日本リーダーパワー史 ⑳ 日露戦争開戦ー明治天皇と伊藤博文の外交インテリジェンスと決断力
日露戦争開戦の決断力―
前坂 俊之
約300年の鎖国を解いて世界デビュしたばかりのアジア極東の小さな島国日本の存在など、当時は世界ではほとんどは知らなかった。その新興貧乏小国がいきなり世界の超大国ロシアに戦いを挑んだのには世界は驚き、がぜん注目を集めた。
大白熊(ロシア)に挑む小黄猿(日本)に勝ち目はあるのか、ヨーロッパ各国は「かわいそうに日本はすぐやられてしまう」とみており、ロシアは「日本など小さなノミ、ひとひねりにつぶす」と豪語していた。世界の大半がロシアの勝利を予想していた。
このままロシアの外力の侵圧を許せば、わが国の存立も、また重大なる危機に陥ります。いまや決断を下し給うべき時機なりと存じます」と奉答して退席した。
長い緊迫と沈黙が続いたが、その場の雰囲気を和らげるように伊藤博文が、「これから尻ばしょりでほっかぶりをし、握り飯をもって、数十年前の書生に帰ったつもりで、ご奉公するつもりでございます」
日本の運命を決めた決定的な瞬間だった。
金子は米国ハーバード大学の出身で、ルーズヴエルト大統領とは同窓生で、多くのアメリカ友人がいた。伊藤博文は、金子のルーズベルトコネクション、ハーバード人脈を使って米国世論工作とルーズヴエルトの和平斡旋を計画したのであった。まさしく伊藤博文の卓越した外交術、外交インテリジェンスを示すものだった。
国難に当たってのリーダーシップのあり方がよくわかる。

この戦いをきめる前に陸海軍の当局に聞いてみたが、成功の見込みはないと言う。しかしながら打ち捨てておけば露国はどんどん満州を占領し、朝鮮を侵略し、ついにはわが国家に暴威を振うであろう。
ことここにいたれば、国を賭しても戦うのみである。成功不成功などは眼中にない。かく言う伊藤博文のごときは栄位栄爵、生命財産はみんな陛下の賜物である。すべてを天皇に返上して、ご奉公する時機と思う」
成功不成功などということは眼中にないから、君もひと1つ成功不成功はおいて問わず、ただ君のあらんかぎりのカをつくして、アメリカ人が同情を寄せるようにやってくれ。
それでもアメリカ人が同情せず、またいざというときに大統領ルーズヴエルト氏も調停してくれなければ、それはもとより誰が行ってもできないことだ。かく博文は決意したから君もぜひ奮発して米国に行ってくれよ」
そして、アメリカでは獅子奮迅の活躍ぶりで、ルーズベルト大統領とホワイトハウスではもちろん、私邸、別荘で何度もあって友人付き合いで、日本への協力を求め、ルーズベルトも大変な日本びいきで、ポーツマス講和会議の斡旋役を引き受けたのであった。
関連記事
-
-
『オンライン講座/日本興亡史の研究 ㉑』★『日本の政治家で最も少ないグローバルな戦略をもった経済政治家の先駆者(三井物産中興の祖・同上海支店長)―山本条太郎①』『三井物産上海支店長時代でロシア情報を収集し、日本海海戦でバルチック艦隊を偵察・発見させた。その後、政治家となった山本条太郎の活躍がなければ日本海海戦の勝利はなかった』
2011/12/14 日本リーダーパワー史(223)記事再録 前坂俊之(ジャー …
-
-
『リーダーシップの日本近現代興亡史』(220)/「2019年の世界と日本と地球はどうなったのか」(下)『気候非常事態と日本』★『「日本は安全、安心な国」とのイメージが強いが、「紛争や災害の脅威による都市リスクランキング」(2019年版)では東京がワースト1、大阪が6位』
いまや「巨大災害多発時代」「気候非常事態」に突入した日本 前坂 俊之(ジャーナリ …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(190)記事再録/『忘れられたユーモアある哲人政治家・田淵豊吉―太平洋戦争中に東條英機首相を批判した反骨でならし『世間では仙人と呼んでいるが、わしはカスミの代りに飯を食い酒も飲む、だから半仙人とでもしておこうか、と大笑い』 2019/12/09
逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/10/31am1100) 2010年9月7 …
-
-
世界リーダーパワー史(943)トランプ対習近平の『仁義なき戦い」★『米中貿易戦争から、いよいよ全面対決の「米中冷戦時代」へ突入か
世界リーダーパワー史(943) 米中貿易戦争から、いよいよ全面対決の「中冷戦時代 …
-
-
「王の子供は王じゃない。王になるのは能力者」=南インド映画「数学の天才・アーナンド先生の教室」(2019年制作)をみて、いたく感動した。インド映画は哲学的、アクション、歌、ダンス、ラブコメディーあり、てんこ盛りで超楽しいよ。
「王の子供は王じゃない。王になるのは能力者」 このところ、インド映 …
-
-
日本リーダーパワー史(874)『日中韓、北朝鮮の関係はなぜ、かくも長くギグシャクともめ続けるのか➀』★『130年前の朝鮮をめぐる日中の対立・戦争が今回の件も含めてすべての根源にある』★『憲政の神様・尾崎行雄の名解説「本邦の朝鮮に対して施すべき 政策を諭ず」を読む』★『日本公使館を焼き打ちした壬午軍乱の賠償金40万円(現在の金に換算して約5兆8千億円)を朝鮮発展のために還付した日本政府の大英断』
日本リーダーパワー史(874) 平昌オリンピックを前に日本と韓国、北朝鮮、中国の …
-
-
『MF・ワールド・カメラ・ウオッチ(12)』 「フィレンチェ散歩(4/19-4/28)「ウフィッツィ美術館」、「「パラティーナ美術館」 を見て回る
2015/06/12 『世界美術館めぐり』転載、再編集 …
-
-
日中リーダーパワー史(932)-『軍事論、軍事研究のない国は亡びる」★『現在の米中貿易戦争、北朝鮮との紛争は130年前の日清戦争への経過と同じパターン』★『平和とは次期戦略情報戦の開始である(福島安正)』
日中リーダーパワー史(932)- 米中貿易戦争が激化し、米朝会談で …
-
-
日本リーダーパワー史(801)ー『明治裏面史』★ 『「日清、日露戦争に勝利』した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス⑰杉山茂丸の『伊藤博文を日露戦争開戦の死者第一号にする』
日本リーダーパワー史(801)ー『明治裏面史』★ 『 「日清、日露戦争に勝利』 …
