『オンライン講座・ウクライナ戦争前史・「ロシア新聞」からみた「日中韓150年戦争史」の研究』(66)『(日清戦争開戦2ヵ月後―「新たな世界的強国(日本)の誕生」と『ノーヴォエ・ヴレーミャ』が報道
2014/09/29 2015/01/01 記事再録
『「ロシア紙」からみた「日中韓150年戦争史」(66)『(日清戦争開戦2ヵ月後―「新たな世界的強国の誕生」『ノーヴォエ・ヴレーミャ』
『「申報」『外紙」からみた「日中韓150年戦争史」日中韓のパーセプションギャップの研究』(66)
1894(明治27)年10月4日 露暦9月22日『ノーヴォエ・ヴレーミャ』
『(日清戦争開戦2ヵ月後―「新たな世界的強国の誕生」
日本人はヨーロッパ人の陸海軍の戦略だけでなく,その外交戦略をも学び取っている。モルトケのみならずビスマルクをも理想としている。
日本が「内政の苦境から注意をそらせる」つもりで戦争を企てたのでは決してない。日本政府は1885年以来中国に.地方当局の許可を得て(!).スパイにもなれば扇動員にもなる「半官の手先(インテリジェンス網)」を多数置いていた。(つまり、モルトケに弟子入りした川上操六参謀本部次長のインテリジェンスの勝利だったのである。)
「新たな世界的強国」-ドイツ人外交官のこの感嘆が.この10日間に変化した情勢を,何よりも鮮やかに描き出している。
ヨーロッパ外交が,調停の申出の形式,内容および適当な時期を審議している間に-日本は行動していた。そして.今や介入の時を逸してしまったとも、うことは,外交官のロからさえ聞くことができるし,あるいは少なくとも彼らの会話の端々からうかがい知ることができる。
和平が締結されてからでも.「条約を結んでいる列強」が日中条約を再検討および修正に付することができるだろうと考えて,自分を慰めている者もいる。
ところがこれに対して,日本が示す和平はおそらくヨーロッパの貿易にとって有利な条件を含んでいるだろうとする反論がなされている。日本政府がいかなる特権も要求するつもりはなく,ヨーロッパおよび日本の外国貿易に対し全中国を開放するよう主張するだろうということは,日本政府のさまざまな声明から明らかだ。
この1つをとっても,西欧は,この条件に対して好意的なまなざしを向けてしかるべきだ。また朝鮮については,その現状維持をロシアが求めているのは周知のとおりだが,東京の内閣は,朝鮮の独立を形式的に尊重し.日本の望む「改革」を朝鮮王の名で行うことによって.このロシアの要求を満たすことだろう。
さらに.あらゆることからわかるとおり,日本人はヨ一口ッパ人の陸海軍の戦略だけでなく,その外交戦略をも学び取っている。明らかに彼らは,モルトケのみならずビスマルクをも理想としている。比本の外務大臣は,ヨーロッパの代表たちの質問や助言から慇懃なほほえみを浮かべて逃れるときはいっでも,軍がうるさいので.というのを口実にしている。
日本の為政者たちは,ヨーロッパがなんらかの重大な行動を起こそうとする前に,この戦争を終わらせようと努めているのだ。
新聞のみならず外交の情報も一致して伝えるところによると,日本政府は中国に対し.一連の猛攻を仕掛けることを決定しており,そのため中国皇帝は,日本の要求に屈服するか,あるいは満州人王朝を廃せざるを得ないだろう,ということだ。
日本がやみくもに,あるいは「内政の苦境から注意をそらせる」つもりで戦争を企てたのでは決してないことは,今や明らかとなっている。逆に,それが企てられたのは.中国王朝の内政状態を日本政府が知ったからだ。
日本政府は1885年以来中国に.地方当局の許可を得て(!).スパイにもなれ
ば扇動員にもなる「半官の手先」を多数置いていた。このため日本政府は.ヨ一ロッパの国々の政府よりもよく中国の軍事力や中国人民の気分について知っていただけでなく.事件に大きな影響を及ぼすことができるその地方の共感にも支えられている。
私はこの数日間で何度も,こちらの日本人留学生や居住者たちと会談した。彼らのうちの何人かは,さまざまな政府機関からの任務を受けている。彼らの話に共通する意義から私が思い起こしたのは,つい最近本紙紙上で取り上げられた日本の小冊子だった。私は彼らとの会話の中に,新奇で非常に興味深いものを見出した。それは汎モンゴル志向である。
あらゆる政党やあらゆる傾向の日本人がロをそろえて,極東のさまざまな民族に対するヨーロッパ人たちの不公正で校滑な態度について,憤りながら倦むことなく語っている。イギリス領インドについては,彼らは思慮深く沈黙を守っているが,その代わり.インドシナの民たちが味わっている屈辱には心を砕いている。
シャム王に対するフランスの待遇に至っては.それが東洋全体への侮辱であるかのように.彼らはほとんど口角泡を飛ばさんばかりに語る。すべての答は,何世紀にもわたる自らの権利を利用せず,トンキンにおける民衆運動を支援せずに放置し,アジアの人々全員の面前で,恥ずべき戦争と,それよりももっと
恥ずべき1887年の対仏講和によって自分の顔に泥を塗った北京の政府にある,というのだ。
日本の若者はもっと過激だ。彼らは,満州人王室の転覆の必要性を唱え,「内政改革を行い,日本と共にモンゴル世界をヨーロッパによる侵害から解放する」ような民族的かつ進歩的な王朝が中国に誕生することの必要性を唱えている。
ロシアに関しては,少なくともロシア人と話をする中で,彼らはロシアを「半モンゴル的」な国家だと言っている。彼らはフィンランド人とタタール人をロシアにおける「モンゴル人」あるいは「インドシナ人」とみなしている。
