビに出るイメージだ。
Mettlerは云う、米国の子供達は、生まれて6ケ月の時からTVのほとんどナンセンスなもので水浸しにされている。インクレデイブルハルク、スパイダーマンそしてホーマーシンプソンなどの様な漫画のキャラクターは、放射線の科学的には不可能だがえらく興味を引かれる影響は、国家の放射線生物学のレッスンを相当提供している傾向にある。
Dr. Slovic はリスクの認識における変わり易さの一例として、医療用放射線を引用した。多くの専門家は一般大衆を潜在的に危険の多い薬剤の過剰投与になると見ている。しかし、彼等は一方では、’’ 我々は放射線への曝露には非常に耐性があると、我々はそれを欲しているし、必要としている、だから放射線は強力で有益な技術であると感じている、そしてリスクの意識は抑え込まれている。
同様に、原子力発電からその電気の多くを得ている国々は、原子炉を有益なものと見る傾向にある、と彼はいう。 しかし、強い意識を持たない場合には、日本における大災害は否定的な関心を大きく高める働きをしている。
1955年、国連総会は、定期的に放射線の危険を評価し報告する科学委員会の設立の為投票を行った。それは、放射線の異なった線源のマグニチュードを比較することを可能にした。
冷戦期間中、例えば、500以上の核爆発が全地球の大気中に致死量の放射性物質を浴びせ、その幾つかは未だに放射線を出し続けている。
国連のレポートの一つに記されている、" 放射性降下物は、今日でも曝露し続ける線源があることを意味する" と。
国連から出ている数字によれば、この何十年間に渉る地上核実験から放出された放射線全量は、ほぼ700億キュリーと推計している。 対照的に、1986年のチェルノブイリ原発の事故は、最も危険な物質を凡そ1億キュリー放出した。
福島第一に関し、日本の当局は、4/12に、原子炉群は 約一千万キュリーを放出したと発表した。 1979には、TMIの原子炉事故では約50キュリーが放出されたと。
1キュリーは、1グラムのラジウムから放出された放射線の総量であり、そして如何なる核物質において、毎秒 370億の原子の崩壊に等しいものである。旧式のルミナス時計は、約31/1000キュリーを放出した12のラジウムドットでダイアルする。
爆発と事故からの放射線が健康に及ぼす危険は、判断するのは容易では無い。研究者達は、低線量が大規模な人口へ及ぼす影響を見極める努力をしようとして以来、彼等は通常、統計学を原因と結果を明確にする事に使うよりも、むしろ公知の評価を得るために使っている。
Ethel S Gilbert, 国立癌協会の放射線疫学者、とその同僚達は、地球上の核爆弾降下物が米国人に及ぼす癌発生リスクを計測するために統計学的手法を用いた。科学者達は、普通の人生コースにある市民達が、天命で癌になる4千万人に比べ、放射線自体に起因する癌死亡者は11千人強であると主張した。癌患者全体の中ではほんの一部である、と彼女は云う。
Dr.Gilbertは更に付け加えた、日本の事故は全貌がまだ不明確なので、分析するには早すぎると。しかしと彼女は云う、相対的に微小な放射能の放出や、危険地帯から避難する為に日本の当局がとった予防策を考慮すると、 その結果は恐らく癌の"場合における若干の増加"になる程度だろう、と。
加えて多くの専門家は云う、日本の人達にとっての脅威は恐らく低いと、何故なら冷戦時やチェルノブイリ事故に由来する放射性降下物と違い、福島の放射線の大半は強い優勢な風に乗り、海上に吹き飛ばされたと信じられているから。
海洋は何十年以上も、多くの放射能を孕んだ風を受けて来た。1946年から1994年まで、核実験が禁止された時も、地球上の政府は、原子炉や遺棄された原子力潜水艦は勿論、放射性廃棄物の入った数千ものドラムを海溝に投棄して来た。
科学者達は、投棄されたものは、放射性物質全体で凡そ400万キュリー と見積もっている、その大半の処分量はソヴィエト連邦によるものである。放射性物質の自然崩壊は、何十年に亘り放射線医学的な脅威のレベルを引き下げている、丁度その時にドラムと樽の腐食が環境汚染のリスクを増大させているが。
サンフランシスコの沖合にあるファラロン諸島、その近くの放射性廃棄物の投棄場所では、調査の結果 多くの破れたドラムと幾つかの放射性物質が海洋生物に拡がっている証拠が明らかにされた。環境保護庁は、自然界に存在する事は稀な人工の放射性物質であるプルトニウム239と240の容易に計測出来る
量を、海綿が蓄えていることを発見した。前者の半減期は24360年、後者は6560年である。
しかし海の生き物よりもむしろ、人間の方が人工の放射線のはるかに多くの受容者であり、そのほとんどの曝露は意図的計画的なものである。国連のレポートによれば、1988から2008年までで、放射線医学における診断において、世界中の放射線の検査件数は、14億回から31億回へと倍増した。
国連の最近のレポートでは、いくつかの国々において、X線やCTスキャンの線量が " 歴史上初めて" 自然界の元々ある放射線の量を上回った, と述べている。
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