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『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』(英国『タイムズ』米国「ニューヨーク・タイムズ」,外国紙はどう報道したかを読む  1903(明治36)年4月23日付『ノース・チヤイナ・ヘラルド』 『ロシアと日本』

      2016/12/21

 

『世界史の中の『日露戦争』ー露清協定の撤兵期限

(明治35年10月から戦争開始の明治37年2月まで)

(英国『タイムズ』米国「ニューヨーク・タイムズ」、

外国紙はどう報道したかを読む

 

『戦争を辞さない決意を固めてー対露交渉』

 

露清協約の規定による第一期の撤兵期限の明治35年10月18日(日露戦争勃発1年4ヵ月前)には、ロシアは大体約束どおり遼西(中国東北部<満州>、遼河以西地域を指す歴史的地名)からの撤兵を実行した。

ところが第二期の撤兵期限である翌年4月8日がきた。ロシアはこの日、盛京省の残部と吉林省の全部から撤兵することになっていた。これらの地方は、その広さが満州の大半を占め、軍事経済上で満州の要城であるので、その撤兵を実行するかどうかは、わが国にとってはきわめて重大な問題であった。

しかし、ロシアはこの撤兵を中止して居座る強硬手段に出た。

第一期の遼西からの撤兵も、実は遼東に移動しただけで、満州の経営をますます進め、占領の拡大が既成事実化していった。

満州はなお忍ぶとしても、北朝鮮の問題は座視しているわけにはいかなくなった。ロシアは明治36年4月、鴨緑江下流の流岩浦を占領し、軍事的施設を加え、旅順の総督府と並んで極東の軍事基地化を図った。

 

4月20日、明治天皇は、京都から大阪の内国勧業博覧会開会式に臨御した。随従の桂太郎総理は、この日たまたま、在北京内田康哉公使からの、「ロシアは言を左右にして遼東からの撤兵を実行しない」との電報に接した。

 

小村寿太郎外相とはかり、われは韓国において十分の権利を要求し、その交換として、満州については、ロシアが経営した範囲で優勢を示すこととに譲歩し、この際、多年にわたる難問題を一挙に解決しようとした。

 

しかし、韓国について一歩も退かぬということは、遼東半島を経略しようとするロシアの側背を脅威する形勢となり、露国の同意しないことは明らかであり、戦争を避けることはできなくなる。

 

この大決断をするには、元老山県有朋と、従来、親露政策を望んでいた元老伊藤博文との決心を固めさせ、その上で実行に移さなければ中途で変更される虞れがあった。

そこで翌21日、京都の山県元帥の別邸無隣庵で、桂総理、小村外相は、山県、伊藤両元老とこの大方針を協議した。

その結果、「少なくも朝鮮は断じてロシアに譲らない決意をもって、ロシアと談判を開始する」という対露根本方針を決定した。

日露戦争の危機は一層高まってきた。

ロシアは4月18日、清国に対し、満州撤兵に関し新たに、満州を事実上、ロシア領化する七ヵ条の要求を突き付けた。

日英両国は清国に警告を与え、ロシアの要求を拒絶させ、米国はロシアに抗譲し満州開放を約束させた。

しかし、ロシアは一向に撤退する機運はなく、北朝鮮にも権益を拡大する動きに出た。

 

1903(明治36)年4月23日付『ノース・チヤイナ・ヘラルド』

『ロシアと日本』

日本とロシアの関係が近いうちに決裂しそうだ,といううわさには,いっになく聞き流せないものがある。これまで極東海域に艦隊を送り続けてきたロシアが,現在その数を大幅に増強しつつあるからだ。この継続中の増強,ロシアが中国をめぐる覇権争いに備えていることを意味し,その紛争に最も巻き込まれそうな国は日本なのだ。

 

極東海域とヨーロッパ間に1つも給炭基地を持たないロシアにとって,この海域に艦隊を送ることは危険を伴い.万が一その本国艦隊の一部を帰国させることを余儀なくされたあかつきには,おそらく大英帝国の好意にすがるはかないだろう。

極東海域に至る海路に位置する給炭基地は大英帝国が独占していると言ってよく,少なくもそのいずれかに1度も寄港することなくロシア艦隊が本国に帰還することは望むべくもないだろう。

 

現在,この海域に配備されているロシア艦隊は大型戦艦4隻,大型巡洋艦5隻,小型巡洋艦2隻,砲艦11隻,水雷艇数隻などから成っているが、加えて、新たに3隻の一等戦艦と2隻の巡洋艦.5隻の水雷艇が同海域に向けて航海中もしくは航行指令を受けている。

 

これらの艦船が合流すれば,ロシア艦隊は戦艦に関しては当海域随一の戦力を誇ることになる。ちなみに,日本が投入できる艦隊は最新鋭の戦艦がわずか6隻,大英帝国もわずか4隻の戦艦と,もうl隻がまもなく中国守備域に編入されるくらいなものだ

。かくして,ロシアと日本の艦隊の間で砲火が交わされた場合,戦闘は激烈をきわめるものと予想される。

というのも,戦艦を見ると日本は数の上では劣勢なものの武装の点では大部分がロシア艦を凌駕しているからだ。こうした攻防の帰趨をめぐってはあれこれ思いをめぐらす余地がある。

 

海戦で日本が敗れたとしよう。

ロシアにとって大軍を日本とは目と鼻の先にある旅順から日本本土に送り込むことは造作もない。一方、この不可避の海戦において日本が勝利を収めた場合,戦争の帰趨はいっそうはっきりしないものとなる。たぶん、戦いは舞台を朝鮮に移し,その結果・長期化・泥沼化はまず免れまい。

 

どちらも敵に.多大な被害を与えることがかなわず,戦いは,双方が譲歩した条約によ

って幕を下ろすことになろう。満州にまで戦線を拡大するに足る軍隊を日本がはたして送り込める否かは定かではない。

 

問題はロシアがヨーロッパに配備されている艦隊を極東海域に派遣し,勝ち誇る日本艦隊

と戦火を交えるかどうかだが,時機を失すれば戦争では大きな痛手は必至であり,第2艦隊が問題の海域に達する間に,中国におけるロシアの利益は回復不能なほど日本によって損なわれていることもあり得る。

 

日本のような小国とロシアのような巨大な帝国が戦うとき、前者はまず勝算のない戦いを強いられよう。

 

クリミア戦争においてはイギリス・フランスという2大国をもってしてもロシアに真に致命的な損害を加えるまでに至らなかったのだ。十中八九,旅順がセヴァストポリの再現となるだろう。

 

事の真相はロシアが実質的に打倒不能ということにある。ある国が他の国に対して有利な条件を命令できる立場に立っには、敵の首都を実際に占領するかその脅威を与えることが必要だだが,ロシアの首都を占拠しようとしたナポレオンの企てがいかなる結末を迎えたかをわれわれは知っている。そしてむろんのこと,日本にとってそれは絶対的に問題外なのだ。

 

 - 戦争報道, 現代史研究

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