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終戦70年・日本敗戦史(120)日清戦争はなぜ起きたか、清国海軍に対抗して宮廷費を削減し軍艦建造費に回した明治天皇

      2015/08/14

 終戦70年・日本敗戦史(120)

                  <世田谷市民大学2015> 戦後70年  7月24日  前坂俊之 

◎『太平洋戦争と新聞報道を考える』

<日本はなぜ無謀な戦争をしたのか、どこに問題が

あったのか、500年の世界戦争史の中で考える>⑦

日清戦争はなぜ起きたのか

ー日中韓認識ギャップ(思い違い、無理解)の対立から戦争へ

原因としての東学党の乱(甲午農民戦争)から、日清出兵へ③

 

日清戦争への道ー宮廷費を削減し軍艦増強に回した明治天皇

明治時代は憲法発布(1881明治14年〕から国会開設(1890明治23年)までで「建設時代」は終ったといえる。これから日清戦争を経て日露戦争までの十五年間が「飛躍時代」ともよばれる。また、雄飛時代、国運伸張時代といってもよい時代である。

日清、日露戦争とも、紛争の種はすべて朝鮮だった。日清戦争の前、清国は朝鮮を公然と属国といった。朝鮮自身もそういわれて別に怒りもせず当然の礼儀のように清国へ朝貢をつづけた。

しかもそれが自分に課せられた運命のように満足していた。そこへお家騒動ががいつもおこり、大院君と閔妃が血で血を洗う宮廷闘争を続けた。この飛ばっちりで、京城(ソウル)の日本公使館は二度も襲撃された。韓宮廷のお家騒動で日本はこの大被害をこうむったもし、朝鮮が他の大国に蹂躙されるようになったら、一体、日本はどんな被害をうけるか。朝鮮は日本の生命線であるだけにだまっていられない。

外務大臣の陸奥宗光は土佐の政府斯覆事件で禁獄に処せられた男であるが、伊藤博文に拾われて外務大臣になると、全生命を日本の国力増進にささげた。先輩の井上馨や大隈重信の貫録を以てしてさえ出来なかった条約改正を日本の国力という裏づけでやりとげようと思った。実力の伴わない外交ではいい結果を上げることはできない。国内建設を終った日本が国力増進へ総力をあげてゆこうとするのは、赤ん坊が子供となり、大人に成人していく過程とよく似ている。日本の飛躍もまた当然だった。その飛躍は、朝鮮の東学党の反乱からはじまってゆく。

東学党の反乱

明治二十七年五月、朝鮮に東学党という一揆が起った、この東学党は全泰準という男が盟主だが、その参謀には日本から潜入した右翼の内田良平、鈴木天眼ら大物が入りこんでいた。全羅道の古阜県に起ったこの一揆は・庭尚道から忠清適、ついで怒涛のように全羅道に進んだ城韓延の圧政に泣く貧民軍だが、

その死を恐れぬ突撃には韓延の討伐軍の将洪啓薫も敗走して、京城もまたしと見られた。これをホクソ笑んで眺めていたのが清国公使袁世凱で、彼は総理閔泳駿から援軍要請を待っていた。というより、東学党の討伐を袁世凱にお願いする形式をとらせた。その報告をぅけた李鴻章は早速、直隷省総督・葉志超に命じ、兵1500人を威海衛から出撃せ、朝鮮牙山に上陸した。

明治二十七年六月八日である。日支のこの虚々実々の動きは、とうと日清戦争への導火線となってゆく。

明治十八年、清国の丁汝昌が軍艦を率いて長崎に入港した時清国水兵が暴行を働いたが、その丁汝昌の軍艦が今度は品川湾に入港してその偉容に国民は肝をつぶした。二度にわたって朝鮮の日本公使館が襲撃されながら、公使以下逃げ帰った国力の弱さは国民を歯ぎしりさせていたが、今さらながら品川湾に清国の堂々たる国力をみせつけられては江戸ヅ子たちは歯ぎしりしてくやしがった。。政府も、この国民の憤りはよく見抜いていた。

明治二十五年八月八日、予備役に入っていた大将大山巌は現役に復して陸相となり、少将児玉源太郎が次官、参謀次長に中将川上操六が入り、参謀総長大将有栖川宮織仁親王を助けることになった。当時は近衛師団のほかに六個師団があるだけだった。

海軍は明治二十四年六月現在、フリーゲートの扶桑(三、七〇〇トン)巡洋艦浪速(三、六〇〇トン)を主力として二十六隻4万1千トンで、このほかに製造中のもの、計画の途にあるものが厳島、橋立、松島、千島ら七隻だった。この千島はフランスに注文され、出来上ったので日本に回航途中、蹄戸内海で英国汽船と衝突沈没してしまった。

樺山資紀海相は軍艦も欲しいが、さらに鉄を作る製鋼所の建設も急がねばならぬと、議会に500万円を要求したが野党の島田三郎らは「軍艦を作る金で民力を養え」と猛反対にあい「海軍大学々生十七人のために、教官十七人、事務官41人を雇い、生徒一人の費用に二千四百円も使っているのはどういうわけだ」と樺山に逆に食いついた。

大津事件で辞職した松方内閣のあと、明治25年八月八日第二次伊藤内閣ができた。山県有朋、黒田清隆、井上馨らを閣僚とする元勲内閣であり、いわば戦争内閣であった。

伊藤首相は議会に8375万円の予算を提出したが、議会は、この中から一割強に当る871万円を差し引してしまった。政府がどうしても欲しい軍艦建造費は含まれているのだが、国会はどうしても聞かぬ。「総辞職するか、議会を解散するか、でなければ国会が暮した天引予算を組め」といぅのである。

政府は解散のハラを固めている時、明治二十六年二月十日、明治天皇が詔勅をくだった。「自分も宮廷費を省き、軍艦を作る費用の一部として六年間毎年三十万円を下付するから、各官吏も俸給の十分の一を納めて建艦費に当ててもらいたい」というもの。これで海軍拡張案は両院を通過し、製鋼所も明治二十九年三月三〇日、福岡県枝光に設立された。今の八幡製鉄所である。

建艦費は明治天皇の決断で通過したが、外相の陸奥宗光がひそかに英国をはじめ各国との間でまとめようとしていた条約改正案がもれ、安部井盤根によって提出された現行条約励行案と対立、二十六年十二月三十日、伊藤総理は議会を解散した。総選挙の結果はこれも政府に利あらず、第六議会は開かれたが、片

岡健吉ら五名により政府不信任が出された。伊藤はこの不信任案に対し、再び議会を解散した。そこへ東学党の反乱がおきたのである。

 - 戦争報道

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