前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

「オンライン動画講座」★再録〈速報(307)『日本のメルトダウン』★『福島原発事故の東京電力の責任』●『2012年6月8日、国会事故調での清水正孝前社長の2時間半の全証言動画中継』

   

2012/06/10  速報(307)『日本のメルトダウン』再録

                                          前坂 俊之(ジャーナリスト)

6月79日、知り合いから次のようなメールが入っていた。

「政治(家)とは国土と国民の生活を守ること(人)」です。そして、国民の生活とは「一生懸命頑張っている人がまっとうな評価を受けること(生活が出来るような)が出来るような世の中にしていくこと」です。
今の日本はどんどんおかしな方向に行っていると思います。国土を守るという点では、福島原発の事故により、国土を汚した責任を取るべきであり、平穏な日常を奪った責任も取るべきであり、原発推進した政治家は、少なくとも表舞台からは消えるべきです。
良心があるならば、財産を提供し、避難した住民にお詫びし、ボランティア活動に汗を流すべきです。まともな口をきけるのは、みんなの生活が元に戻ってからでしょう。

東電も、責任企業として、一度倒産するべきです。その後、給料を4割ほどカットして、別会社として再雇用する。ただし、現場で実際に汗を流して働く職員の給料はある程度のカットにとどめる。また、公務員も原発を推進した職員についてはその責任を追及すべきです」

このメールは8日の国会事故調での東電の清水前社長の証言を取材して、疲れて帰った翌日に入っていた。この友人は私が清水前社長の証言を取材にいっていたことは知らない。政治に関係していた家柄の人物だけに、その家訓によって原発に対する政治家の身の処し方、東電の態度を強く批判した内容である。私も共感を覚えた。

前日の清水前社長の証言にひどく失望していただけに、この友人のメールには心を打たれた。

以下で、清水正孝前社長の2時間半に及ぶ全証言を紹介する。

これは国会の東京電力福島第一原発事故調査委員会は6月8日、事故当時の東電社長の清水正孝氏に参考人聴取した2時間全部のビデオである。
このやり取りを各参考人の時系列的な証言と事実関係を検証しながら、その信ぴょう性を判断して原発事故メディアリテラシーを養うことが必要である。

菅元首相、官邸側が主張する原発からの「全員撤退」問題で、清水氏は海江田経産相(当時)らに電話した際に「全員とか撤退という言葉は使っていない。一部という言葉を言っ­たかはあいまいさが残る」と述べ、必要な人員を残すと、数字を上げて明言しなかったことを認めた。(東京新聞6月9日朝刊)

『死ぬか、生きるか』のギリギリの最悪の事態が中で、忘れようがないと思われる肝心な部分に関しては、清水氏は「記憶にない」「はっきり覚えていない」「認識がなかった」­などを連発して、自らと東電の責任回避の姿勢に終始した。
菅首相、海江田氏、枝野官房長官(当時)らが、清水氏からの何度も電話によって「全員撤退」「全員退避」と受け止め東電や保安院への不信感を募らせたことへの対応にも、清­水氏は東電のトップリーダーとして断固たる事故対応の意思表示をせず、最悪の場合には何人残すという数字さえ官邸に告げなかったなどというのは不思議である。大いに疑問の­残る証言である。

事故調では①清水氏のあいまいな説明によりミスコミュニケーションが拡大した。吉田昌郎(まさお)原発所長らへの聞き取りなどから、現場は全員撤退を考えていなかったこと­は明らかだと結論している。

しかし、菅首相らは吉田所長と直接話したことで、「吉田氏は信頼できる男だ」とコミュニケーションが築けたのに対して、清水氏や東電本店の対応には最後まで不信感を増幅し­、コミュニケーションギャップが生じた。清水氏は「全員撤退」「全員退避」を否定しているが、そのような発言があったのではないのか。

この日の事故調では福島第一原発の現場と東電本店の間で交わされたテレビ会議のやりとりでー14日午後8時前後に、「全員の(福島第一原発の)サイトからの退避というのは­何時ごろになるか」 「みんな2F(福島第二原発)のビジターホールに避難するんですよね」との発言があったことが明らかになり、これに対して「清水氏が「まだ最終避難を決定しているわけでは­ない」 「しかるべきところと確認作業を進めている」と述べていた。(朝日朝刊、6月9日3面)

