日本リーダーパワー史(501)勝海舟の外交突破力を見習え③各国の貧富強弱により判断せず、公平無私の眼でみよ③
いま米国の一国支配構造は崩れ、中国の躍進で国際秩序は大きく変化
している。そんな中で、憲法改正、集団的自衛権の論議、TPP加入問題、
尖閣問題などによる日中韓との対立の長期化懸念―など外交的懸案
が山積しているが、<外交力のある政治家>がいないのである。
明治維新の国難で幕府側の外務大臣(実質首相兼任)の、
勝海舟の外交突破力こそ見習え。③
<朝鮮、支那(中国)、ロシア、英国とか、その貧富強弱に
よって国々を別々に見るのではなく、公平無私の眼をもって、
世界の大勢から観察をして、判断を下すのだ>
前坂俊之(ジャーナリスト)
「海舟先生氷川清話」(吉本襄 撰著 大文館書店 1933)にみる勝海舟「外交談」
今の外交は何をしとるのか
今日、外交の方針だとか何とかいって、騒いで居るけれども、全体、何をしとるのか、おれには分らない。飯の上のハエをおうやうな事ばかりやるのに、方針も何もいるものか。世間の人も人だ。
西洋に行って少しばかり、洋書が読め、英語で談判でも出来れば、早や第一の外交家と仰いで居る。上も下も似たり寄ったりのものサ。
かういふ風では、やはり幕府の末路と同じやうになるかも知れないから、しっかりやって貰ひたいものだ。
おれなどは、昔からずるい奴だによって、この六畳の室に寝てばかりいるけれども‥…・。
前にもいった通り、国民が今少し根気強くならなくっては、とても大事業は出来ないヨ。
隣の奥さんをいじめるくらいを、外交の上々と心得るやうでは困るヨ。今少し遠大に、しかして沈潜に願ひたいものだ。
なに事も根気が本だ。今の人は牛肉だとか、滋養品(栄養品)だとか騒ぐ癖に、根気はかへつて弱いのが妙だ。
人間の体は、憲法政治ではいけない。睡眠時間が何時間で、働く時間が何時間、食物は朝は何、晩は何と、さう法律づくめにやられては体も困るワィ。
人間は活物だから、気を養うのが第一。気さえ飢えなければ、食物などはなんでも構はないよ。今時の人にはこの辺の工夫が必要だ。
。
小人島の豆人間(小さな島国(日本)の豆人間(日本人)になってるよ
要するに、外交上の事は、ずいぶん困難ではあるが、なに我に一片の至誠と、断乎たる気骨さへあるなら、国威を宣揚することも決してむつかしくはない。それを、この頃の人達は、公法学などをこね操って、朝鮮とか、支那(中国)とか、オロシャとか(ロシア)、英国とかいつて、これを各別に見て、その貧富強弱によって、種々、加減をするから、やり損ないが多いばかりではない、経論もまた極めて少さくなるのだ。
それだから、百年の長計などといっても、とても駄目だ。彼の人達のする仕事は、十年はおろか、たった二年先きのことさへも、見透しが付かないではないか。
おれなどは、貧富強弱によって、国々を別々に見るといふことはしないで、公平無私の眼をもって、世界の大勢上から観察を下して、その映って来るままにこれを断ずるのだ。
それだから、今の外交家のする仕事は、おれの目には、まるで小人島の豆人間が動いて居るやうに見えるのだ。
関連記事
-
-
日米戦争の敗北を予言した反軍大佐、ジャーナリスト・水野広徳
1 前坂 俊之 (静岡県立大学国際関係学部教授) ① 水野がアメリカの伝単ビラに …
-
-
日本リーダーパワー史(740) 『大丈夫か安倍ロシア外交の行方は!?』ー 『 日ロ解散説が浮上!安倍首相の描くシナリオ-「史上最長政権」を狙う首相の胸中は?』●『北方領土「2島先行返還」は日本にとって損か得か?』●『鈴木宗男氏「北方領土問題の解決にはトップの決断しかない」』●『鈴木宗男・元衆院議員の記者会見(全文1)北方領土問題、必ず応じてくれる』●『もっと知りたい北方領土(3) 料亭やビリヤード場も 東洋一の捕鯨場』
日本リーダーパワー史(740) 『大丈夫か安倍ロシア外交の行方は!?』 日 …
-
-
日本リーダーパワー史(421)<国際舞台で最も活躍した日本人・上原浩治投手から学ぶー過去は過去、今日明日を見た方が楽しい>
日本リーダーパワー史(421) ―<今年、国際舞台で最も …
-
-
『Z世代への昭和史・国難突破力講座⑧』『吉田茂の国難突破力④』★『吉田は逮捕され40日間拘留された』★『日本人の国民性の欠点ついて「重臣たちも内心戦争に反対しながら主張せず、後になて弁解がましいことをいう』★『吉田はジョークの達人』★『「いまの代議士はポリティシャン(政治屋)で、ステーツマン(国士、本当の政治家)ではない」
「日本史決定的瞬間講座⑦」再録再編集 前坂俊之(ジャーナリスト)& …
-
-
『ウクライナ戦争に見る ロシアの恫喝・陰謀外交の研究➅』★日露300年戦争(2)-『徳川時代の日露関係 /日露交渉の発端の真相』★『こうしてロシアは千島列島と樺太を侵攻した⑵』
2017/11/16/日露300年戦争(2)記事再録 …
-
-
知的巨人の百歳学(113)ー徳富蘇峰(94歳)ー『生涯現役500冊以上、日本一の思想家、歴史家、ジャーナリストの健康長寿、創作、ウオーキング!』
2018/11/30 2018/12/01 …
-
-
日本リーダーパワー史(874)『日中韓、北朝鮮の関係はなぜ、かくも長くギグシャクともめ続けるのか➀』★『130年前の朝鮮をめぐる日中の対立・戦争が今回の件も含めてすべての根源にある』★『憲政の神様・尾崎行雄の名解説「本邦の朝鮮に対して施すべき 政策を諭ず」を読む』★『日本公使館を焼き打ちした壬午軍乱の賠償金40万円(現在の金に換算して約5兆8千億円)を朝鮮発展のために還付した日本政府の大英断』
日本リーダーパワー史(874) 平昌オリンピックを前に日本と韓国、北朝鮮、中国の …
-
-
『Z世代のための日中韓三国志のキーワード<福沢諭吉の脱亜論>の研究講座①』★『福沢諭吉の「脱亜論」と時事新報の主張に全面的に賛成した』上海発行の英国紙「ノース・チャイナ・ヘラルド」1884(明治17)年5月2日』
逗子なぎさ橋通信、24/0707/am11]逗子海岸 …
-
-
世界/日本リーダーパワー史(966)ー『トランプ大統領弾劾問題と米中テクノナショナリズムの対立(上)』★『トランプとロシアとマフィアの三角関係』★『政治ショウ化した弾劾裁判のむつかしさ』
世界/日本リーダーパワー史(966) トランプ大統領弾劾問題と米中テクノナショナ …
-
-
『60,70歳のための<笑う女性百寿者>の健康長寿名言集①』★『世界一の女性長寿者はフランス人のジャンヌ・カルマン(122歳)さん』★『その食事は野菜が嫌いで「赤ワイン」と「チョコレート」が大好き。この2つを生涯欠かさず食べ、1週間に1㎏近いチョコレートを食べていた。』
ジャンヌ・カルマン(1875年2月21日ー1997年8月4日、122歳) ところ …
