前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本リーダーパワー史(75) 生死をこえる究極の心得とは・・撃墜王・坂井三郎の話

   

日本リーダーパワー史(75)
生死をこえる究極の心得とは・・撃墜王・坂井三郎の話
<坂井三郎のリーダーシップ>
 
前坂 俊之(ジャーナリスト)
 
坂井三郎(さかいさぶろう)いうまでもなく太平洋戦争における日本海軍のゼロ戦(戦闘機)のエースパイロットである。日中戦争から太平洋戦争を通じ、激戦のガダルカナル島や硫黄島上空の最前線の戦闘を含めて200回以上の出撃し、各敵機64機を撃墜した日本の撃墜王、世界最高のパイロットでもあった。
 
敗戦後は海軍時代の経験をふまえ、太平洋戦争や人生論の本を多数執筆した。自ら自伝とも言うべき「大空のサムライ」は各国語に翻訳され、100万部を突破する世界的ベストセラーとなった。
 
言うまでもなく、戦闘機乗りは1対1のサムライの決闘、アメリカなら西部劇のガンマンの決闘に匹敵する近代兵器を駆使した殺し合い、死を賭けての戦いである。
 
究極の死を賭しての勝負の世界での心の持ち方はどうすればよいのか。
 
戦争、殺し合いという非常時態を如何に切り抜けてゆくのか。

戦闘時に要求される心の平静さをいかに保つことができるのか、
 
この心得は政治家、リーダー、官僚らの指導層には特に求められる精神修養、修業である。
 
決闘、対決、勝負に際して平常心を保つ事がどれほど重要であるか、安穏な生活にどっぷりつかって、災害も、戦争も、

国家倒産も関係ない、ミーイズムにひたっている我々には想像を絶することである。

 
零戦パイロットの坂井三郎氏の語る生死一如の絶体絶命のピンチの切り抜け方法とは・・・

ー坂井氏は次のように述べている。

 

坂井三郎の話
 

「俗に戦闘機乗りの六割頭(ろくわりあたま)と言って、飛行機に乗ると地上の六割ぐらいしか頭が働かんもんです。
 
エンジンの騒音のせいもあるでしょうが、何よりも敵機を見るとカッとしてしまうもんなんです。
こう、喉(のど)の奥から金玉があがってくるような気持になって気がついてみたら本能的に敵機の方に向けて躍りかかっていたという状態になっちゃうんだなあ。
 
結局、戦闘なんていうものはどっちかが強いから勝つというわけじゃない、どちらがミスが少ないかによって決まるんです。
 
特にタンクに被弾したとか機銃、弾丸が無くなったなんて危機的状況に落ち入った時が危ないんです。そんな時は決まって誤った対処法しか頭に浮かんでこないんですな、不思議なくらいに。
 
そうして更に致命的なミスを重ねてしまう。頭が逆上しているからで、それを押えて平常の頭脳の状態に戻さなきゃいかんわけです。
 
私はへソの下に力を入れて体全体はリラックスさせる、そうしておいて正面を静視するという方法をとりました。
 
あとで聞いたら、これが坐禅の法と相通ずるものがあるそうなんですよ。しかし、危険な状況でそういう落ち着いた感度をとるというのは、ふだんちゃんと訓練しとかなきゃできないですな。

私は地上にいるときいつもさっきの方法をやって練習してました。
 
米軍のほうでは、危険に落ちいったらまず時計を見よ。それで何時何分か口で言えたら、はじめて何か行動をとれと教えてるそうなんですよ。
 
それからあの戦争全体を通して私を支えてきた信念は、自分はいつか死ぬだろう、しかしそれは今日ではない、という事でした。

<以上は「太陽」1974年7月号『特集禅』より>
 
『双方で互いの戦闘機の背後を取ろうとグルグルまわっていると遠心力で血液が下がって視界が失われるほど苦しい。
 
自分が苦しい時は相手も苦しい。同じ苦しみなのだが止めると負ける。負けないためには「頑張り」である。「負けないぞ、頑張るぞ」って精神で生き抜いてきた』
 


「前は自宅の玄関から階段付近に鉄棒を渡し、暇な時に懸垂やぶら下がりをしていた。70歳過ぎて悠々と懸垂を披露する姿に、多くの来客は驚嘆させられた。」(Wiki)
 