清水氏の証言は明らかに矛盾している。

さらに(朝日朝刊、6月9日3面)の木村英昭記者の署名記事『原発放棄事件』によると『(朝日)取材では、元警視総監の伊藤哲朗内閣危機管理監(同)が15日午前3時前、­総理応接室で東電幹部から福島第一は「放棄」、第二は「いずれ撤退」と聞かされたこともわかっている。

事故調は、昨年3月14日に清水氏が「最悪のシナリオ」作りを指示していたことや、現場が最悪の場合は10人程度を残すと検射していたとの新事実も明らかにした。福島第一­原発には6基の原発がある。とても制御できない人数だ」と清水氏や勝俣会長の証言を否定している。

私は2時間の清水氏の証言を聞きながら、以上のように東電本社の対応が2転3転して、これが官邸側の不信を招き、菅首相の過剰といわれる介入となり混乱に輪をかけてしまっ­たとの印象を強くした。(前坂俊之)

  • 「全員撤退」問題 一部残留明言せず 国会事故調

これで国民が納得するだろうか。国会の事故調査委員会が原発事故当時の東京電力社長、清水正孝氏を参考人聴取した。自己弁護のような受け答えに終始し、事故の総括ができる­のか大いに疑問だ。

 



 

 - 人物研究, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
速報(163)『日本のメルトダウン』ー『ギリシャをデフォルトさせろ』★『ユーロ圏の危機、応急手当は治療ではない』

速報(163)『日本のメルトダウン』   『ギリシャをデフォルトさせろ …

no image
速報(380)『日本のメルトダウン』『ドイツ「脱原発」 再生エネに高いハードル』(読売)『英国流プロフェッショナリズムに学ぶ』(田中均)

速報(380)『日本のメルトダウン』   『<日本の死>を警告、診断で …

『Z世代のための宰相論』★『中曽根康弘元首相は2018年5月で百歳を迎え、歴代宰相では最長寿となる』★『中曽根流の百歳健康長寿10ヵ条とは』★『未来は考えないね。今を充実させていく。未来は神様が与えてくれる』★『いつまで生きることが、人生だとは思っていない。「人生、みんな途中下車するけど、 俺は途中下車しない』★『(長寿の秘訣に対して)キミ、それは使命感だよ』

  2016/11/02   『百歳学入門』(16 …

no image
モンゴルメディアの変容

民主化後のモンゴルメディアの変容 前坂 俊之 (静岡県立大学国際関係学部教授) …

no image
日本リーダーパワー史(81)辛亥革命百年(17)孫文と宮崎 滔天の出会いの瞬間<「三十三の夢」より>

日本リーダーパワー史(81) 辛亥革命百年(17)孫文と宮崎 滔天の出会いの瞬間 …

no image
国際ジャーナリスト・前田康博氏の動画ニュース解説「昇竜中国と落日日本・APEC,安倍‣習会談の真相とは?」(30分)

                          …

『Z世代のための百歳学入門』★『義母(90歳)の<ピンコロ人生>を見ていると、「老婆(ローマ)は1日にしてならず」「継続は力なり」「老いて学べば死しても朽ちず」の見事な実践と思う』

2017/10/12  百歳学入門(183)記事再録 老いて …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(1)記事再録/日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(元寇の役、ペリー黒船来航で徳川幕府崩壊へ)ー日清、日露戦争勝利の方程式を解いた空前絶後の名将「川上操六」の誕生へ①

    2015/11/18 /2015/11/2 …

<F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(206)> 『2017 年,7年ぶりに、懐かしのアメリカを再訪,ニューヨークめぐり(5月GW)④』2階建バスツアーでマンハッタンを一周(1)(タイムズスクエアから乗車し、ロウアーマンハッタンへ向かう)★★『まさしくルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」(What a Wonderful World)だね!』

逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/10/04/pm8)   &nb …

no image
『リーダーシップの日本近現代興亡史』(217)/『百年前にリサイクル事業によって世界的コンチェルン(財閥)を築いた「日本セメント創業者」の浅野総一郎』★『リサイクルの先駆的巨人・浅野総一郎の猛烈経営『運は飛び込んでつかめ』★『明治時代にタダの自然水を有料販売、トイレの人糞を回収して肥料で販売、コークスからセメントを再生し、京浜海岸地区を埋め立てて一大コンビナートを築いた驚異のベンチャー王』

    2010/11/27 &nbsp …