中年の日本人はもっと慎重な言い方をする。彼らは専ら,日本の勝利を見ることはすべての列強にとって利益になる,と力説している。なぜならば,日本が勝利すればその結果,ヨーロッパの貿易が発展し,中国にヨーロッパ文明がもたらされることになるからだ。
しかし彼らも,古い文化と歴史的民族性を持ったアジアの国々の問題にヨーロッパが介入する日々は.永久に過ぎ去ったと断固として宣言している。日本は自らはいかなる条約もいかなる法的権利も犯しはしないが.また,日本としては自己の独立性へのいかなる圧迫も甘受しないだろう。
今明らかになりつつあることすべては,ヨーロッパでもっと以前に知られ得たし,知られているべきだった。日本には新聞も国会も,さまざまな情報公開の制度も存在する。ヨーロッパの通信員たちが何にも注
意を払わなかったのには驚きだ。ヨーロッパの外交官がどこに注意を向けていたのかは,さらに言いがたい。
関連記事
-
-
日本リーダーパワー史(771)―『トランプ暴風で世界は大混乱、日本も外交力が試される時代を迎えた。そこで、日清戦争の旗をふった福沢諭吉の「外交論」を紹介する」★『日清講和条約(下関条約)から3週間後の福沢諭吉の外交論である。 『外交の虚実』『時事新報』明治28年5月8日付』●『今日の順風も明日の逆潮に変化するその間に立て、虚々実々の手段をめぐらし、よく百難を排して、国の光栄利益を全うするは外交官の技量にして、充分に技量を振わせるものは実に朝野一般の決心如何に在るのみ。』
日本リーダーパワー史(771) トランプ米大統領の誕生で『世界は大混乱の時 …
-
-
速報(420)日本のメルトダウン●『「あれだけやっても傍流だった」元ドコモ夏野氏』●『安倍首相、近隣諸国の神経を逆なで』
速報(420)日本のメルトダウン ●『「あれだけやって …
-
-
『世界サッカー戦国史』➄『児玉源太郎と西野監督のリーダーシップの共通性』★『 児玉参謀次長の戦略思考と人心収攬術と西野の戦略眼、選手との対話力、コミュニケーション力が勝利の決め手になった』
児玉源太郎と西野監督のリーダーシップの共通性 …
-
-
★「コロナ騒ぎの外出自粛令で、自宅で閉じこもっている人のためにお勧めする<21世紀を予言したスーパーパーソン>抱腹絶倒の人物伝>超面白いよ」★『ノーベル賞を超えた『日本の知の極限値』ー「地球環境を守る/エコロジーの先駆者・南方熊楠先生だよ』!
「世界的日本人びっくりクイズ①」 <日本の歴史上の人物で、最大の世界的な天才とは …
-
-
日本リーダーパワー史(277)『歴代首相でリーダーシップNO1は原敬ー小沢一郎と比べると月とスッポンの大宰相②>
日本リーダーパワー史(277) 『原敬と小沢一郎を比較すると』② …
-
-
知的巨人の百歳学(138)-『六十,七十/ボーっと生きてんじゃねーよ(炸裂!)」九十、百歳・天才老人の勉強法を見習え!』★『日本株式会社の父』渋沢栄一は83歳で関東大震災を体験、自宅、事務所は全焼した。家族は郷里に避難をすすめた。すると、渋沢は「バカなことをいうな!わしのような老人は、こういう時にこそ働かなければ申し訳ない。それを田舎に行けなど卑怯千万な!これしきの事を恐れて八十年の長い間生きてこられたと思うのか」と怒鳴りつけ、翌日から大車輪で復興の先頭に立った』
2011/05/04記事再録 生涯現役の達人・渋沢栄一(91歳)の晩年・長寿力に …
-
-
『ガラパゴス国家・日本敗戦史』⑮『 戦争も平和も「流行語」と共にくる』(下)決戦スローガンとしての『流行語』
『ガラパゴス国家・日本敗戦史』⑮ 『アジ …
-
-
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 米国メルトダウン(1052)>『世界から米国の「背信」、時代錯誤と大ブーイングを浴びたのが「パリ協定」離脱』★『環境破壊のならず者国家、1位米国、2位は韓国―パリ協定離脱宣言に非難ごうごう、 その当然すぎる理由』★『トランプはパリ協定離脱の正義を信じている 「核の脅威こそ究極の地球環境問題だ」』●『パリ協定「政権抜きで果たす」 米国の企業や大学で動き』
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 米国メルトダウン(1052)> 世 …
-
-
★『大爆笑、メチャおもろい日本文学史』⑤『アイヌ「ユーカラ」研究の金田一京助はメチャおもろい』講義は人の3倍の情熱、純情一直線の金田一先生』
2016/02/21 『大爆笑、メチャおもろい日本文学史 …
- PREV
- オンライン公開講座・なぜ日本社会政治経済制度は遅れてしまったかの研究(下)』★『福沢諭吉の言う<江戸時代の封建的な身分制度(士農工商)上下関係が未だにめんめんと続いているため』★『福沢の故郷・大分県中津藩の武士の身分差別の実態「旧藩情」を現代訳で読む』
- NEXT
- 「ANAウインドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会」(2022年11月11日―15日)歓迎動画』★『鎌倉材木座Wサーフィン(2013/11/28)ー冬のサーフィンこそアドベンチャーだよ。18mの強風下でもプロ級はスイスイ跳ぶよ』★」「 見るだけで体も心もポカポカ、勇気凛凛、超気持ちイイ!よ。老人向きの元気スタミナ薬だね』
