前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『Z世代への遺言 ・日本インド交流史の研究②』★『インド独立運動革命家の中村屋・ボースを<わしが牢獄に入っても匿うといった>頭山満の決断力』★『ラス・ビバリ・ボースの頭山満論』

      2023/05/20

2023年5月20日、「グローバルサウス」の代表格で核保有国 インド・モディ首相が来日、「ヒロシマサミット」に参加する。インドの躍進が続いている。

2022年現在のインドの人口は14億1200万人だが、今年中に世界一の中国(14億2600万人)をぬく勢い。インドの経済力(名目国内総生産・GDP)も現状では日本の半分程度だが、6年後の29年時点では日本を追い越し世界3位の経済大国になる見通しだ(日本経済研究センター調べ)。

ロシアのウクライナ侵攻でゆれる世界で、インドの存在感が大きくなってきた。ちょうど110年前に日本インド交流の絆を作った玄洋社。頭山満の決断力をふり返る。

    2010/07/16  日本リーダーパワー史(74)記事再録

辛亥革命百年⑬中村屋・ボースと頭山満<ラス・ビバリ・ポースの頭山満論>

 
大正四年の冬、インドの志士ラス・ビバリ・ボース(昔時の変名・タクール)が日本退去を厳命され、横浜出港のその乗船が上海,香港に寄港すると共に、その地の英国官憲の手に捕えられて無尋問のまま死刑を執行される絶体絶命の危機に陥った。
 
その生命は風前の灯となった時、大慈悲の人類愛に燃ゆる頭山翁の手が動いて、非常手段により神隠しを演じてポース氏を救助したことは頭山翁の眞骨頂を示す有名な話だが、ボースはこの大恩人たる頭山翁を始め、当時の同情者を毎年一度は欠かかさず招待して謝恩の会を、当時の隠れ家・新宿中村屋で開くことにしていた。
したの写真は昭和七年のその会である。
 
(右から頭山翁夫人、犬養毅、その後はポース氏、頭山翁、内田艮平氏、大崎正吉氏、左は鈴木梅四郎氏で、いとも和やかを歓談の光景)             
 
なおこの国際的大事件の眞相はすでに世人周知の事であらうが、ここに事件について努力された光輝あるその人々の芳名を記録して後世に伝えたい。
 
その第一は頭山翁その人である。翁が沈思黙考、この事のアジア民族の威信に関する重大案件たるを想ふと同時にその鉄石の意思は牢固として定まり、電光石火の間にこれに処すべき手配は定められた。
 
相手方は英国政府を代表する英国大使と石井菊次郎外相と日本政府であったが、これに対する頭山翁側でポースを援護のために翁の意志を体して起ったのは、
 
 杉山茂丸、内田良平、寺尾亨、佃信夫、中村粥、宮川一貫、美和作次郎、的野半助、相馬愛蔵、大原剛、萱野長知、大崎正書、宮崎滔天、大川周明、本城安太郎、葛生能久、水野梅暁、白石好夫らの諸氏であった。
 
  • 世界の巨人頭山満翁について(ラス・ビバり・ボースの話)
私は一九一五年、政治上の理由の下に変名して日本に亡命避難した。当時、支那革命の巨頭・孫文も日本に来ておられた事を聞いた。偶然に或るインド人から孫文の居所を聞いたので面会に行ったところ孫文は大へん喜んだ。それ以来、孫文と親善の間柄になって度々往復した。
 
孫文の方から一度、私に向って、遅かれ早かれ貴君の本名が英国にわかるので英国として貴君を引渡してもらうために努力しないとも限らぬから、今の内に日本の有力者と知合になっていたらどうであるか、という話があって、孫文の友人であった宮崎滔天に連れられて頭山翁の宅を訪問し、日本語はわからぬので宮崎氏を通じて頭山翁と色々の話をした。
 
その時に私の感想としては、頭山翁に合うた時に、丁度インドの昔の仏教聖人に合うた時のような感じがした。白い髭を生やしてじっとして沈黙を守ってすわっておられる頭山翁の姿は、インドの古代の聖者を思いひ出させたのだ。その後日本政府から退去の命令を受け、危いところを領山翁に匿まわれ、後に自由になって今日に至っておる。
私が頭山翁を一番尊敬する点は、頭山翁の人類に対する愛情という事である。日本人であっても外国人であっても、何所の国の人でも悩み苦しんでいる人のために頭山翁は何時でも心配されておるのだ。翁の愛情は単なる人類界に限られておるというわけでなく、動物に対しても翁は同じ様を愛情を持っておるのだ。一度私はある米国人の友人を連れて行って、翁に紹介した事があった。その時に友人を翁に紹介して次の如き事をいうた事があった。
 
「先生、この人は人間が非常に好くって人にだまされてばかりいます』
 
翁はそれを聞いて静かに次のように言った。
 
「そうですか、それはだますよりだまされた方が好いです』
 
私がその事を英語で米国人の友人に通話すると、友人は涙を流しながら、「こういう言葉は私として始めて聞いたのだ、こういう場合に一般的な人は将来においてだまされない様にと云うべきものなのに、翁の
「だますよりだまされた方がよい」というた事を聞いて翁が精神的にどれ程、進んでおられるかという事を確信した」というのであった。
 