 
 
【究極のリーダーシップとは】
①些細なことでも部下に対して嘘をつくな。

②反対意見を述べる者を大事にせよ。
 

③部下、同僚たちの面前で部下を叱るな。
 
④失態をもたらした部下の叱り方にも手順がある。
 
⑤部下の前で上司、同僚の悪口を言うな。
 
⑥部下の持ってくる軽い情報も聞き留めよ。
 
 ⑧手柄の横取り絶対禁物。
                                  
⑧責任から逃げるな。
 
⑨ポーカーフェイス、これもリーダーの特技だ。
 
 

 - 人物研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『Z世代のための日本インド友好史③』★『日本とインドの架け橋』―大アジア主義者・頭山満はインド人革命家・ボースの亡命を受け入れた』★『アジア解放の夢をボ-スに託し、亡命を受け入れて匿い「新宿中村屋」相馬愛藏の娘・俊子と結婚させて「オレが最後に牢屋にゆけばよいのじゃ」と大度量を示した』

  2010/01/19 日本リーダーパワー史(33)記事再編集 前坂 …

no image
「正木ひろし弁護士をしのんで」 その生涯、追憶、著作目録。及び参考文献

「正木ひろし弁護士をしのんで」 その生涯、追憶、著作目録。及び参考文献 前坂俊之 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(147)再録★日本国難史にみる『戦略思考の欠落』③「高杉晋作のインテリジェンスがなければ、明治維新も起きず、日本は中国、朝鮮の二の舞になっていたかも知れない」

    2015/11/22 日本リーダ …

no image
日本リーダーパワー史(80) 日本の最強の経済リーダーベスト10・本田宗一郎の名語録

日本リーダーパワー史(80) 日本の最強の経済リーダーベスト10・本田宗一郎の名 …

『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(21)』『オーストリア・ウイーンぶらぶら散歩』「シュテファン大聖堂」でモーツアルトを想う。

2016/05/26『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(167)』 …

『夏の終わりの湘南海山ぶらぶら動画日記』★『カラスと一緒に台風11号接近中の鎌倉稲村が崎サーフィンを観戦(2022/8/31/am7/40分)』

カラスと一緒に台風11号接近中の鎌倉稲村が崎サーフィンを観戦(2022年8月31 …

no image
日本リーダーパワー史(249)<道州制導入の橋下維新党は竜馬よりも西郷隆盛の超リーダーシップを見習え②

日本リーダーパワー史(249)   <道州制導入の橋下維新党は竜 …

no image
日本リーダーパワー史(102)日本一見事な引き際・伊庭貞剛の晩晴学②<有害なのは老人の跋扈(ばっこ)である>

日本リーダーパワー史(102) 日本一見事な引き際・伊庭貞剛の晩晴学② &nbs …

『オンライン講座/真珠湾攻撃から80年⑧』★『 国難突破法の研究⑧』★『1941年12月8日、山本五十六連合艦隊司令長官が1日千秋の思い出で待っていたのは愛人・河合千代子からのラブレターだった』

2010/06/30/日本リーダーパワー史(60) 真珠湾攻撃と山本五十六『提督 …

no image
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 米国、日本メルトダウン(1048)>『トランプ大統領は弾劾訴追されるのか』★『トランプは大恩人のFBI長官解任で二度、墓穴を掘った』●『中国まで心配するトランプ「反科学政策」の現実離れ』★『どこが違う? トランプ・ロシア疑惑とウォーターゲート』★『トランプ降ろし第3のシナリオは、副大統領によるクーデター』★『北朝鮮危機が招いた米中接近、「台湾化」する日本の選択』

 ★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < アメリカ、日本メルトダウン(10 …