この一つの例によりても翁の人格がどれ程高いものかという事が証拠だてられておるのだ。郎ち、翁は精神万能主義の下に生活せられておるという事はこれによりて表されておる事だ。翁の言行が一致しておると云う事は翁の一つの特性である。
 
翁は何時でも犠牲心を充分に持っておる。自分の慾を犠牲にして個人のため社会、国家、全人類のためになる事なれば自己のすべてを捨てて犠牲になるという事が今日まで数多くあり、また、翁の一番の楽しみ得る事は、もらう事にあらず、与える事にある。翁は自己を犠牲にし他を幸福にするという主義を持っておられるのだ。
 
人によっては、翁を浪人の親方、あるいは政治家である用に解する者もおるが、しかし翁はそれらよりも、ずつと優しくて全人類に対する愛情を持っておられる。故に寧ろ人類主義者と呼ぶ方が一番適当である。私は福島に講演に行った事がある。その時、福島のある友人は私に頭山翁は日本の大立者であるというた事があった。私はそれを反駁し、頭山翁は日本の大立者であるということは翁の人格を無視することに他ならない。
 
翁は日本の大立者でなく世界の大立者で、全人類界の大立であることを認めなければならない。翁は単なる日本の宝物でなく、世界の宝物であり、世界の巨人である。
 
<参考文献「頭山満翁写真伝」(藤本尚則著、昭和10年)>
 
 

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『野口恒の原発ウオッチ③』『福島原発』考(1)―『電源喪失による炉心溶融も、水素爆発も起こらない原発は可能か?』 

『野口恒の原発ウオッチ③』   『福島原発』考(1)―『電源喪失による …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(91)記事再録/★日韓歴史コミュニケーションギャップの研究ー『竹島問題をめぐる』韓国側の不法占拠の抗議資料』★『竹島は日本にいつ返る、寛大ぶってはナメられる』(日本週報1954/2/25)

    2018/08/18/日韓歴史コミュニケー …

no image
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』㉔『開戦2ゕ月前の「ロシア紙ノーヴォエ・ヴレーミャ」の報道ー『ロシアと満州』(その歴史的な権利と経過)『1896(明治29)年の条約(露清密約、ロバノフ協定)に基づく』●『ロシア軍の満州からの撤退はなおさら不可能だ。たとえだれかが,この国で費やされた何億もの金をロシア国民に補償金として支払ってくれたとしても。』

 『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』㉔『開戦2ゕ月前の   19 …

no image
世界史の中の『日露戦争』④『ロシアの難しさ』開戦2ヵ月前『ロシアの態度はいよいよ傲慢となって、戦争での決着しかない』

  『日本世界史』シリーズ 世界史の中の『日露戦争』④-英国 …

知的巨人たちの百歳学(107)ー『世界天才老人NO1・エジソン(84)<天才長寿脳>の作り方』ー発明発見・健康長寿・研究実験、仕事成功の11ヵ条」(上)『隠居は非健康的である。死ぬまで研究、100歳までは引退しない』

   再録 百歳学入門(93) 「世界天才老人NO …

「2022年コロナ・デルタ株終息後のパクスなき世界へ(下)」(2021/9/15 )★『パラリンピックの熱戦が人々に勇気と力を与えた。』★『人間には無限の可能性がある』★『バイデン大統領はアフガン戦争から撤退した』★『日本興亡史のサイクルは77年間』★『「富国平和・軽武装国家」で2回目の興隆サイクルへ』

「2022年コロナ・デルタ株終息後のパクスなき世界へ(下)」 パラリンピックの熱 …

no image
日本メルトダウン,カウントダウン(905)「舛添問題は金にケチな人格などではない。 政治家に一番必要な『危機管理能力」の全くない東大(無灯台)組が 『無防備都市・TOKYO」のトップに居座っていること」★『政府は約3千億円を つぎ込み熊本地震まで38年間の『 巨大地震』の予知に全部失敗した<ロバート・ゲラー東京大学理学系教授の 正論>』

  日本メルトダウン,カウントダウン(905) ①舛添問題は金にケチな人格などで …

no image
『5年前の記事を再録して、時代のスピード変化と分析ミスをチェックする』-『2018年「日本の死」を避ける道はあるのか⑤』★『アベノミクスで政権100日は成功、この難題山積のナロウパス (細いつり橋)を素早く突破しなければ、日本の明日は開けない』★『スピード突破できずTimeout、釣り橋から落下の運命が迫りくる?』

★『2018年「日本の死」を避ける道はあるのか ー―日本興亡150年史』⑤― < …

no image
日韓コミュニケーションギャップの研究(2003/11/27)-「一番近くて遠い国・韓国」★『日韓両国、国民のスレ違いを生む歴史、宗教、国民性、民族的、文化的な背景の違いを考える』

日韓コミュニケーションギャッについて(2003、11、27)           …

no image
<F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(215)>『共謀罪法案、森友、加計、防衛メモ問題などなど、底流で共通しているのは、権力者が、今の日本が置かれている複雑な諸問題を、誠実な言葉遣いで国民と向き合い率直に語ることを避けて来たこと。隠し事が多過ぎる。』★『日本も極右や極左、国際テロリストの標的になる事は時間の問題、 欧米やイスラエルなどの総合的なテロ対策技術を詳細開陳しながら、国民の理解を深めることが必要』★『ポスト安倍を語り始めた海外 ふさわしいのは自民・民進議員ではなく?』

<F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(215)>   都 …